「♪愛し愛されて生きるのさ」MISS ミス・フランスになりたい! バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
♪愛し愛されて生きるのさ
本作は人間が人間として、人間とともに生きていく上での根本を描いている作品です。
予告編を観たときは、ふむふむ、サクセスストーリーかなぁ?なんて思ってましたが、大違いでした。
ちょいと考えさせられる作品です。
先日鑑賞した中国のLGBT事情を描いたドキュメントでも、同性愛者である自分を親に受け入れてもらえない、認めてもらえないことの辛さが描かれていました。
「世界中の誰からも認めてもらわなくてもいい、親に認めてもらえれば」
と言う叫びがとても心に残っています。
本作はLGBT物ではありませんが、ありのままの自分を「無条件で」認めて受け入れてくれる存在の意味の大きさを華やかに艶やかにミスコンに重ねて描いていきます。
ミスコン自体、昨今では前時代的と言われておりますが、本作内では非常にテーマに対して効果的に使われています。ミスフランスらしさ、女性らしさ、・・・「らしさ」とは・・・?
「らしさ」を得ると言うことはどういうことなのか?なかなかうまく展開していきます。
そしてもっとも大事な「自分らしさ」を得ると言うことは?
ストーリーの中での主人公の悩み、戸惑い、迷いはきっと人生の中で僕たちが同様に持つモノなんじゃぁないか?って思います。僕たちはきっと誰かに受け入れてもらい、認めてもらい、目に見えない力をもらいながら生きているんでしょう。その逆ももちろん。
ですが、それよりもっと最初に認めて、受け入れなくちゃならないことがあるんだよってことを、教えてくれます。そしてそれがあるから、その先ができるってことを教えてくれます。
意外なストーリー展開でしたが、ジーンと来ました。
そしてなぜか、小沢健二のあの歌が脳内リフレイン。
♪いつだって可笑しいほど 誰もが誰か愛し愛されて生きるのさ
それだけがただ僕らを悩める時にも 未来の世界へ連れてく♪
良作です。