ひばり農園のレビュー・感想・評価
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トルコよ、負の遺産を認め謝れ! この歴史を繰り返さないために!
ひばり農園(The Lark Farm) が二箇所にあるがここにレビューを書く。
イタリア語なので、あれと思って調べてみた。原本がイタリア語で2004年に出版された、La masseria delle allodoleで、映画2007年の監督もイタリア人なんだね。なるほど。
オスマントルコ帝国がアルメニア人の虐殺をしていて、トルコは未だそれを認めていないという歴史は知っていたが、映画で観たのは初めてだ。虐殺はネイティブ・アメリカン、南京虐殺、ホロコストなど、負の遺産として、歴史に残っていて、これからも、こうあってはならないと、歴史などの時間に学んでいる学校が多いと思う。虐殺には政治が絡んでいて、映画であっても(この映画にはアーカイブがある)悲惨さは手に取るようにわかり、私たちに善悪判断を誤るなと教えてくれる。
この映画で、1915年と明示されていた。この場所は現在のアナトリアなのでちょっと驚いた。オスマントルコの威力より、アルメニア人が広大な地域に広がって住んでいたということだ。
アヴァキアン一家の裕福な生活、テーブルクロス、スープの皿、鏡(友達トルコ兵の奥さんも憧れている鏡)など、今ならアンティークだねえ。息子の一人( Yerwant)はイタリアで(医者?)として裕福で人望があり、生計を営んでいる。この彼が、アナトリアに帰りたいが、戦況で帰れない。
こじき役(物乞い)で出てくるザニン(ムハンマド・バクリ監督・俳優)もアヴァキアン一家で面倒をみてもらっているようだ。しかしトルコ兵にひばり農園の位置を教えてしまう。 1915年まえは、主にクリスチャンのアルメニア人はモスリムのトルコ人と共存共栄していたようである。 その後、アルメニアはロシアからの助けを待っているとトルコ兵隊は思っている。ザニンは『トルコ人だ』と言ったが両方に味方するのでアラブ人かな???とも思った。
トルコの青年兵士たちは ひばり農園に侵入して、アルメニア人の男性を虐殺する。女の子のように変装された、 Nubarを除いて。 近所のArslanian家が戻り、その家族のギリシャ系のイスメネ(Ismene、アンヘラ・モリーナ)が女性たちの心を癒そうとする。
トルコ兵士はアルメニアの女性や女の子供をアレッポに連れて行こうとする。 アヴァキアン一家の娘、ヌニークNunik(パス・ベガ)らは過酷で、虐げられた旅を続ける。子供たちは腹を空かせてヌニークを殴り罵る。女性たちはレイプ、磔の刑、焼き殺しなど、悲惨な体験をする。
その間、ザニンとイスメネは着々とアヴァキアン一家のヌニークらを助け出そうと資金の工面をする。ギリシャの牧師のアイザックも加担する。しかし、うまくいかないが、イスメネの預かっていたブドウのネックレスが、アレッポーのスペインの領事館の領事(?)と結びつける。そして、密かに使者を送り、ガードを騙し、ザニンたちは真夜中に、ヌニークの元を訪れる。
ヌニークは子供たちのパンを稼ぐため身を売りに出かけたがたまたまトルコ兵 Ferzan(モーリッツ・ブライブトロイ)に優しくされる。この青年のトルコ兵 Ferzanも第一線で働くために兵士になったが、こんな仕事に回され、人生の希望を失っていた。ヌニークは彼に愛されるが、二人は希望をもてなかった。ヌニークは家族を忘れ、自分だけ幸せを掴むほど、自己中ではなかった。別れを告げず、別れるのは卑怯だと思い、彼に話すが、『脱走させない』と言って殴るが、彼は彼女を愛しているので、逃す。
しかし、そうは問屋が卸さない!!ここからが悲劇!
ヌニークは子供の一人が落としたリンゴを取りに戻る時、監視に気づかれてしまう。その時、彼女は咄嗟に、アルメニア語で歌を歌い出す。三人の子供たちを逃すために。トルコ兵士はアルメニア語を使わせないように彼女の衣類を引き裂き、火炙りの刑にするところ、 Ferzan(モーリッツ・ブライブトロイ)はそれに気づいて駆け降りてくる。二人は見つめあう。これ以上の恥辱を与えたくなく、彼女を愛している Ferzanはサーベル手を掛ける。ヌニークは頷く。いいシーンだ。
子供たちの犠牲になり、屈辱より、愛する人に殺される方を選んだヌニーク。
子供たちは無事に、トルコのSmyrna から、イタリアに住む、 Yerwantのところに船で行く。
その後、裁判が始まる、 Ferzanは罪は自分にあるという。愛していたアルメニア女性を殺した自分にと。
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