「電話越しで時空超えて殺人鬼と対決するという設定が面白い」ザ・コール かちかち映画速報さんの映画レビュー(感想・評価)
電話越しで時空超えて殺人鬼と対決するという設定が面白い
ネトフリやってるなら観てください、大当たり映画です。ここ最近の映画で1番面白い。ランキング上位だから観てみるかー、なんて軽い気持ちで観たけど良い意味で裏切られた。面白かった点は3つある。
1つめは、電話越しで時空超えて殺人鬼と対決するという設定が面白い。
電話で繋がるタイムトラベル映画はいくつかあるけど、今作は+ホラー要素をうまくミックスしていた。電話の相手が殺人鬼なので終始ハラハラ。登場するシーンは家がほとんどで代わり映えないのに、一歩間違えたら家族殺される緊張を主人公と味わえて飽きることなく観れる。下手な交渉系の映画よりも手に汗にぎる。
過去未来がころころ変わり観づらいかと思いきやテンポもよく、この手の映画にしては分かりやすかった?台詞で状況をくどくど説明するのでなく、イチゴや手帳など小道具をうまく活かしていたと思う。特に分かりやすかったのはソヨンの服装だ。父生存のハッピーな未来ではお嬢様な外見、父死亡のバッドな未来では地味な外見、と一目でソヨンの環境が分かりやすかったので助かった。髪型と服装であんなに印象変わるとは思わなかったな。どっちも可愛かったけど。
2つめは、ヨンソクの狂気じみた演技が怖い。
悪役が怖くて魅力的な映画はハズレることないけど、今作も例外ではなかった。最初は地味で引きこもりがちな大人しい女の子、という印象だったけど、徐々に殺人鬼に目覚める過程が恐ろしい。最終的には澄ました顔で人体を切り刻む殺人鬼になってしまうのだから。人を実際に殺したんじゃないかと思うくらいの役作りに脱帽。
「今日が私の誕生日だ」義母を殺して初めて外に出た時、今まで溜まってた欲望が爆発したのだろう。チキンに食らいつくシーンが印象的で観てたらお腹空いてきた。そりゃあれだけ野菜しか食えない生活してたら、肉をむさぼり食っちゃうよね。
どの未来でもヨンソクが殺人鬼で、救いようがないのはちょっと可哀想だった。実の母が死んで義母に虐待されて育ったら、性格歪むのもわかる気がする。そんな中で唯一、ソヨンが理解者で友人になりかけたのに、ソヨンにも冷たくされちゃうなんて...。父親が生き返った途端、電話出なくなるソヨンには俺もイラついた。恩人なんだから電話出てあげようよ。もしあの時電話に出て、お礼の一つでもヨンソクに言ってあげてたら殺人鬼にならなかったかもしれない。
3つめは、ハッピーエンドかと思いきや最後のどんでん返しにノックアウト。
母と娘が和解してめでたしめでたし...うんうん、何だかんだ良い話だったなぁ、と思ったのも束の間。ヨンソクが実は生きていてソヨンの母を殺しにかかる。ソヨンの母親の姿が消えて、ソヨンが監禁されて映画終わるとか衝撃的。あの後ソヨンはどうなったんだ...最後はヨンソクが微笑むエンドになったのかな。
母と娘の和解エンドでも終わっても良かったけど、韓国映画さんはそれを許してはくれなかった。ホッコリした良い余韻を、ヒヤヒヤ悪い余韻で上書きしてくるなんてさすがだ。韓国映画の特有の絶望感クセになるんだよなぁ。
これがネトフリオリジナル映画なんて凄すぎる。毎回クオリティに驚かされるけど、今作は特に群を抜いて面白かった。タイムトラベルやホラー好きはもちろん、ネトフリ入ってるけど何観たらいいか分からんって人にもオススメ。ランキング上位の名は伊達じゃなかった。