「タイプライターの音、マンクの愛嬌と知性」Mank マンク talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
タイプライターの音、マンクの愛嬌と知性
なんだかすごく面白かった。ハーストの金持ち振りがあまりにアホみたいに極端で笑ってしまう。ハースト・キャッスルのお庭、噴水、動物園(象、山盛り!)、ゴージャスな室内。趣味が趣味すぎて、悪趣味スレスレ(動物園付き豪邸は、ベルモンドの映画にもありました!「ムッシュとマドモアゼル」原題は、L'animal)。
マリオン(とっても可愛い💕)がパパと呼んでいたので、最初は親バカの父親なんだと思ってたら、その人がハーストだったのか!と遅ればせながら気がついた。そのハーストと愛人のマリオンとマンクはあんなに近い関係で親しかったのか。マリオンとマンクの間には信頼関係があるし、ハーストはマンクと話すのを楽しんでいて彼の前ではいつも紳士。これは事実?フィクション?
マンクはアル中で、凄いインテリで弟もインテリで、言葉と文学の人。そして失業した仲間を助け、命を救おうとしたり、ナチのドイツから村ひとつ分の人たちをアメリカまで逃れさせてやったりと、正義と行動が伴ったリベラルな人。お金もあったんだろうな。
カリフォルニア州知事選挙では、ハーストはあからさまに民主党のシンクレアを叩くでっち上げのラジオ放送・映画を制作し、映画界もそれに媚びて共和党万歳状態!マンクは何が真実かわかっていたから、共和党候補への寄付金はビタ一文出さない唯一の映画人、賭事は大好きなのに。選挙開票待ちの金持ちパーティーには、妻から一言もしゃべらないでね、と念を押されて出席するマンク。悔しいし、むかついただろう。初めは出入口近辺のテーブルだったのに、マンクとわかるやいなや、一番セレブのテーブルにご案内ー!この感覚が面白くてゾクゾクした。この時代はまだ、自分を批判する「道化師」を身近におくことは知的であり余裕であるという感性がアメリカにもあったのかな。
マンクにはなんともいえない愛嬌と魅力があって、脚本家としての才能が飛び抜けていたんだろう。でなければ、オーソン・ウェルズが彼を缶詰めにして書かせる訳がないし、妻のサラがずっと彼と居るわけもない。サラはマンクと居ると楽しい、笑わせてくれるということを言ってた。
世界恐慌直後のものすごい貧富格差、ヨーロッパではヒトラーの台頭、そしてアメリカではヒトラーがまだ過小評価されていたこともよくわかる。キングコングが良きにつけ悪しきにつけ映画界では大きな話題だったんだろう。そんな中での「市民ケーン」の映画化は大変に違いなく、ハーストらによる妨害工作の凄まじさも想像できる。
映画「市民ケーン」は一度だけ、いつかどこかの映画館で見た。とても面白くて素晴らしい映画だと思ったが細部しか記憶にない。一番印象的だったのは、かなり後半部分、孤独なケーンの大豪邸の中の暖炉です。ウェルズがそのまんま屈むこともなく入れてしまうほどの巨大な暖炉です。細部だけど巨大な記憶でした!
とにかく「マンク」面白かった。さすがフィンチャー!この映画のフライヤーの絵が、ベルリンのドイツ表現主義のテイストで映画にぴったり!そして、タイプライターの音に痺れました。
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大体どこの国でも、映画「市民ケーン」はオリジナルに合わせた同じタイトルですが(全部、調べた訳ではありません)、イタリアでは「第四の権力」となってました!映画も新聞も含めたマスコミをピッカーンと刺していて一番いいタイトルではないかと気に入りました。イタリアにはベルルスコーニ、アメリカ合衆国にはトランプが居た(過去形で書いていいですよね)。そのアメリカ合衆国の映画監督が、今、作った映画なんだ!
コメントありがとうございます。
お父さん、生きてらしたらどんなにか喜ばれたでしょうね。
とても難しくて苦労しましたが、ゲーリー・オールドマンさんが、
ほんとうにチャーミングでしたね。
観て良かったです。
talismanさん、コメントありがとうございます。
いやはや、映画館に行けるのに全然行ってなかったです・・・(汗)
連休最後の日くらいは!!て気持ちでした。
前日に『市民ケーン』を予習していったのですが、市民ケーンのほうが面白かったです・・・
今晩は
今作、デヴィッド・フィンチャーらしく、展開が早くても、とても面白かったですね。
当時の状況を少し調べて、レビュー書きました。
コメント、僥倖です。
では、又。
コメントありがとうございます。
色んな見方あって、見る度新たな発見ある作品ですよね。
名作誕生秘話であり、ハリウッド黄金時代の物語であり、その時代の政治劇でもあり、一人の男の生きざまでもあり。
本当にさすがフィンチャー!
そして、さすがオールドマン!です(^^)
家だと寝落ちしちゃうこと結構ありますよねw
マンクや市民ケーン、この時代のハリウッドに詳しかったらくすぐられ捲くるんだろーなーと思いつつ、そこまで準備して鑑賞するのは難しいですからねぇ(´・ω・`)