浜の朝日の嘘つきどもとのレビュー・感想・評価
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映画なんか無くたって、生きていけるんだけどね
2021.10.6(水)
キノシネマ立川高島屋S.C.で「浜の朝日の嘘つきどもと」を観る。
本作は、映画は、映画館は素晴らしい、というメッセージが詰まった良い作品だった。
高畑充希は勿論、映画館支配人ちょっとメタボのジジィ柳家喬太郎が良い。田中先生の大久保佳代子の雰囲気は絶品で、このキャスティングが大成功だ。
「映画なんか無くたって、生きていけるんだけどね」
男に振られるたびに「喜劇 女の泣きどころ」を観て号泣している映画ファンの女高校教師・大久保にこのセリフを言わせる。
母親とソリが合わず家出して田中先生の家を訪ねて来た高畑に
「東京で何してたの?」
「映画ばっかり観てました」
「入って良し」と招き入れる。
夏休み、先生との同居生活で二人の絆は深まるが…。
「フィルムって、残像効果で半分は暗闇を見ているの」
フィルムの映写原理を説明する田中先生。
リリアン・ギッシュ、若尾文子、バスター・キートン、そして太地喜和子。スクリーンに登場するスターたち。ある意味「ニュー・シネマ・パラダイス」である。
「皆んな映画館がいつでもあると思ってるから大切にしないんだ」
きっと、この映画を観て泣いたり、笑ったり出来ない人はこの作品を評価しないんだろうなぁ。
どうせ死ぬんだから「やっておけば良かった」と後悔しないようにしよう。
「サマーフィルムにのって」も観に行くか。
配信でも良いと思うけどね。映画館だとトイレが心配で。
・映画なんかで人生変えられない!
・確かに映画館だけでは多くの雇用は見出だせない。
・すがる家族があるだけましだ。
・放浪記と浮雲なんて何一つひねりは無い。
・クラウドファンディングを良く言うが、クラウドファンディングは文化の質の低下と自主性が損なわれる
・舞台の様な映画以外も演じる事が出来る施設にすべきだ。
・一年間映画を見てきたが、映画館を健やかに運営出来る映画自体のコンテンツが少なすぎると感じる。『泣ければ良い』だけの映画は見たいと思わない。
・少なくとも僕はこの映画館へはいかなくなると思う。
・隣でポップコーンを食べられるのが、もの凄く嫌だ。
・浮雲や放浪記を見ながら、ポップコーンを食べられる鑑賞者の神経がわからない。バック・トゥ・ザ・フューチャーとかアメリカン・グラフィティならいざ知らず。
NGWordは注意していただけたので、予め消去しました。まだまだ欠点だらけの映画だと思います。
「生きる」と「素晴らしき哉、人生!」の二本立てでお送りします
つとみ
多くの映画監督や映画人が作品の内外で「映画とは」を答えている。ある人は光と音の総合芸術と答え、ある人はいかがわしいものと言い、ある人は登場人物に寄り添うことと返した。先日観たばかりの「バビロン」ではデイミアン・チャゼル監督の映画観も見えた。
作風や映画観、世代の影響により人によって様々だ。そんな中、脚本も手掛けるタナダユキ監督は本作の中で自身の映画観について語ったように思う。
同じ作品を観て全く違う感情を抱くこと。しかしその奥で、感情を共有すること。想いを同じにする人と同じ時間を過ごすものという感じだろうか。
あさひの恩師である先生は男と別れたあと「喜劇女の泣きどころ」を観て泣く。その姿をあさひは不思議そうに眺める。
あさひは、泣けるような映画でもないと言うが、観たことなくとも泣けないことくらい分かる。なぜなら「喜劇」だからだ。先生は本来ありえない感情を抱いたということになる。
物語が進み、あさひが先生の元を離れることが決まったあと、時間がまだあるからとバオくんと3人で映画を観に行く。作品名までは分からなかったが明らかにチャップリン作品のような喜劇だ。
笑うバオくんの横で、先生とあさひは泣いている。喜劇を観て泣けてしまうほどに、二人の想いは同じだったといえる。
場違いなのに感情が同一になる場面としてもう一つ。先生が亡くなったシーンだ。
本来ならば涙以外は似つかわしくないところだが、先生の最後の言葉のせいで医師も看護師もバオくんも、あさひと共に笑った。
先生が亡くなって悲しいという同じ想いがあるからこそ一緒に笑えるのだ。
なんてことない物語なのに最初からずっと面白かった。ラストは想像通りのベタな終わり方だったけれど、それでも感動してしまった。
あまりに面白くて勢い余って竹原ピストル主演のTV版も観てしまった。
どこが面白かったのか具体的に説明することは難しいけれど、理由は分かる。自分が「ネクラな映画好き」だからだ。大きなお世話だよ。
映画と映画館を愛する人々へ!
2021年。監督:脚本:タナダユキ
《福島中央テレビ開局50周年記念オリジナルドラマ)
泣けて笑える映画でした。
この映画に先駆けて作られたテレビドラマがあります。
そちらは竹原ピストルが重要な役を演じています。
茂木莉子(高畑充希)は、ある日、福島県相馬市にある創業100年の
映画館「朝日座」の前にふらりと現れた。
高畑充希の演じる女の子は「息を吐くように嘘をつく」
茂木莉子(もぎりこ)はもちろん偽名だ。
映画館主の森田(柳家喬太郎)も、資産家の未亡人(吉行和子)も、
競争するように嘘をつく。
(前述のドラマの方が、《嘘つきども》の比率高い台詞でした。ドラマも是非どうぞ)
高畑充希と柳家喬太郎の掛け合い漫才?
ジャブの応酬?
(ジジイ!!クソガキ!!)
言葉の格闘が小気味よく楽しい。
その映画はテレビドラマの前日譚で、浜野あさひ(茂木莉子=高畑)が、
朝日座に《現れた理由》と、
浜野あさひの《生い立ち》に焦点を当てて語られる。
重要なサブキャストの高校の恩師・田中茉莉子先生(大久保佳代子)
映画を愛する田中茉莉子先生が、素敵な人で大久保佳代子がめちゃくちゃハマってる。
この映画の成功は田中先生を描いた脚本と、大久保佳代子の好演に半分くらいあると思う。
先生と交わしたあさひの約束。
そして田中先生のボーイフレンド(?)
ベトナム実習生チャン・グオック・バオの存在。
チャン(佐野弘樹)の存在はグローバルで、福島県相馬市の現実から
視野を世界に広げる効果を生んだ。
福島は原発・コロナ・台風・・・とトリプル災難に襲われた。
原発事故の痛手から立ち直る矢先に、コロナ禍に見舞われ、
更に台風が追い打ちをかけた。
息の根を止めてやる、とばかりの仕打ちに朝日座も、
遂に閉館を決断する。
紆余曲折は観て頂くとして、タナダユキ監督の老練な脚本。
語り口の巧さ。
愛すべき嘘つきどもの、出演者たち。
そして何より、
ネクラで心優しき映画ファンへ。
苦しくても、もうちょっと頑張ってみよう!!
映画でお腹は膨れないが、生きる励ましに、ちょっとくらいはなる。
そんな前向きなメッセージを受け取りました。
(それにしても開局50周年記念・・・なんて冠をつけられて、
(ここまでプロフェッショナルな仕事をするタナダユキ監督、
(これぞ職人技と、お見それしました)
素敵な映画館愛
数々のシーンで、客席から笑い声が上がっていました。
そういう雰囲気で観たくなる映画だから、良い二時間を過ごせましたよ。
違う日常を過ごす人達が、同じ物を観て笑ったり泣いたりして、少しの力を貰ってそれぞれの日常に帰って行く。素敵な事だと思う。
温かい笑いを届けてくれた役者さん、コメディの巧い高畑さんに、脇を笑いのプロで固めたのが良かったと思うんです。
特に柳家さんは、森田とあさひの二人の掛け合いの場面が多く、表情とか言い回し、間の取り方が面白いんですよね。
思いきった配役が嵌まった映画だと思うんです。
それから映画って、真実を追い求めるドキュメンタリー作品も有るけど、ほとんどがフィクション。
フィクションはある意味では嘘なわけだから、映画を作る人達は素敵な嘘つきどもですよね。
そして、この映画の役者さん、スタッフは最高の嘘つきどもですね。
「やっときゃ良かったですか?」
ヤバい。田中茉莉子を看取るシーンがギャグにしか見えへん。大久保佳代子で、このシリアスシーンはあかんやろ。高畑充希ちゃんの、超熱演も中途半端に笑いそうになる。ヤベー!と思ってたら。「やればよかった」ですか?クソ。結局は笑い取りやがったw
タナダユキさんは結構好きな監督さんです。「ロマンスドール」とか最高でした。よって期待値髙目で鑑賞開始。でも少し腰が痛いw
しかし充希ちゃん。ちゃんとJKに見えます。コスプレ感無しってのは凄い。大久保佳代子、あなた若い男を部屋に連れ込むタマには見えねーぞ。この2人の絡みが楽しいです。
と言うか。
高畑充希の男言葉がツボ。高校時代の、あの内向的な子が、どこでどんだけ鍛えられたら、こうなるんですか?って突っ込みたくはなるけれど。
映画愛物語り、最近多いです。イヤ、またかよ?ってのは、正直あります。柳家喬太郎さんって噺家の方ですよね。ここが今ひとつ乗り切れん要素になってしまって気持ちが入らない冒頭部。
コレがコレがコレが。
女子2人の物語り。充希ちゃんが、根暗な映画バカに成り下がる回想パートで逆転かまされます。いつもの様に「映画愛物語りには評価が甘くなるの法則」、いつの間にか大発動ですよ。
ちょっとだけ涙が滲むと、その後は涙腺ユルユルになってしまう映画って、あるじゃないですか。「ニュー・シネマ・パラダイス」が、その代表みたいなもんですが。レベル違いじゃありますが、その類いのヤツでした。
1450ナリ。のどんでん返しは想定の範囲内ながら、一旦ユルユルになってますから。涙腺が。普通にやられました。
なんと言っても。
一応、バオ君に聞いときたいんだけどね。
「やっときゃ良かったですか?」
ローカル映画、頑張れ!
と言うか。
広島ローカルも、頑張って!
良かった。普通に。
半分暗闇観ながら感動したり笑ったりしてる私たち
観てて「生きている人との約束は破れても、死んだ人との約束は破れない」昔何処かで読んだそんな言葉が思い出されました。出典は忘れましたが何かのマンガだった気もするんだけどなぁ。何だったかなぁ?
全く事前知識なしでドラマが先にあったことも知らずに映画.comの解説だけ観て「映画館の話だったら観とこうかな」ぐらいの気持ちで観に行ってきたのですがメッチャ面白かったです。笑って泣けて良い時間でした。
確かに映画館って良い空間ですよね。たまに近くの人がマナー悪かったりでハズレる時はあるにせよ、映画好きな人には欠かせない場所です。半分暗闇なのはデジタルになった今はどうなんでしよう?ってあさひ座って今もフィルム上映なんでしょうか?ミニシアターが経営が厳しいのもよくわかります。自分も行くのは大半シネコンですし😓でも、ミニシアターにはミニシアターの味があるので、やっぱり無くなって欲しくないですよね。
オフィスIの人が言ってた「今の若者はYOUTUBEを観る」というのも間違いではないんですよね。昔に比べて人の趣味は細分化されてますし、それに対して時間が有限なのは変わらないですし、何に時間を使うかでお手軽で無料でそこそこ楽しめるYOUTUBEに人が流れるのは仕方ない事かなっとも思うのですが・・・でも、個人的にはYOUTUBEの動画では感動したことはないんですよね。そこが映画との大きな違いかなっと思ってます。
で、本作ではやっぱり大久保加代子演じる田中先生がスゴく良かったですよね。生徒に寄り添うっというか先生なのに等身大な自分でいるって感じでしょうか。学校の先生に特に思い出がない私としてはああいう先生に出会えるのってとても羨ましく感じます。亡くなる時も悲しいはずなのに笑えるという。あれも田中先生ってキャラクターがあってこそ。脚本も手掛けているタナダユキ監督メチャクチャ上手いと思いました。茂木莉子と森田支配人のやり取りも良かったですしね。他の作品も観てみようかな?
舞台が福島って事で、どうしても3.11は避けて通れない話題ですし、震災前のようには戻れないですし、同じようにコロナ前には戻れなくって。何処も厳しい状況には変わりないんですけど、それでもいい映画って観た後に現実に戻って明日からもまた頑張ろうかなって前向きな気持ちになれる。やっぱり映画は自分には必要な娯楽で、本作もスゴく映画的な終わり方だったのでメッチャスッキリして劇場を後にしました。
しっかし、「青空娘」「東への道」「女の泣きどころ」って全くわからなかったのですが、浜野さん映画好きになって数年で良く知ってるなぁ。配信検索しても何も見付からなかったです。どうすればあんなに映画わかるようになれるんだろう⁉️やっぱ業界に入ってる人ってレベルが違いますね😅
映画館で映画を愉しむという幸せ
高畑充希さんが、朗らかで何事もひたむきに頑張る浜野あさひ(茂木莉子)を魅力的に演じる。
教員が特定の生徒と深く関わる事は、なかなか難しいとは思いますが、気さくで困っている者を放っておけない(あさひの)恩師茉莉子を、大久保佳代子さんがナチュラルに演じていた。
光石研さん、お父さん役が続いていますね(^^)
甲本雅裕さんが、この作品でも味わいのある演技を。
街の人々から親しまれ愛されるミニシアターへのエールと共に、映画館に足を運びたくなる、そんな映画愛に溢れた作品でした。
映画館での鑑賞
映画館でみるべき作品
あたたかくて優しい作品。こういうものこそ映画館でじっくり味わってほしい。高畑充希さんはもちろん先生の大久保さんも病気に見えないところ以外演技は良かった、柳家喬太郎さんは、噺家さんというのを忘れてしまうほど演技がナチュラルでした。
映画館の再生はおまけだった。
私は映画へのオマージュとか、映画制作とか映画館の映画が好きです。
最初、廃業を決めた支配人がフィルムを燃やしてるんだけど、何故か、細かく切ったものを焼いてる。焼いてる途中にちょうど主人公登場。
焼くんなら、丸のまま焼くやろ。名残惜しそうに焼くなら、少し切っては灯油缶、少し切っては灯油缶。それならわかる。
ここから、この映画にははまらないかもと思ったが、最後までそうだった。時間軸の行ったり来たりも心地よくなかった。
あらすじを読むと、みんなに愛され100年続いた映画館の閉館をなんとか食い止め、再生させるストーリー、と思ったけど、それに関する設定や説得力が皆無だった。
安直にクラウドファンディングで資金を集め、最後は遺産と親からの援助で唐突に命拾いするが、今後の集客方法が示されるわけでもなく、1450万円注ぎ込んだのが無駄になるのが見え見え。仮にそれらを返済しないとしても、従業員二人(プラス将来はその家族)を養えるほどになるとは到底思えない。クラファンのリターンさえ提示しないし。
東京行って、映画の買い付けをした専門家?の卵?の主人公が、映画館経営の能力を見せつけるでもなく、都合よくストーリーが進むだけ。その口の悪さも私には受け入れられなかった。クソ親父とか、やたら言ってたけど、子供の頃からそうだったのか?
大久保佳代子と外国人実習生の関係は唯一面白かったが、大久保さんの演技自体はどうにも。
震災を絡めると、その作品を批判しにくい感じもするが、なんでこんなに評価が高いのかが不思議なくらい。
映画館で観るほどのものではなかった、と思ったら、最後に出て来た竹原ピストルが、ドラマに繋がるようですね。どちらもTVで良かったかな。
ふたりの絆 三人の想い
いつもの映画館で公開されずやっと観れました。少し遠い映画館で観賞。
南相馬市を舞台に朝日座の
映画館を再建するため奮闘するお話
恩師の大久保と生徒の髙畑の絆が温かく心地いい
朝日座の支配人の柳家と髙畑の会話も
漫才の様なテンポで笑いが出る
借金があって立ち行かない現状で
朝日座の再建はムリだろうと思っていた矢先
たくさんの近所の人達の助けがあって
恩師である田中先生の寄付もあり
あさひの父である浜野交通さんからの寄付で
朝日座を存続でき再建する事か出来た
三人の想いが叶った
終盤に竹原ピストルが出てくる
。。。茂木莉子に近付いてくる
。。。ドラマに繋がっていく
。。。このドラマもおもしろい
心の中でドラマのことを思い起こしながら
映画の余韻に浸った
映画と映画館と、そして地元を愛する人たちへの愛情がいっぱい詰まった作品です。観たあとに前を向く力が涌いてきます。
街を歩く馬。 すれ違う主人公。
振り返りながら歩き、危うくフンを踏みそうに。 うぉ 危なっ
この予告のシーンが印象的でした。
映画館の存続を目指すお話と知って鑑賞です。
◇
舞台は福島。
東日本大震災。 津波被害。 原発事故。 風評被害。
そういったものを背景に
高畑充希演じるヒロインが
南相馬市のローカル映画館「朝日座」を再建しようと
借金返済を含めて活動を開始します。
あきらめ半分の支配人(柳家喬太郎)をあおり
朝日座の売却に関わった不動産屋(甲本雅裕)を巻き込み
クラウドファウンディングを立ち上げ
街中に上映ポスターを張り
と
活動を続けるヒロイン達。
現在のシーンから時折
ヒロインを含めた過去のシーンに飛ぶのですが
その過程で
次第に明らかになっていくみんなの過去。
そこに登場する人たちもまた味のある方々で。
特に光っていたのが
高校時代の恩師(大久保佳代子) ☆ビカイチの存在感
主人公はこの先生では? と思えるくらいでした。
※ベトナムの技能実習生(佐野弘樹)も良かったなぁ
↑ 演じた役者さん、実は日本人と知りビックリ (…汗)
映画館を取り壊して
スーパー銭湯にしようとした社長も、結局は
純粋に郷土愛ゆえの行動でしたし
なんかこう
悪い奴が一人もいませんでした。
余りにも良い人ばかりで不自然じゃないか なんて
天の邪鬼な事を少しは思ったのですが
この作品は、
映画と映画館を愛する人たちへの応援歌かなと気付き
ならば妙な捻りは不要と、すぐに思い直しました。
全体的に地味な展開のお話でしたが
観終わって後にとても心地よい気持ちになれる
素敵な作品でした。
◇最高のひとこと
「やっときゃ良かった」 (…ナニを?)
先生らしい、とてもとても素晴らしい最期の言葉。
「後悔」 「心残り」
本来の言葉の意味とは裏腹に、 なぜか
後悔の思いを全く感じられないのです。
この言葉は
もしかしたら自分の死に縛られるかもしれない
残される若い者を
呪縛から解き放つためのもの
だったかもしれませんね。
◇最期に
もぎりといえば「片桐はいり」さん (私的には)
出演されてなくて残念でした。。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
高畑充希さんのコンチクショウ感に心を奪われました。
大久保佳代子さんが良かったんです。愛すべきキャラクターを嫌味なく演じられていたなあと思います。ちょっと悲しさもあって、それを、「いいのいいの」とあしらう感じにやさしさとかわいさが見られました。
柳家喬太郎さんの、ビデオメッセージに泣いてしまいました。
神尾佑さんの社長が良かったです。本当にあの人はあの人で正義を持っていて行動しているというのに感動してしまいました。
高畑充希さんは、映画界に向いているなあと思いました。嘘を本当にできるファンタジー界の妖精ではないかと。
甲本雅裕さんのダッシュからのはあはあが良かったです。その人の誠実さが出ていたと思います。
復興か新興か
「閉鎖予定の寂れた○○(映画館)を復活させる」という展開はもう散々やり尽くされた感があり、陳腐にさえ感じます。
エンディングまでの大どんでん返し等で強烈なカタルシスがないと、正直いってキツいんじゃないかな…?って思いながら観てました。
大久保佳代子が出てなければ、見る価値の低い映画のような気がしました。
ただ、映画館の存続が決まり、モギリコと支配人が語らう、ラストシーンは新たな視点の切り口が盛り込まれており、個人的にはとても良いシーンだと思いました。
そこのシーンでは、(映画のなかでは敵役の)開発業者によって、地元密着の経済対策としても再現性の高い大型施設が建設されるはずだったのが、さまざまな人々のノスタルジックな善意によって朝日座を存続させることになり、それに対して、二人が「ホントにこれでよかったのかな?」「これでよかった、って風にこれからしなきゃいけないな」みたいな会話を交わします。
映画館を存続させ、慣れ親しんだコミュニティを再生される「復興」を選び、大型施設を建設し、より経済的に利のある循環性を実現させる「新興」を選ばなかった(映画では他の土地に建設する)ことに対して、課題を放り込んできていました。
「思い出のつまった映画館が資本の波に飲み込まれなくてヨカッタ、ヨカッタ」
とは単純になってない感じで、私にはそこが好きでした。
ただ、もっと福島に縁のある俳優さんを使って欲しかったなぁ。
タイトルなし(ネタバレ)
福島県南相馬にある古い映画館・朝日座。
閉館を決めた館主・森田(柳家喬太郎 )のもとへ、ふらりと若い女性(高畑充希)が現れる。
彼女が言うには、自分の人生を救ってくれた恩師・田中茉莉子(大久保佳代子)の最期の願いを叶えるためだという。
しかし、森田は、もう閉館は決めたことと言って取り合わない・・・
といったところからはじまる物語で、古くからある映画館の立て直し(建て直しではない)映画かと思っていました。
ま、その側面は大いにあるのですが、こりゃ「女」の物語ですな。
とにかく印象深いのが、主人公の恩師役・大久保佳代子で、脚本時点でアテ書きと思うほど、キャラクターがピッタリとハマっている。
芯はしっかりしているのだけれど、ちょっとだらしない。
だらしないかと思うと締めるところは締める。
したたか・・・というのとはちょっと違う、女のずぶとさ。
劇中、彼女が男に振られるたびに観るのが、1975年の松竹映画『喜劇 女の泣きどころ』(瀬川昌治)だけれど、その当時の松竹映画の「女」シリーズを思わせるようなキャラクター。
監督・脚本のタナダユキも、意外と図太く繊細なのかもしれません。
そんな女の生命力と(といっても最期は死んじゃうんだけど)ともに描かれるのが、東日本大震災以降の日本の姿。
主役ともいうべき朝日座は震災をきっかけに衰退、地方の街は疲弊の一途。
主人公の一家は、父親は事業で成功するものの、最終的には一家離散。結果、主人公は「家族の絆は幻想」というところに至ってしまう。
茉莉子の最期の恋人はベトナムからの技能実習生で、その実、搾取されるだけの安価な労働力・・・
と、現実世界が重くのしかかっていきます。
そんなこんなの中、最後の最後に朝日座はやり直しの道を再び歩みだすことになるのだけれど、その助力は、
クラウドファンディングと地域コミュニティ、
朝日座を愛してやまなかった茉莉子の遺産(実際には、恋人で後に夫となるベトナム人が代行するのだが)、
それと、仲たがいしていた主人公の父親の援助、
と三方でおさまるわけで、この枠組みには、国の支援がない。
ここいらあたりが、タナダ監督のリアリズムの肌感覚といったところで、とても好ましいです。
映画的には、主人公と恩師・茉莉子の物語に比重が置かれ、朝日座館主とのやり取りは、ほぼ映画館の前の広場(というか空き地というか)で展開されるのが、映画の画的には寂しいところ。
とはいえ、オリジナル脚本でのチャレンジ映画でもあり、そう悪くは評価できませんね。
評価は★★★★(4つ)としておきます。
なお、館主セレクトの困惑の2本立て(本人は思っていないが)は、『トト・ザ・ヒーロー 』&『怪奇!! 幽霊スナック殴り込み!』、『永遠と一日』『北京原人 Who are you?』。
『怪奇!! 幽霊スナック殴り込み!』は未見なので調べてみたら、タナダユキ主演じゃありませんか!
うーむ、観てみたい!
おまけに、お客様ダイ感謝祭として企画していた「ダイ」の付く映画2本立てなら、
『大統領の陰謀』と『ダイヤモンドは傷つかない』、『ダイヤモンドの犬たち』と『大統領の理髪師』、『第七の封印』と『第七の予言』なんてのもあるかなぁ。
学校の屋上でタバコの煙りをくゆらしていた恩師への恩返しの話し 🎵ボクの好きな先生~ ボクの好きなおばさん みたいな
銀座のシネスイッチ銀座で見ました。
ビルに挟まれた古い建物の雰囲気のある老舗の単館です。邦画を掛けることは珍しい。しかし、今月は「先生、私の隣に・・・」との2本だけの上映です。
トイレが和式で、お尻ふくのも立ち上がるのもすごい大変。
地代も高いでしょうし、閉館しないか心配しています。
早くウオッシュレット付きの洋式に変えてくださいな🙏
東日本大震災のあとタクシー会社をやめて、自分で新しいタクシー会社を興し、震災成金と言われた浜野朝日交通(こ~ちゅ~)の会社社長(光石研)の娘、浜野あさひ(高畑充希)が映画好きになったきっかけをくれた高校の恩師、田中茉莉子(大久保佳代子)の夢を実現させようと福島県相馬市に実在する100年の歴史のある映画館朝日座(ASAHIZA)の再建に奮闘する、タナダユキ監督のオリジナル脚本のヒューマンドラマ。
若尾文子や大地喜和子主演の昔の映画もチラッと見られます。
新宿武蔵野館のプチセットもいい雰囲気で、勉強になります。「怪奇、幽霊スナック殴り込み」って主演タナダユキの杉作J太郎監督の2006年の作品。
大久保佳代子のイタイ恋愛遍歴多めのぐっちゅぐちゅの熟女キャラを存分に生かし、最後に落としてきた。
臨終の茉莉子の最後の一言は、「なんだ、(バオ君と)やっときゃよかった」だった。
バオ君役の佐野弘樹がベトナム人の実習生役を好演。8年間毎日、「茉莉子ちゃん大好きだよ」と言われる幸せを手放ししたくなかったのでしょう。死因は乳ガン。ヤっていれば、バオ君が早期のうちに気が付いたかも。本当に好きで大切な男の子は最後まで襲えなかったのね~ そーゆうところも大久保佳代子にはある。自分でウソツキ鴎になっちゃったんだね(注1)。
名画座vsスーパー銭湯&リハビリ施設じゃ、癒しのツボが違います。
知らない他人と同じところで笑って、違うところて泣く。それが醍醐味。
柳家喬太郎はキザな落語家なんで、映画館の席亭似合ってた。クラウドファンディングのことをクラウドチアリ?って、ボケかまし(注2)。
予告編での高畑充希のセリフがこの場面のこの下りかと大変楽しめました。
ばかやろーまだ始まっちゃいねーよ。
じじい、ぶっ飛ばすぞ。
高畑充希は元気がよくて、共演者を巻き込んで引き立ててくれますね。なかなか貴重な人材だと思います。オイラもぶっ飛ばされたい🤩
注1:ウソツキ鴎は小林幸子のデビュー曲。
注2:壁に耳あり、クロードチアリ。古典的なダジャレ。
さっぱりとしていい映画でした。
都市部に見に行くかずっと悩んでたら一週間後に近くで観れました。
高畑充希はやっぱり高畑充希なんですが、大久保さんなんかいい色ですね。
あと甲本さん良かったですが、何故か少ししか出てない大和田さんの印象が一番強かった。
なんのないストーリーだし、淡々と進んでいくんですが、言葉の使い方がいいし、小気味のいい日本映画って感じでした。
結構印象に残る言葉多くて、半分暗闇とか根暗どもとかまぁ他の方がたくさん書いてる感じです。
血のつながりが大切か個人の関係が大切か、それはとても難しいことだと考えさせられました。
大好きなイーストウッドのグラン・トリノの看板が見切れていたり、ネバーエンディングストーリーの看板が見切れていたりもすごく良かった。
口が悪いが心はあたたかい
高畑充希ちゃんが偽名:茂木莉子(本名:浜野あさひ)の、2003年高校三年生(17~18歳)と、2020年の映画配給会社の社員(32歳前後?)を演じていて、それが違和感なかったのがすごかった。
それと、大久保佳代子が演じるあさひの高校の恩師がいいキャラで、作品全体の背骨になった感じ。
主要登場人物全てが、口が悪いが心はあたたかいという、悪人がいない世界なのが心地よかった。
ただ、「ホリプロと福島中央テレビが、開局50周年記念と震災復興半ばの福島を伝える意図な作品を」とのことで興味をもったのだったが、後日譚にあたるドラマがあるとは知らずに行ってしまったんですわ(つまりはドラマ版未見)。
さぁ、これからテレビドラマが始まるよ、挫折し自殺を考えている映画監督(竹原ピストルさん)が朝日座を訪れて…というのが映画の終わりだったので、なんだろこの尻切れトンボはと。
映画としてはまず1本で完結して、ラストシーンはMCUのようにエンディングテロップ後のポストクレジットで処理すればよかったのに…という残念感が少し。
メインは大久保さん。
初っぱな、(たぶん)ドクターマーチンの8ホールブーツの白から始まり…お洒落な映画なのか?と思ったら、違ってたf(^_^;わざとダサいファッションにしてるのだと…
主役の高畑さんを食ってしまう、恐ろしき女芸人、大久保さん。
途中、出てくる映画はレトロ過ぎて、ここ十余年、新参者の私には、さっぱり解らなかったです。
色々あって、最後のお言葉が、全くおっさんデス。(絶対にそう言うだろうと思った私もおっさん化してますね)
しかし、ガンなんだから、少し痩せれなかったんですかね?まぁ、大久保さんらしいとも思えますが、メイクさんにもう少し何とかして貰えなかったのかな?
でも、面白かったので許せます。
コロナが収束したら、あさひ座に行きたいですね🎵
映画館に居合わせた他の人達が愛しく思えるような
そんな映画。半分以上は暗闇を見てる根暗たちの集まり、みたいな。みんな口が悪くて、それがいい。私が1番響いたのは、無くなりそうになってから大切さに気づいて惜しむんじゃなくて、いつ会えなくなっちゃうか、なくなっちゃうか分かんないんだから、普段から大切にしなくちゃいけない、というような言葉。大久保さんの演技と役所が評判通りとても良くて、私も心に大久保さん、田中先生のようなスペースを持っていたいなぁ。
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