劇場公開日 2021年8月20日

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「赤い車とカセットテープの哀愁交差点」ドライブ・マイ・カー koゆうみさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5赤い車とカセットテープの哀愁交差点

2021年9月7日
Androidアプリから投稿

当初、上映時間180分と聞いて、
いやー、どこからしら簡略化できるでしょと思っていた。

長尺でありながら全体的に派手な場面転換はない。
特に後半は「舞台の練習風景」と「車中」の絵が大半。
さらに演技も誰もが心の内に隠し持つ喪失感を表したいためか
岡田将生以外の登場人物達は皆淡々としている。というか淡々としすぎている。

これだけ書くと飽きそうな要素が多いのだが、3時間はあっという間だった。

他人に愛車を運転されることに対し
かなり嫌悪感を抱いていた主人公が中盤
「まるで乗っているかわからないくらい丁寧」とミサキの運転技術を称していたが

まるで私も助手席に乗っているような感じで。
最初この作品を「ワォ!」と思いながら見ていたのに、なんともいえない作品の空気感にいつの間にかすーーっとのまれていた。

だが一方で、長尺で簡略化してほしいどころかこんなに長尺でも全て回収しきれていない印象もうけた。カンヌで脚本賞をとったのは字幕で見たほうが入り込みやすいのではないかという考察をみて妙に納得。

事前知識がなくても楽しめたが、原作や劇中劇の戯曲の知識などを知っていればさらに楽しめたことだろう。

koゆうみ