「日本の農作物の安全性が脅かされている」タネは誰のもの 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
日本の農作物の安全性が脅かされている
昨年(2019年)の7月に鑑賞したドキュメンタリー映画「SEED〜生命の糧」では、モンサント(現バイエル)のような巨大多国籍企業が農民から種を奪った経緯が描かれていた。強力な除草剤を開発、販売し、その除草剤に耐性を持つGMO(遺伝子組換植物)を開発して特許を取る。GMOは知的財産として保護される。ということは農家の自家増殖が禁止になるということだ。既にインドでは禁止になっていて、農家は毎年モンサントのような巨大多国籍企業から種子を買うしかない。その際にモンサント社製の肥料と農薬もセットになっている。貧しいインドの農家は借金をして買うが、自然に左右される作況のために借金が返せない場合もある。インドでは毎年15,000人の農家が自殺している。そういう作品だった。
日本ではどうなっているのかをわかりやすく伝えるのが本作品である。2018年の種子法の廃止と2020年の今年まもなく採決される種苗法の改正に対するアンチテーゼが主体で、日本の農作物の安全性が脅かされていることについて、元農林水産大臣の山田正彦さんが中心になって解説している。簡単に言えば、安倍政権からスガ政権へ続く自民党は、日本国民の健康をアメリカに売り渡しているということである。
上映後には山田さん本人が登壇して、来る11月17日の種苗法改正法の成立に向けて全力で反対行動をするとのこと。御歳78歳の山田さんに座り込みは堪えるだろう。
仕事や用事を抱える我々には座り込みは出来ないが、次の選挙に向けて、国民の健康を脅かす化学薬品まみれの農作物やGMOを排除する政治家に投票することは出来る。誰に投票するか迷った場合は、この基準で判断すればいい。問題なのは、こういう大きな問題をテレビや新聞が報道しないことだ。
確かに知らなければ反対もできないが、少しでも関心を持てばインターネットその他ですぐに調べることが出来る。知ろうとしない国民に支えられ、スガ内閣の支持率は57%と高水準で推移している。日本国民は、子供がアトピーになったり奇形になったりしても構わないという政治家に未来を委ねたいのだろう。国民は自分たちのレベルに合った政治家しか持てないという原則は未だに真実であり続けるのだ。