「 車の中で自分の戯曲に浸ることができないからと拒否したドライバーが...」ドライブ・マイ・カー えみりさんの映画レビュー(感想・評価)
車の中で自分の戯曲に浸ることができないからと拒否したドライバーが...
車の中で自分の戯曲に浸ることができないからと拒否したドライバーが完璧な運転をし、ドライバーがいることの存在さえ消してしまうと言う想定は過酷でもある。ドライバーの母が殴りながら彼女に覚えさせた技術だからだ。それは、通常なら母に求めたいコミュニケーションを完全に抑制して他者の前で気配を完璧に消すという行為。でも、逆説的にそれを通じて、ドライバーは彼の信頼を勝ち取って行く。
セックスで始まる妻の物語の裏バージョンでは、もう一人の空き巣の左目を刺すということの比喩。
西島は悪くないのだけど、どちらかというと、私は岡田くんの方が良かった。
夫婦の方が親子よりも過酷かもしれない。一定以上、踏み込めない仲。
空き巣物語。彼の印や痕跡を欲望するとともに、自分の痕跡を残していくというストーリー。それは、夫婦の間で妻が求めたものでもあり、夫は拒否したものだった。
手話の表現の豊かさについては、北川さんのドラマでいつも感じていた事だけど、今回も良かった。
車からの撮影シーンが乗ってる感を与えててよかった。
原作を読んでないからわからないけど、村上春樹的中2病の要素は邪魔な感じ。監督は、人格の分裂(村上だと多重人格か)が声とか物語や演劇の形式で出てくるところに、映画監督として惹かれたのかな。小説よりはこの点で、芝居や映画の方がいい。車という設定、村上だとフェティッシュに収斂しやすいけど、赤い車の存在感が映像の中にある。
フォローありがとうございます。
私、10年位前から、キネマ旬報、kinenote、yahoo映画レビュー等に、映画レビューを投稿しています。現在の目標は2回目のキネマ旬報掲載です。こちらのサイトには昨年2月に登録します。
宜しくお願いします。
さて、本作、全体としてはGoodでした。しかし、多言語劇によって多様性を表現するシーンは、多国籍映画のようでで馴染めなかったです。
国際的な映画祭で受賞するのは邦画にとって名誉あることです。しかし、それは、邦画としてのアイデンティティがしっかりしていることが前提だと思います。
ー以上ー
車の映像良かったです。車内の会話、止めて煙草の場面、車が走る姿。一方で村上春樹的なところー女がよく死ぬ、主人公「僕」がどうたらこうたらーは仰る通りで目障りでした。