MISS ミス・フランスになりたい!のレビュー・感想・評価
全11件を表示
何者かになりたい
幼い頃、事故で両親を亡くした少年アレックスは施設を転々として今の住処に落ち着く。そこは口の悪い家主のヨランダを筆頭にドラッグクイーンのローラ、移民のインド人親子、夢だけはでかいニートのコンビと一癖も二癖もある連中が暮らすアパート。
ボクシングジムの雑用で細々と暮らすアレックスの人生はくすぶっていた。自分はこの社会では何者にもなれていないと。そんな時幼馴染が子供のころの夢をかなえたことを知り、彼の幼いころの夢がふつふつと甦る。
それはミスフランスになるという夢だった。そんな突拍子もない夢でもアパートの住民たちは彼に協力を惜しまず、彼らの力を借りてアレックスはアレキサンドラとなり、決勝への道へと進んでゆく。
しかし彼にはどことなく真剣味が足りない。遅刻を繰り返したりと他のミス候補たちのようなハングリーさに欠けていた。
彼にはどこか迷いがあったようだ。彼が本当になりたい何者かとは本当にミスフランスなのだろうか。
決勝の舞台に立ったアレックスの目には観客席に座る幼いころの自分と両親の姿が。ありのままの自分を愛してくれた両親は死んでしまった、しかしありのままの今の自分を愛してくれる仲間が周りにいることに気づいたアレックスは自分の正体を舞台でさらけだす。彼にとってミスフランスはなりたい自分ではなかったことに気づいたのだった。
ありのままの自分を愛してくれる仲間たちを愛せる自分になれたアレックスはこの社会でもはや何者でもない人間ではなかった。
人種、性別関係なく、人を愛することの素晴らしさを訴えた人間賛歌ともいえる作品。
当時今は亡きテアトル梅田にて鑑賞。再投稿。
何にでもなれる
泣いた。
子どもの頃、見た夢を否定されたけど大人になってその夢に向かって挑戦していく姿。女装している友達をバカにされて怒ってたはずの自分が上り詰めたと思った途端、差別をしたことに気付く。
ラストに向けて見てるこっちは『頑張れ』って祈ってるのに、まさかのコンテストで真実を伝えることにマジか~ってなったけど、温かく拍手してくれた人達に泣けた。
良い映画でした。
軽い気持ちで観始めたのに
泣いてもうたやないかい!!
アレックスがひたむきで泣ける。がんばれ!と応援したくなる。めちゃくちゃ美しいがそれだけではなく、周りに馴染めなかったり男だとバレないかヒヤヒヤしたり、人間らしいところがふんだんにあって可愛い。
周りの人達の優しさやさりげない気遣い、正直な愛ある戒めの言葉も素晴らしい。
コミカルな場面もあるが、性的マイノリティが受ける差別や性暴力を示唆する場面もあり、考えさせられる内容にもなっていた。
アレックスが正体を明かした時の、ブラボーとブーイングの両方が鳴り止まないかんじ、リアルやったなあ。相対する意見をはっきり示すところがフランスってかんじ(知らんけど)。
もし日本やったら、会場シーン…からの大ブーイング、からの、後日ネットが荒れる、やろうなあ(知らんけど)
なぜ…
ミス・フランスになりたいのか、あまりわからないまま、映画は進んでいくが、ラストでやっとわかった。それは自分らしく生きたいため。自分にも自信が持てたのだろう。周囲の人が素晴らしい。美しかった。
認めてくれる人がいる
以下ネタバレ。
アレックスはミスコンの最後
亡き両親と幼い頃の自分に見守られながら
カミングアウトした。
当然、世間にはそれが理解出来ない人もいる。
その一方で、称賛してくれる人もいる。
しかしアレックスは、もうその時点で
世間の反応なんてどうでもよかったんじゃないかな。
応援してくれる同じ家のシェアメイトや友人。
同じ夢を持つライバルたち。
亡き両親や幼い自分。
母親代わりに自分を育ててくれたヨランダ。
私を認めてくれるひとがいる。
きっと、それだけで強くなれるんだろう。
それは、どんな人にもあてはまると思う。
なりたい自分になる、その勇気をくれる映画でした。
わかりやすいストーリーで観やすかった。
なりたい自分になる
アレックスは男性だけど、子供の頃の夢だったミス・フランス・コンテストに出場しようと決心します。
好きだから、やりたいから挑戦する、それでいいと思います。
ミスコンに参加する理由としては弱いのかもしれませんが、美辞麗句やお題目を並べたところで、しょせんはミスコンなのです。ミス・フランスが世界を救えるわけもなく。でも、サッカー選手になりたいのだって、サッカーが好きで、得意だから。別に、サッカーを通して人々に夢と希望を与えたいからではないでしょう。もちろん、成功したら、相応の責任が伴いますけれども。
本作はミスコンの内情も教えてくれます。テレビの生中継で視聴率を上げるにはどうするか。リゾート地を旅する美女たち、と思いきや、今回は北部でエコツアー。海岸でのごみ拾いや、ごみ処理場でのポージングが笑えます。寒さと悪臭の中でも笑顔。男を喜ばせる以外に意味のない水着審査は、最近のミスコンでは無くなりつつありますね。
アレックスは結局、決勝に進んだところで男性だとカミングアウトしてしまいます。でも、舞台上で衣装を脱ぐのは、映画としては面白いかもしれませんが、単に謝罪なのか、自分を受け入れて欲しいという意味なのか、あるいは抗議なのかがハッキリしません。ここは、地区大会でのスピーチのように、自分の気持ちを訴えた方が良かったです。
アマンダは、視聴者受けを狙って馬鹿馬鹿しい企画を考えたりしましたが、すごくいい人でした。
そして、アレックスがとにかく美しいです。
枕元のジュラルミンボックスの中身がみた~い
主演の彼(彼女)はとってもクールでした。最後、決勝進出でカミングアウトしたときの上半身はきれいで、一瞬でしたが、お乳(微乳)もお豆もとてもきれいだったので、オイラからしたら全然女性でした。ホルモン注射はしてるみたい。腰から脚がきれいですごくセクシー。ミスコン出場者の中でも群を抜いていました。
ミスコン出場を支援する謎の女王様が欧陽菲菲 or 渡辺真知子似でしたw
ヨランダ(下宿屋のおばさん)が助演女優賞でした。彼女の沁みるセリフや母親役を引き受けていながらも、ミスコンには批判的な頑固さがとてもよかったです。しかし、土壇場で出場を諦めかけたアレックスに彼女も苦労人なので、人に裏切られ、人を心から信じられなくなって、無頼の生活を続けて来たけど、今は後悔していると告げる。アレックスには同じ過ちをして欲しくない。自分の価値を他人に決めさせるなと励ますのだった。しかし、その直後・・・・。
インド系、イラン系や中年のコテコテのおネエ(FUJIWARAの原西似)のローラなどの個性的な下宿人たち。ボクシングジムで久しぶりに出逢う児童養護施設での親友エリアス(ボクシングフランス代表)、ミスコンで同室のパカ(すきっ歯のアフリカ系ジャンボアフロねえさん)との友情や清掃会社の仲間など、みんなアレックス(アレクサンドリア)をテレビの前で応援します。
一番、辛抱強く支えてくれたのは、地区予選(イル・デ・フランス)から支援してくれるミスコン協会職員のアマンダ。厳しいことも言いますが、彼女(彼)の素性を見抜いていながら、会長には黙っていたなんて。遅刻ばかりで、すっぽかしてばかりのアレックスを見放さない惚れ込み様。アレックスもヨランダに言われて、アマンダを裏切れないと思ったのでしょう。
テンポよく進み、ほろっとさせられたり、にゃっとさせられたりしながら、あっという間でした。なんか、フランス映画らしくなく、短いボリウッド映画のようでした。元気でました。
昔、六本木のゲイバーにいた、とてもきれいな彼女(昼間は大手製薬会社勤務のルナさん)を久々に思い出してしまいましたw
ミスコンに魅力を感じない
LGBTQを題材とした作品
自分を自分と認識するため、ミスコンに出場するアレクッス。
実在のジェンダーレスモデルのアレクサンドルが初主演している。
もうね、アレクサンドルが冒頭から
「え?!髭は?声は?!ホルモンは?!」と不思議になるくらい綺麗。
綺麗しか形容できないくらい綺麗。
初主演だからなのか、演技は辿々しさが残るが、流石プロのモデル。カメラを向けられた時の目線の零し方がセクシー。
横顔が信じられないくらい綺麗です。
それだけでも銀幕で見る価値のある映画だと思う。
それだけに、ストーリーが単調で、まとまりがなかったのが惜しい。
自分の性と向き合うためのミスコンなのか。
社会と繋がるためのミスコンなのか。
たぶん、両方の意味で自分らしく生きていくことがテーマなんだろうが、裾野を広げ過ぎてキャラクターが薄い。
アレクサンドルの同期がミスコンに出たい!
なんで出たいの?
自分を見つけるため!
って動悸が不十分なものに見えてしまう。
最後に両親が出てくるのも不思議。
両親は事故で亡くなったと会話では説明があるけど、エピソードの記憶は無いので、アレクサンドルとどんな関係でどんな人になって欲しいと望んでいたのか分からない。
終盤で見た両親に「愛してくれて、ありがとう」と言っても、自己肯定感からの台詞なのか、それとも両親へ産んでくれたことへの感謝を伝えたかったのか、まぁどちらの意味も含んでいるんであろうがよく分からない。
他のキャラクターも格好良いことをちょいちょい言っているのに、パンチがない。
キャラクターのバックグラウンドが薄いからだ。
キャラクターの背景や苦悩があって、それでも自分の生き方や志のある人に魅力が備わっていくものだと思う。
その、魅力が伝わりにくい。
良いなぁと思う場面は多いのに、見せかけばかりだ。
そもそも、自分探しならミスコンで無くても良いし、大衆の面前で裸になる必要もないのでは?!と本末転倒なことを思ってしまう。
この手の作品は裾野を広げてから、最後に結べるかが肝になる。
今作は結びきれなかった印象だった。
ともあれ、ポージングの素敵なモデルさんがたくさん登場するので、一件の価値はある。
I miss me
男の子がミスフランスを目指すサクセスストーリー。
しかし、ミスの意味とは?
本編最後にタイトルが出た時に、幼い頃に見失った(miss)自分を、コンテストに出る事で肯定し自我を確立する事こそが本作品の本質なのではと思いました。
主演のアレクサンドル・ベテールがとてもキュートで心から応援したくなりました。
あのボックスの中身は何だったのか知りたい!(笑)
自分に正直に生きる美しさ
フランス映画祭2020横浜にて鑑賞。
事前情報が少なく、いつも鑑賞する作品より、より新鮮な気持ちで鑑賞する事ができた。
LGBTである主人公の男性アレックスは幼少期からミスパリになる事を夢見ており、現在24歳に至る。
両親を事故で失った悲しみ、そしてLGBTを明かせず隠しながら日々過ごしている事もあって活力がない。
そんな中ボクシングフランス代表となった昔ながらの知人と再会する事で自分も幼い頃からの夢であるミスフランスを目指すストーリーである。
もちろん今まで女性として生きてきてないアレックスには色んな壁にぶつかる。容姿の面もそうだが、ミスフランスを競う仲間ともうまくいかない。
徐々に女性としての生活に慣れ、希望に溢れ出したところで今度はこれまで苦楽を共にしてきた自身の訳ありファミリーの存在を否定して関係を拗らせてしまったりとまたも壁にぶつかる。ただこの壁こそ本来誰しもが通る道でもある。
最後はミスフランスの本戦出場の資格を得たところで全国中継を通して自分が男である事を打ち明ける。
観客は応援する拍手もあれば、嘘つきだという怒号もあった。体感的に半々くらいか。現実的かもしれない。
この作品の良いところは当初のアレックスは周囲を、そしてなにより自分自身を騙して生きている。
夢であるミスフランスを目指す過程で自分に正直になっていく。ミスフランスを競う仲間とも当初は仲良くできなかったが、相部屋の同僚に自身の存在がバレてからは一転とする。
他者と良好な人間関係を築くに隠し事があればやはり壁ができ、うまくいかない事もあるだろう。
もちろん現実がこの作品のようにLGBTであることを打ち明け、自身に嘘無く生きれば周囲がみんな理解し幸せな環境になれるかは分からない。ただそれを皆んなが目指す必要があり、決して間違いではないのだから当人も逃げてはいけない、そんな勇気を与えてくれる作品であった。
アレックスは自分に正直に生きる事で、ようやく本来の人生のスタートを切れたのではないか。そしてこの作品は女性としての美を追求するのが主とはなるが、彼が正直に生きていくにつれて美しくなる姿は、決して見た目だけの美ではなく、人としての美しさが日に日に増していたのは事実であろう。
人は皆色んな問題を抱えて生きている。決して間違いでなくても周囲と違う事、異質な事で否定されることもある。
ただそれを恐れて自分自身を偽って生きていては幸せは掴めないのではないか。
もしかしたら人よりは時間はかかるかもしれない。だけど理解してくれる友、仲間がいつかは現れる。
その為にも自分自身を偽る事なく、そして自分に正直に生きる事がなにより美しく、そして誇らしい事をとても感じさせてくれる作品であった。
今年のフランス映画祭では多くの作品に触れる事ができたが1番好きな作品であった。
全11件を表示