「柳家喬太郎を始めキャスティングの勝利」浜の朝日の嘘つきどもと 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
柳家喬太郎を始めキャスティングの勝利
先日、誘われて柳家喬太郎の高座に初めて足を運び、その話芸というか、演技力にすっかり魅了され、師匠が映画好きで俳優業にも挑戦しているという情報を得て、早速、配信で鑑賞。
冒頭、すでに廃業が決まった港町の映画館のスクリーンに、大好きな無声映画を映しながら、映写室の窓からそれを見守る館主役の喬太郎は、期待通り、そこはかとない憂いを帯びていて瞬間的に引き込まれてしまった。
しかし、映画はさらに奥が深かった。東日本大震災で被災し、映画館の形態も激変する中で、たとえ長年地元民の憩いの場所だったとはいえ、名画座を残すべきなのか、それとも、地域復興のために総合娯楽センターに建て替えるのが得策なのかという、究極の命題を突きつけてくるのだ。
そこで魅力満開なのが、映画愛は半端ないのだがプログラミングのセンスに問題がある館主の喬太郎や、高畑充希演じる主人公に名画座復興のミッションを託す同じく映画愛は半端ないが男選びに難がある高校教師役の大久保佳代子だったりする。
結論としてはキャスティングの勝利。折しも、アメリカのアカデミー賞には来る2026年からキャスティング部門が設けられることになった。
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