「映画産業の中で、究極の貧乏クジを自ら望んで引き続けてきた人たちの人間性を味わうことができ、それはそれで、一風変わった物語として楽しむことができました。」スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)
映画産業の中で、究極の貧乏クジを自ら望んで引き続けてきた人たちの人間性を味わうことができ、それはそれで、一風変わった物語として楽しむことができました。
ふだん、何度も何度も映画館で見てきたはずのスタントマン(スタント・ウーマン)の活躍。
しかし、実際にはその顔も声も名声も、もとの俳優のものとしてしか印象にも記憶にも残りません。
スタントという仕事は究極の裏方であるわけで、だからこそ彼女たちに脚光を浴びせようという意図は、よくわかります。
映画というものが誕生した、ごく初期の頃から、世の中にはすでにスタントという役目が存在していたということで、これは意想外でしたが、その頃のスタントには男女差別がなかったということも、また意外でした。
しかしそれから20年も経つと、スタントという仕事がほぼ男性による独占業務になってしまい、そこになんとか風穴を開けようと努力してきた先人たちが次々に登場するドキュメンタリーです。
スタント組合というのがあるらしく、しかしそこは女人禁制であったということも、女子スタント組合を作ったら、会長が5年間も某映画会社から干上げを喰らったということも。
スタントというお仕事の裏側を、もっと赤裸々に描いて欲しかったというのが偽らざるところかも知れませんが、映画産業の中で、究極の貧乏クジを引き続けてきた人たちだからこその人間性を味わうことができ、一風変わった物語として楽しむこともできました。
映画紹介の「キャスト」を見ると、一人を除いて誰の写真も載っていないという点からも、裏方としての仕事に誇りを抱くプロなんだなあと感じるのでした。
もしも親戚の子などが映画業界で働きたいと言ってきたら、この映画は推薦するに値する作品だと思います。
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