私は確信するのレビュー・感想・評価
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一人の名もなき女性の意志、行動力、瞳の力強さに引き込まれる
外見からの印象だとかなりお堅い法廷劇のように思える。この種の映画はいざ好みと合致しないと退屈な台詞劇となりかねない。だが結論から言って、私は本作にグイグイ引き込まれた。冒頭、誰かがこの事件を二つのヒッチコック作品に例える。ひとつ目の『バルカン超特急』が示すのは完全密室犯罪という可能性であり、もう一方の『間違えられた男』が示唆するのは、タイトル通りの”冤罪”の可能性。そして被告がいざ後者の道を歩もうとする時、意を決して立ち上がるのが、一人の名もなき女性だ。膨大な通話記録を選り分け、分析し、文字に起こすことで、彼女の中で高まっていく確信は弁護側の原動力となっていく。面白いのは事件以上にこの女性の「黙って傍観などしていられなかった」という姿勢に焦点をあてていること。そうした強靭な意志、瞳の力強さに感化されるように、観る側も自ずと身体が熱くなっていくのを覚えるはず。硬派な興奮が味わえる秀作である。
「仮説」と「検証」。裁判の本質が見えてくるフランスの法廷サスペンス映画の傑作。
本作は2000年にフランスで実際に起こった未解決事件の「ヴィギエ事件」を描いた法廷サスペンス映画です。
冒頭に「ヴィギエ事件」とは、という説明が文字で出てきますが、少し早いので、こちらで要点をまとめておきます。
2000年2月にフランスで「スザンヌ・ヴィギエ」という女性が、夫と3人の子どもを残して失踪。
遺体が見つからない中、妻殺害の容疑で、大学教授の夫ジャックが勾留。
ジャックは証拠不十分で釈放される。
ところが、7年後に再び妻殺害容疑で出頭命令が出て、2009年に裁判が始まる。
第1審で無罪となるも、検察が控訴し、第2審に入るあたりから物語が始まります。
本作では、第1審を傍聴したシングルマザーで料理店で働く「ノラ」が、ジャックの無実を確信していて、ノラを主人公として描かれています。
そして、ジャックの娘(20歳)は、ノラの息子の家庭教師をしています。
また、ジャックは「うつ状態」になっていて、ほとんど役に立たない状態になっています。
まず本作で驚いたのは、裁判所に証拠申請をして、250時間にも及ぶ通話記録データが提供された点です。一体、どこからその通話録音データが出てくるものなのかは分かりませんでしたが、その膨大な通話におけるやり取りの中から「事件の真相」を探ろうとします。
ただ、様々な「仮説」を覆せるほどの証拠が出てくるのか?
この辺りが本作の大きな見どころになっています。
特に、敏腕弁護士のデュポン=モレッティによる最終弁論は、非常に深いものとなっています!
なお、本作は実話ですが、物語の一部やノラの人物像などフィクションの部分もあります。
ちなみに、この弁護士デュポン=モレッティは、2020年7月にフランスのマクロン政権下で「法務大臣」に抜擢されて世界中で大きなニュースとなるなど、今のニュースにもつながる面もあるのです。
謎の中毒性
冤罪を証明しよう!って意味では『それでもボクは』に似たテーマ。
物語をぐいぐいドライブさせていく主人公の力強さには引き付けられるし
緊迫感のある法廷シーンも見応えあった。
客観的には自分に関係ないのにかかわらず、
ある種の”謎”にのめり込んでしまうのって世界共通なのかもしれない。
信じる人は強い。
実話とフィクションの塩梅は分からないけど
明確なメッセージ性をもった作品だったと思う。
架空の主人公のパーソナリティ
失踪した妻に対する殺人で告発された男性を救うため、奔走する主人公を描く物語。
事実をもとにした作品のようです。
「死体なき殺人」。「確たる証拠もない状況証拠だけの告発」。日本では少し考え難い裁判ですね。
主人公は被疑者の娘の知り合い。被疑者の無罪を確信した主人公が、辣腕弁護士を巻き込み、その弁護士から通話録音の文字起こしを頼まれ、事件にのめり込んでいきます。
膨大な通話録音、その記録からの気付き、そして裁判シーン。主人公と息子の関係を含めて、緊迫感を十分感じることが出来る展開でした。
残念なのが、主人公が「なぜ確信するのか?」「なぜ事件にのめり込むのか?」が明示されていないこと。
主人公は架空の人物のようですが、そこが明示されていないので、彼女の熱意や苦悩が上滑りしてしまっています。とても勿体なく感じました。
私的評価は標準です。
無罪 or 有罪
妻が行方不明になり疑われた夫。
有罪の証拠がない中、ある女性が録音された証拠を
根気強く解明し、矛盾点を洗い出した。
結果は、無罪を勝ち取る事ができたという話。
でも、真実は解明されず。
8年もの間被告が有罪として拘留され
子供達も大きくなってしまい、
失われた時間の大きさを感じました。
着眼点が面白い
裁判物というと、被告の無実を晴らすために云々。
これもそうなのですが、面白いのが着眼点が「証言者」におかれていること。
被告はほとんどセリフないし、存在も薄い、そして物的証拠もない。
250時間に及ぶ電話記録に出てくる関係者。
それをまとめるのが、被告の娘と繋がりがある・ノラ。
電話記録って、誰が誰かわからないと。内容がわからない。
ノラが必死になって、時に仕事も息子もなおざりにして、のめりこむ。
ほとんどもう執念。見ていてちょっと恐いほど。
妻の失踪から10年。1審は無罪、2審は有罪か?。
「推定無罪」、判決が出るまでは無罪という原則。
でも世の中では一度容疑者扱いされると、それを晴らすのは難しい。
8割が法廷のシーン。
一応フィクションだけど、実際もこんな感じだったのでは?と思わせる様子や。
エンドロール前の「この事件は実際どうなったのか」の説明。
日本語訳だとたった2行に、呆然として終わりました。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「警察の確信がなければ、正義は死ぬ。我々も用無しだ」
一応ハッピーエンドにはなっているが、違和感が大きかった。 何の証拠...
一応ハッピーエンドにはなっているが、違和感が大きかった。
何の証拠もなく、死体も発見されていないのに旦那が殺人犯として起訴される?
そんな馬鹿な・・・・・。
弁護人の言葉に「ハッ」とさせられました
フランスで実際に起きた事件をもとにした法廷劇。
インスタ仲間さんが本作を紹介されていて、大好きなタイプの映画だったので、福岡での上映を待って早速鑑賞してきました‼️
本作、上映開始直後から飛ばし気味の展開。事件の背景や状況が字幕で一気に説明され、本編に入っていきます。
最初はついていけなかったのですが、徐々に内容が理解できてきました。
鑑賞前のチラシで少し勘違いしていたのは「ヒッチコック狂の完全犯罪」という文字があり、「知能指数が高く」「社会性が低い」者による緻密に計画された殺人事件の裁判劇みたいのを予想していました。
冤罪❓真犯人は❓
家庭を犠牲にしてまで、正義感に基づき事件の真相にかかわる主人公に同調しながら、本作ストーリーにのめりこんでいくと、本件の弁護人の言葉に「ハッ」とさせられます。
そして最終弁論。
とても地味な作品ですが、「正義感」「認知バイアス」など、とても気づきの多い作品となりました。
法廷映画に興味が湧いた
あまり普段見るジャンルの映画ではないが、面白い法廷映画とはなんなのか興味が湧くきっかけになった。事実に基づいているものの、自分には映画としてショーアップされすぎていて、善悪もはっきりしすぎている印象だった。実際に冤罪が起きる時、絶対的な悪人はいないのではないか、警察や裁判官の仕事の怠慢だったり、支援者がいなかったりするのではないだろうか。バッドエンドは苦手だがそれよりもリアリティをもっと感じたいと思った。
題材は興味深いが登場人物がちょっとうるさい
刑事司法制度に疑問を抱かざる得ないようなフランスで実際に起きた事件を題材にした法廷ミステリードラマ。
事実だけでも十分面白かったと思うが、作中にフィクションキャラクターが出てくる。個人的にはそれがちょっと邪魔だった。
タイトルなし
裁判サスペンスの映画の中でもなかなか良かったですね。実話を元にしていることでインパクトがありました。確かな証拠も確かな証言もない、推測はたくさんあり、マスコミの報道も不確か。そんな中で殺人罪を問う裁判が始まり、有罪ありきの検察と推定無罪を主張する弁護士の証人尋問によって裁判は進んで行きます。時間の経過などで証言がかわるなど、最後まで目が離せない展開でとても面白かったですね。機会があればまたみたいですね。
裁判の目的がぶれない弁護士に一票
ともすると、「誰が犯人か?」に本題がすりかわってしまいがちなところ。
映画に引き込まれれば、引き込まれるほど、真犯人を探す自分がいたりして。
そのあたりの心理的な描写が巧み。
弁護士だから、当たり前なんでしょうけど、真犯人探しが目的ではないことを、随所に散りばめながらも、真犯人に迫る追い詰め方をする。
まさに法廷映画の真骨頂かもしれません。
最後まで謎なのは、なぜ彼女がここまでこの事件にのめり込むのか?
ただの正義感だけとは思えない、入り込み方。
このあたりが解消されると、もう少ししっくりくるのかも?
フランス警察はクソ
フランスで実際に起きたヴィギエ事件の裁判を題材としフィクションを加えた作品。
スザンヌ・ヴィギエが子どもたちを残していなくなり、大学教授の夫ジャックが妻殺害の容疑者とし起訴され裁判となる。
ジャックの無実を信じているノラは弁護士のデュポン=モレッティに協力し、自分も事件の調査を進めるという話。
実際にスザンヌが死んだかどうかもわからないのに殺人事件?って思ったし、ベビーシッターやスザンヌの愛人らが法廷で嘘ばっかり証言したりで、フランスの警察や検察ってこんなていたらく?って感じた。
ノラにしても、子供や仕事を犠牲にしてまでのめり込む事かと全く共感できなかった、
最後に弁護士の言う、推定無罪、の熱弁だけは見応えが有った。
自分には難しかった。
全ては警察の怠慢
フランスってこうなんですか?多分、日本じゃ、検察が「これじゃ裁判出来ねーよ!」と「不起訴判定」するレベル、そもそもが。
「法廷もの」として見ると、明らかに物足りないです。だって、これ、「映画では紹介されていない何か」が無い限り、検察はいかなる依拠があって控訴してるのよ?新たな証拠でもあった?これで逆転有罪は起こりえないでしょうねぇ....
「女性の生き方の話」とてして見れば、結構ジーンと来ました。
メディアのクズっぷりに関して言うとですね。我が国の場合、もっともっともっと酷いからw
何はともあれ。クレマンス役のアルマンド・フーランジェと「アマンダと僕」のデービッド役のヴァンサン・ラコストは兄妹に違い無い!
シリアスな法廷ものを期待していたので、完全に肩透かしでした。
「それでもぼくはやってない」って言えよ
理不尽な容疑者。死体も見つかってないし、物証証拠が乏しすぎる中であっても被告人を有罪に仕立て上げたい検察側。自白を強要したいという、「疑わしきは被告人の利益に」、「推定無罪」という大原則を踏みにじるかのような展開だ。
10年という苦しめられた被告人ジャックも可哀そうにうつ病になってしまっていたが、それよりも妻の失踪当時は子供だった娘クレマンスや二人の息子が大人になっていたことが痛々しく感じた。どこの国でも冤罪事件は起きるんだなぁ~と、しみじみ。
事件をこじらせたのは被害者であるスザンヌの愛人オリビエ・デュランデ。自分に容疑がかからないようにと、スザンヌの電話帳を使って見知らぬ人にも電話をかける。不利になるようにとジャックの残した証拠を吹聴してイメージ操作をし、それがやがてマスコミにもリークされ、世間をも巻き込む事件に仕立て上げたのだった。
むかつく人物がもう一人。警視だ。たいした証拠もないのにジャックに自白を強要させ、両親をも説得させようとする態度。極めつけは「オリビエこそ被害者だ」とか、証人として法廷に立った言動には呆れ果ててしまいました。そうして二審を中心にクレマンスに家庭教師をしてもらっている息子をもつノラの物語でもあった。
失踪しただけで殺人事件扱いすることにも憤りを感じるが、それでも支援してくれる人がいることで中和され、成り行きが気になってしょうがなくなる作品。夥しい通話記録のCDという証拠は裏工作するオリビエの悪態が集約されていたが、新たな犯人を暴く法廷ではない。ぜってーてめーが犯人だろ!と叫びたくなるような映画でもありました。そもそも死体がないのに殺人事件として立件するところにももやもや・・・
裁判員制度も形骸化する
SNS的なコミュニケーションは
容易に人々を扇動してしまい、社会的に影響のある決断をするときに、
ワンイシューが人々の思考力を奪い、
議論する思考力を奪ってしまう。
もはや、良心とコモンセンスに頼る裁判員制度も人々の劣化で形骸化されるであろうことを予言する。
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