劇場公開日 2020年12月11日

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「プラダを引き合いに出さなければ…」ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢 ニコさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5プラダを引き合いに出さなければ…

2020年12月16日
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鑑賞方法:映画館

 公式が「プラダを着た悪魔」を引き合いに出しているので、比較するのは本意ではないが個人的感想を述べておくと、物語のスタート地点以外「プラダ」とは似ても似つかない作品であるように感じた。
 楽曲はどれもかっこいいし、音楽の蘊蓄も散りばめられているし、業界のセレブの華やかな日常描写がたくさん出てくるので、音楽フリークの人がミュージックビデオとして見る分にはとても楽しいのではないかと思う。ダイアナ・ロスの娘でコメディ女優のトレイシー・エリス・ロスの存在感と歌声が素晴らしい。ダコタ・ジョンソンがキュートだ。

 ただ、私は「プラダ」の振りに流されてヒロインの成長物語を見るつもりで映画館にやってきたので色々とがっかりした。以下、満足した方には申し訳ないが率直な感想ということで許してください。
 ヒロインであるマギーの行動原理がはったりと嘘上等であり、そしてそれだけなら物語に綺麗事を押し付ける気はないのでまだ許容出来たが、そのはったりと嘘に知恵がなく、到底社会人とは思えないほどつたなくて仕事をなめているようにしか見えなかった。はったりの維持と現実を両立出来ず遅刻したり仕事の現場で泣き出したりしたところで、序盤で前向きに応援したいと思っていた心が冷えてしまった。マギーの成長が見えなかった。作品に規範精神など求めていないつもりだが、描写の仕方がどこか自分の好みに合わなかったのだと思う。
 とどめに最後でちょっと呆然とするようなどんでん返しがあった。あ、やっぱりこれご都合主義の映画なんですね…はい…
 「プラダ」も華やかな夢物語ではあるが、野暮ったかったアンドレアがミランダのしごきに誠実に向き合って外見も心もあか抜けた結果、自分を見つめ精神的に自立するストーリーであり、華やかさの演出と地に足の着いた成長譚の描写のバランスが秀逸で、縁のない世界の話だが共感出来た。これと本作はヒロイン像の方向性が全く違うようにしか見えなかった。

 出ている俳優は皆キャスティングも演技もいい感じなので、最初からストーリーはあくまでおまけの音楽映画という認識で鑑賞すれば勝手に失望することもなかったかも知れない。

ニコ
ke_yoさんのコメント
2021年8月7日

作中抱いていた違和感が文字になっている、というくらいしっくりくるレビューです!

ke_yo