「フランス映画の中では異色?の法廷もの?」私は確信する yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
フランス映画の中では異色?の法廷もの?
今年31本目(合計98本目)。
実在の事件を扱った内容であるため、結果は多くの方は知っている通りです(有名な事件でもありますし、ネットで調べると次々出ますね)。よって、結果を知った上で、「どうやってそのように持っていくのか」という弁護側の弁護のやり方などが見るところになってきます。
とはいえ、多くの方が書かれている通り、映画の大半は(盗聴した)録音テープの聞き取りやそれを文字に起こす作業などが大半です。そのため、前半はかなり地味に感じられるかもしれません。逆に言えば、あれだけの大きな事件で冤罪を争うのであれば、「CD250枚分」というほどのその通話記録を全部聞いて矛盾点を突きつけなきゃいけないのでしょうね…。
多くの方が書かれている通り、ラスト10分の「弁護士の最後の弁論」がこの映画の見どころになりますね。
「~と思う」「~に違いない」といったことは、誰が言ったか、どこで言ったか…などによって、信ぴょう度はある程度違います。しかし、事実は確率1.0で正しいことを述べますが、「~と思う」は信ぴょう性という観点では「事実」に比べると相当軽くなります。その上に「~に違いない」だの「きっとそうだ」という「~と思う系」証拠をいくら積み重ねても何もできないのです。無から無は生まれないからです。
この「~~と思う」と思うこと、それ自体は事実だけれども、それを裁判、それも人を裁くような刑事裁判で証拠採用にされたらたまったものではではないですね。日本ではそういう「~~と思う系」証拠は原則として採用されませんが、うっかり紛れ込んでしまうこともあります。
いわゆる「推定無罪の原則」があることは日本もフランスもそうであり、この点をちゃんとしっかりすることができました。
特に気になる点はなかったので5.0としました。
こういう知的な映画は良いですね。