「韓国現代史の重要局面を緊迫感たっぷりに描く」KCIA 南山の部長たち kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
韓国現代史の重要局面を緊迫感たっぷりに描く
KCIA部長による朴正煕大統領の暗殺事件を描いた、実話ベースの物語。
朴大統領をアメリカで告発した前部長への対応から始まり、側近たちが騙し合い、大統領に媚びを売りながら勢力争いをする姿はとても面白かった。さらにアメリカの意向も絡んでいく、深みのある脚本だった。
最終的に大統領を殺害することは事実なので、そこまでの持って行き方が映画としての見せ所。そういう意味では地味ながらとても緊迫感のあるシーンの連続で飽きさせない作りだった。
朴正煕による軍事クーデターから18年。長期の独裁政権による腐敗が進み、崩壊すべく崩壊した朴正煕政権なのだが、大統領やその側近たちが自ら起こしたクーデターを革命と呼ぶ姿は恐ろしくも滑稽だった。そして、大統領殺害から半年ほどで次の軍事クーデターが発生、光州事件(「タクシー運転手」の背景)に至るという悲しい史実が待っている。あー、あいつが全斗煥なのかなと思わせて終わるのも憎い演出だった。
「大統領の理髪師」→本作→「タクシー運転手」→「1987、ある闘いの真実」と連なる、現代韓国を紐解く名作がまた1つ生まれた。
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