ドライブ・マイ・カーのレビュー・感想・評価
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サーブとタバコが作る流れ
だいぶ前から話題にはなってたけど、私の苦手な村上春樹原作だし3時間あるし、ずっと二の足を踏んでいた。
でもゴールデングローブ賞も受賞、今後混みあうなら今しかないと観に行った。
まず、3時間は決して長くはなかった。まさにずっとゆったりドライブしているような映画の流れ。
亡き妻が語った話とチェーホフの演劇両方が、まるで劇中劇のように進んで行く。
走るサーブの個性とタバコが作る時間が作品の重要な芯となっている。
ただ多くの受賞作がそうであるように、エンターテイメント作品では無いので、気軽に人に薦められるものでもない。
ラストシーンについての想像… ネタバレです!!
1番語りたいのがラストシーンについてです… 赤い車、北海道の女の子、ワンちゃん…
このシーンの舞台が韓国なので… 私が妄想したのは、韓国人夫婦(ワンちゃんとセット)と家福(赤い車とセット)たちと仲良く幸せに暮らせてたんだなと…
親を見殺しにしてしまった女の子と妻を失った男(家福)が互いを支え合って幸せだから… 赤い車内で女の子が笑顔を見せてたんだなと…
つまり、二人は結婚して、あの韓国人夫妻とワンちゃんと仲良く暮らしてるのだと感じました。
ちなみに私の母は、家福が女の子に赤い車をプレゼントしたのだと予想… 家福は、日本で頑張っているのだ…と それなら、あんな幸せな笑顔になれるかな!?
しかも愛車と離れ離れで寂しいでしょ!?と私は感じました。 それでも想像を楽しむところに映画の持つ素晴らしさが隠れているわけで、それで良いと思います。
最後に音さんの美しさや女らしさ魅力、そして家福を舞台上で癒やした韓国女性俳優の見事な演技、また西島秀俊さんの素晴らしい名演技と美しくたくましい身体に心から拍手を贈ります。
この映画は10回観ないと理解はできないくらい奥が深いです。 ありがとう御座いました(感謝)
小説の臨場感
設定の通りなのですが、初めから終わりまで小説を読んでいる感覚でした。3時間は長くは感じませんでした。私は読書が得意でなく一冊に何日も掛かってしまいますが、こんな感じで一冊の小説を読めたらと思いました。この映画が欧米等海外でも評価が高いことは大変嬉しく思います。私とは違う観点からかもですが。日本の、私が一番良かったと思ったところはネタバレになるので控えます。あと、逆にインターナショナルな言語感が良かったです。言葉を超えて思いは伝わるし伝えたい。
物凄~く退屈
実は最後まで見ていません。一本調子のセリフ、覇気のない人達、1時間も我慢出来ずに退場。アカデミー賞候補とか?カンヌ等は元々超退屈な映画しか観ない人達向けの映画祭だったが最近はアカデミーもカンヌ化して来ており今後受賞目的の為の作品が増え映画が全体的に面白くなくなる予感がする。
ドライバーとの旅の行方
レビューしたときのアカウントが不明のため、履歴保管のため再レビューしました、
1 家族を亡くし失意の演劇俳優が、地方での演劇公演をきっかけに、自己再生を図るまでを描いた人間ドラマ。
2 映画は、全編を通じ主人公と周囲の人との関係性が面白い。 先ずは脚本家の妻との関係性。変わった方法で互いの仕事を手助けする良きパ−トナ−。その一方で不貞する妻、主人公は妻の背信を知っても夫婦の破綻を恐れ素知らぬ顔。妻もバレたことがわかっている。そんな奇妙な関係。そして、妻は話があると言ったその日に急逝。主人公には失意と謎が残る。 二年後、主人公は地方公演で、演出を担う。アジア人による演劇。オ−ディションから始める長期間の遠征。そこでは、演劇の主役に抜擢した若者との関係性がスリリング。また、公演を主催する韓国人夫妻の純愛ぶりが清々しい。
3 そして、主人公専属の寡黙な女性運転手との関係が重要となる。二人が言葉を交わし、互いに身の上の一端を知る。彼女の不幸な生い立ちと運転を覚えた悲惨な経緯。彼の妻との生活や亡くした娘のこと。そして、運転手が亡き娘と同じ歳だと判り、両者の心が同調し合う。公演の実施に危機を迎えたとき、二人はある場所を目指す。そこで覆い隠していた秘密や想いをさらけ出し、二人は囚われていたこれまでの呪縛から解き放たれる。 映画は失意の淵から立ち上がり公演で熱演する主人公を写し暗転する。直後、韓国人夫妻の犬を連れ、主人公の車に乗る女性運転手の晴れやかな顔のアップで終わる。傷の癒えた主人公と彼女が自己再生し、疑似家族としての繋がりや交流の継続を感じた。
4 濱口の演出は終始緩むことがない。多言語と手話による演劇の制作過程を中心に据え、主人公と周囲の人との人間関係を巧みに配置しながら、終局までの起承転結が絶妙であった。また、西島の抑えた演技と声のト−ンが作品に安定感をもたらした。
映像と流れの良さ
もともと村上春樹の作品はあまり好みではないのですが、なんとなく興味があって鑑賞しました。
とにかくキャストの演技と、映像の暗いけどなんだか美しい雰囲気に脱帽でした。
ストーリーはやっぱり私は共感は出来ないと言うか、理解出来ないと言うか(笑)
私的にはあまり好みではなかったけど、でも3時間の長い作品を飽きることなく観ることができたのは、やっぱりこの作品の素晴らしさなんじゃないかなぁ〜と思います。
最後には、生きるって楽しいことばかりじゃなくて辛かったり悲しかったりする方が多いのかもしれないけれど、やっぱり生きるって素晴らしいことなんだよなぁ〜とか勝手に前向きになってしまいました。
各方面で素晴らしい評価を受けているようですが、さすが、納得しました。
うーん、よくわからない
公開時は3時間という上映時間に躊躇して見るのを見送ったのですが、国際的に評価が高いということとミニシアターでセカンドランが始まったので見てきました。
共通の言語基盤のない演劇を縦軸に、家族を亡くした男女を横軸に物語は構成されます。
うーん、よくわからない。
・個人的にチェーホフと言う作家の名前は知っていても彼の小説(戯曲)の中身は知らないのですが、そのことがこの作品の理解にどう影響するのか、しないのか・・
・多言語の演劇って流行っているのでしょうか・・・字幕を追いかけるだけで精一杯になりませんか?
・代役を引き受けるかどうか決めるのになんでドライバーの故郷に行くの?
・時間の猶予が2日しかないのに何で広島→北海道を車で行くの?そもそも間に合うの?
・最後の韓国のシーンは何?高評価した欧米の方は日韓の違い理解しているのかな?
最後に一言、ノーマルタイヤで冬の北海道は自殺行為だと思います。雪道を走った方は理解いただけると思いますが・・・
村上ワールドの映像化
村上春樹の50ページにも満たない短篇を換骨奪胎、翻案して3時間近い大作映画に仕立てた。
まず前半、家福が妻と死別するまでが東京舞台。その2年後に配役を募集して『ワーニャ伯父さん』を公演するのが広島。私はこの広島篇がおもしろかった。家福の雇われドライバーのみさきの故郷を訪ねて北海道まで旅するところはやり過ぎな気がしたが全編観終えて満足感があった。演劇論としてもその登場人物たちのドラマとしても、言葉を統一せずそれぞれの母国語、手話も交えて台詞にしたところもおもしろいし、映画として充実していた。ドライバーの寡黙なみさきとの関係性も恋人になるわけではないけれど、それなりの進展がある。
西島秀俊も岡田将生も好演。三浦透子もそれから韓国陣もみな名前もしらなかったが、この映画を重層的なものにしてくれた。ひとり亡くなった音の役だけがどうも違和感を持った。
喪失と未来
2回目の鑑賞。3時間が短く感じる(ここが重要)。まず脚本の練り上げられた構成に敬服。所々、戯曲と絡めながら人間の生きて行くしか無い楽しさや虚しさを然りげ無く描いてくれ、2回泣いた。1回目では感じなかった感情を得られたのは嬉しかった。本当に無駄な音楽やカットが無く、この監督の過去、未来に期待せずには要られません。
因みに、約40年前に免許を取った時に憧れた車か、SAAB900TURBOの赤だったのは余談だが、凄く嬉しい。
ぐっとくるけど、説明過多では
原作未読。
とにかく車の走る風景が美しい。台詞より俳優の姿で画面で語る絵作りも映画的で好ましい。
繰り返し流れるカセットテープの妻の声も、棒読みがだんだん心地よくなる。また、芝居の稽古の場面も、あえて棒読みを強要していて、感情押さえ気味の俳優たちや外国語のせりふとあいまって独特の世界を作り出している。音楽もよかった。
コミュニケーションができそうでできないもどかしさと、つながりを感じたときの喜びと開放感と。それを直接的に体現しているのが韓国人で手話のユナ。通じないのが当たり前のところから見える世界に、心を閉ざした家福とミサキも触発されていく様がクライマックスへとつながる。
が、そのミサキ。過去があり無口で自分のことはなにも話さないのだが、彼女の母親と家福の妻のこととリンクさせる為なのか、最期の告白的なシーンでばーっと明かされる母親の説明は設定盛りすぎでは?急にそんなのぶち込まれてもなあ。なくてもストーリーは全然問題ないのになあ。
ラストがミサキが韓国で家福の車をマイカーとして犬までつれて乗ってるという、説明はないけどいい余韻があったので、終盤もやもやさせられたのが残念
もう一度観たい
私は村上春樹さんの作品が好きなのですが、自分が本当に理解しているのか不安になる事が多々ありました。
この映画は、その謎の部分を炙り出してくれてように、私に入ってきてくれた様に感じました。
(あくまで私の解釈です)
主人公の彼は、相手の行動を冷静に受け止め、それを理解し、受け入れる事には長けています。
でも、それは側にいるものにとっては、距離を感じ、寂しさを感じさせてしまいます。
音は、もっと向き合って欲しかった、叱って欲しかった
主人公は村上春樹さんの作品の主人公の特徴そのもので、今回、西島さんの特に声のトーンが合っているとなと感じました。
音が思い付いた物語を聞かせ、家福はその感情の解釈をし、言葉にしていく
また、多言語の舞台により、言葉のくい違いが生まれるが、実際、言葉は無意味というか、言葉にする事により遠くなる事もあって、気持ちが触れ合う事が重要だと感じさせる
家福は音の物語の中にヒントを探そうとしたが、本当に大切なものは、そこには無かったのかもしれません。
そうやって監督はゆっくりと伝えてくる、、。
私は、今まで彼は孤独を愛しているのだと思っていましたが、この作品の主人公はとても不器用で、相手のことを想うばかりで、自分の事、自分の感情を置いてけぼりにしていました。きっとそうなんだと、しっくりしました。
自分の感情に素直な高槻の「嫉妬してる」などの言葉に、自分の気持ちとリンクして驚いたり、音の思いを伝えられて、揺り動かされ、気づいていく
自分も傷ついて、傷ついた自分に向き合えなかったと、逃げていたのだと
なんて、勝手な解釈ばかりですが、
ともかく素敵な時間をありがとうございました。
その車の行き着く先は
舞台俳優兼演出家の家福と脚本家の妻の音。
2人は円満な夫婦生活を送っていたが、ある日突然、秘密を残したまま妻は逝ってしまう。
2年後、家福は広島の演劇祭で『ワーニャ伯父さん』の演出を依頼される。
オーディションには各国から応募があり、その中には妻と親交の深かった高槻という俳優も。
舞台の制作期間、ドライバーを務めた寡黙なみさきと共に“旅”をすることで、家福は自分自身を見つめ直し、自身の喪失と対峙していく。
村上春樹の短編を濱口監督の解釈で約3時間の映画にしたとか、理解力の乏しい自分には何年かかっても理解できないと思っていたのだが、世界的にもかなりの評価を集めているため、今年の劇場鑑賞納めとして鑑賞してきた。
喪失を抱えた2人の逃避行によって示される一つの答え。
失ったあの人が遺した傷や秘密といった罪に苦しみながら、自らもあの人への罪の意識に苛まれる。
真実は一体何処にあるのか。いくら愛していても隣にいても、その人の心の中を完全に覗き込むことはできない。
「自分の心に折り合いをつける」
相手を見たいと望むなら、まずは自分を見つめ直すべきだと高槻は言う。
私には直接的に提供された部分しか分からないが、これもまた“生きていく”上での一つの答えだった。
“分からない”を伝えることの難しさも浮き彫りになっていた。
この作品には謎が多い。
前世がヤツメウナギの少女の話の結末も、高槻の事件の詳細も、ラストのみさきの生活も。
妻の音に関しては、彼女の存在から謎が放たれている。
一方で、『ワーニャ伯父さん』の演劇は多言語で展開される。
言語が分からなくては意思疎通は難しいが、フィーリングで演じるという手段によって伝えようとする。手話もそうだ。
この“分からない”が現実社会では伝わらないからこそ、「折り合いをつける」ことが大切なのではないだろうか。
この作品がここまで評価されるのには観やすさがあると思う。
普通このような深いテーマで3時間近い長尺ともなれば、途中で少しは飽きが来てしまう。
確かにこの映画も長い。だが、3時間の長さではなく、常に惹き込まれる映像だった。
非常に印象的なカットも多い。
海街や雪国を走る真っ赤なサーブ、トンネルのライトに照らされる家福とみさきの横顔、長回しで真正面から捉えた高槻の独白、車の天窓から突き出された2人のタバコを持つ手。
一つひとつの仕草や芝居に意味がある気がして、片時も目が離せなかった(その分疲れるのが難点だが…)。
濱口映画を完全に克服できたわけではないけれど、新たな扉が開けた気がする。
来年以降の鑑賞になるが、『偶然と想像』が非常に楽しみになった。
〈余談〉
明日(2021,12,26)、約10年間お世話になった我が家の愛車と別れる。
正直次の車へは興味がなかったが、今日最高のドライブ映画を観ることができて、少し車への愛着が湧いた。
渋っていた免許、取ろうと思う。
文学作品そのもの
邦画は終わりのあたりにどんでん返しやすごい感動の場面が訪れるが、それほど高低差のないような終わり方をしているように見えて、実は細やかな感情が散りばめられている。
生き残った者は、先に亡くなった者のことを考えながら生きる。
まさにそれを考えながら、心の中で話しかけ、再会を願い、生きていかなくてはならない。
目の前で母親を見殺しにした女性
傷つき関係が壊れるのを恐れて、帰宅を延ばしたことによって妻を失った男性
その生きていく姿を車の後部座席に座りながら見つめ、時には周りから知らない妻の側面を補いながら1歩ずつ進もうというのを感じる。
あと、知り合いの弁当屋さんがロケ弁を提供していて、エンドロールにあるということも気になって見に行った作品。探したものの見逃したが。。。
自分に素直でいる
自分に素直に生きる事は、とても強い心を持たないと無理だな…
誤魔化せばその時はラクだけれど、後々は生き辛い人生になる…何故なら自分が自分の事を一番よく知っているから
ラストの韓国シーンはそれぞれにお任せ…
私なら、被害者の撮ったphotoがネットで拡散され憶測され炎上し、理不尽にもそこに自由はなくなった故の…
家福と共に韓国夫妻の導きで、仕切り直し的な移住なのかと
SAABだったのか!
ネタバレですかね?これ。
仮面夫婦の物語だけれど、それだけでもなく。
車、という小道具がよい感じに使われてて。
しだいに、あ~村上作品だなと実感する。
残された者の心情が、よく描かれているように思います。
西島くんを堪能できる作品です。
時間的には長いのだけど、長さを感じさせない何かがあります。
村上マジックでしょうか。
静かな余韻がずっと残る
やっと観る事ができました。
尺の長さもあってか、中々上映開始時間が合わなかったんですよね。
だけどそこまで期待値はあげずにフラットな心地での鑑賞。
妻を亡くした喪失と、そこから時間をかけ前に進む物語。
始まるとこれがとても淡々と進むが、不思議と退屈でない。
原作どころか村上春樹作品もまともに読んだ事のない私ですが、本当ページをめくるような感じでみせてくれます。
その描写がとても丁寧で、少し不思議な没入感さえありました。
あと舞台の裏側なんて全然知らなかったので、オーディションから始まり段々と形になっていく様は観ていて実に興味深かったです。
そうして積み上がっていく舞台と一緒に、自身も無くしたものを積み上げていく。
また瀬戸内海の漁港の景色も物語にとてもマッチしていた。
その中で二人がドライブしている映像にとても吸い寄せられ、本当飽きない。というかずっと観ていたいとさえ感じた。
終始平坦な物語を飽きさせず見せる脚本と、主演の二人を初め役者達の演技が素晴らしい。
静かな余韻がずっと残る作品でした。
この179分は、他では味わえない。
まず思ったのが、非常に文学的で大人な内容だなということ。原作は未読だし、村上春樹の他の作品すら読んだことは無いので、あくまでイメージだが、忠実に映画化されているのではないか。
妻を亡くした男の後悔と自戒の物語だが、共感は少ない。しかし、役者陣の演技は本当に素晴らしいし、男の心情と劇中の演劇とのリンクも面白い。文学作品を読んでるような179分、他の映画には無いような感覚を味わうことができる。
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