「ホラーの皮を被ったスカッと&ほっこり系コメディ」ザ・スイッチ ニコさんの映画レビュー(感想・評価)
ホラーの皮を被ったスカッと&ほっこり系コメディ
呪いの短剣の力でJKとシリアルキラーの魂が入れ替わり、タイムリミットの24時間以内にその呪いを解くため、JKとその仲間たちが奔走する。
冒頭から、仰々しい日付テロップとキツめの殺戮シーン集中投下で、B級ホラーとしてのつかみはバッチリ。二人が入れ替わってからは、見た目殺人鬼ブッチャーな高校生ミリーの愛嬌満点な姿と、彼女の最強の(ポリコレ的にも)親友たちとの友情、ミリーの恋愛や家族愛まで盛り込まれた遊園地のような作品。
殺人鬼に体を乗っ取られるという不穏な設定で、殺人シーンもそこそこえぐいが、乗っ取られたミリーが暴れ回る姿を見ても不思議とそこまで嫌悪感がなく、むしろ爽快だ。というのも、序盤で描かれた本来のミリーの日常に出てきたいけ好かないキャラだけを、見た目ミリーなブッチャーが確実に仕留めてくれるからだ。
見た目ブッチャーなミリーの方は、とにかくかわいい。ある意味、JK仕草をするヴィンス・ヴォーンを楽しむための映画かも知れない。元のミリーよりかわいく見える。でもそれだけでなく、キャスリン・ニュートンのミリーとキャラクター描写がシームレスにつながっているから、家族関係のことなど入れ替わり前後にまたがって変化するエピソードを自然に受け入れられる。
1年前の父親の死から立ち直れずぎくしゃくしていたミリーの家族関係が、体が入れ替わり行きずりの他人として母の本心を聞けたことにより変わっていったり、驚きの流れでブッカーが見た目に惑わされないいい奴であることが証明されたりと、入れ替わったからこそ起こったほっこりエピソードに心が暖かくなった(人死んでますが)。
一段落してあー怖かったねーで物語が終わるのではなく、ミリーの成長と家族の雪解けを感じさせるとどめシーンもいい。
お約束のネタと展開だがむしろその安心感が心地よく、肩肘張らずに楽しめて、アトラクションを満喫した後のような気持ちになれる良作。