「もう一度観たい」ドライブ・マイ・カー asmさんの映画レビュー(感想・評価)
もう一度観たい
私は村上春樹さんの作品が好きなのですが、自分が本当に理解しているのか不安になる事が多々ありました。
この映画は、その謎の部分を炙り出してくれてように、私に入ってきてくれた様に感じました。
(あくまで私の解釈です)
主人公の彼は、相手の行動を冷静に受け止め、それを理解し、受け入れる事には長けています。
でも、それは側にいるものにとっては、距離を感じ、寂しさを感じさせてしまいます。
音は、もっと向き合って欲しかった、叱って欲しかった
主人公は村上春樹さんの作品の主人公の特徴そのもので、今回、西島さんの特に声のトーンが合っているとなと感じました。
音が思い付いた物語を聞かせ、家福はその感情の解釈をし、言葉にしていく
また、多言語の舞台により、言葉のくい違いが生まれるが、実際、言葉は無意味というか、言葉にする事により遠くなる事もあって、気持ちが触れ合う事が重要だと感じさせる
家福は音の物語の中にヒントを探そうとしたが、本当に大切なものは、そこには無かったのかもしれません。
そうやって監督はゆっくりと伝えてくる、、。
私は、今まで彼は孤独を愛しているのだと思っていましたが、この作品の主人公はとても不器用で、相手のことを想うばかりで、自分の事、自分の感情を置いてけぼりにしていました。きっとそうなんだと、しっくりしました。
自分の感情に素直な高槻の「嫉妬してる」などの言葉に、自分の気持ちとリンクして驚いたり、音の思いを伝えられて、揺り動かされ、気づいていく
自分も傷ついて、傷ついた自分に向き合えなかったと、逃げていたのだと
なんて、勝手な解釈ばかりですが、
ともかく素敵な時間をありがとうございました。