劇場公開日 2021年1月22日

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「支配者は革命によってすげ替わる」KCIA 南山の部長たち フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

支配者は革命によってすげ替わる

2021年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

パワハラと裏切りに耐えた男の物語

韓国は自国の歴史を上手に映画にできてうらやましい。
大統領や革命のこと、歴代政府の行った悪行をエンターテインメントに出来る環境が有るって素晴らしいと思う。

日本では政権批判などの作品は少ないし、注目度も低いのでもっと作ってほしい。
実際に日本政治家の汚職や隠ぺいとかが浮き彫りになった映画を見たら楽しんでいられないと思うけれど。
なんにせよ、政治にもっと興味をもてたり、政治家に責任を持たせる意味でも映画は作られるべき。

本作は他国の事だからと他人事として映画を楽しんでしまう自分が居るけれど、次は我が身と肝に命じよう。

映画の内容はスパイ戦やらムカつく同僚、尊敬していた上司の醜態。いろんなストレスを抱えながら国のため?に行動を起こす主人公の40日間を描いく。
志高く革命を起こしたはずの彼らはどこで道を間違えたのか。協力して国を発展させなければならないのに身内は保身や出世、金もうけしか考えてないし、守るべき大統領は信頼できないし、本当に辛い職場だ。

主人公役のイ・ビョンホンは多彩な演技ができて凄いですね、真面目で忠誠心の有る南山部長を見事に演じております。
警備室長にキレるシーンは迫力あるし、大統領に懐疑的でありながら守ると誓う場面も複雑心境の顔がいいですね。
ラストの暗殺シーンもドタバタしながらも冷静を装いつつ全然冷静じゃない感じも素晴らしかった。

大統領役のイ・ソンミンは、人のよさそうな顔なのにはしばしで内側にあるどす黒い邪悪を垣間見せてくれる。
前南山部長役のクァク・ドウォンはまさに狸おやじ感が半端じゃなかった。途中から六角精児に見えてきたけれども。

実録小説を元にしたフィクションとの事だが、どこが真実でどこが創作なのか気になる。
権力の座を捨て国民のために行動を起こした男の生き様、濃厚なサスペンスとしてとても楽しめた。

大統領を守る事は国を守る事。
国=大統領ではなくて、本当なら国=民なんだよね。
政治家の存在意義を改めて問うております。

権力者は必ず腐敗する。
虎の威を借る狐であろうともその腐臭には我慢できない。
狐には狐の矜持があるのだから。

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劇中セリフより

「私はいつもそばにいる、君がやりたいようにやりなさい」

責任を取ると言ってないあたり、自分の手を汚さない実に上手い言い回しだ。
成功すれば自分の手柄、失敗すれば他人のせいにできる。
この言葉に安心するか不安になるかは考え方しだい。

フリント