「人生、至るところに巡り合わせ?」すくってごらん talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
人生、至るところに巡り合わせ?
<映画のことば>
この子、ちゃんと育ててやって下さいね。
あなた次第です。
思わず「やっちまった」ことから地方に配属になった香芝(尾上松也)自身は「左遷」と言いますけれど、実は評論子も定年退職を目前に、まさかの(?)地方勤務。「老い先の短さ」を逆手に取って、その異動は断ってやろうかとも思いましたけれども。しかし、赴任してみて、映画を観ることに優るとも劣らない第二の趣味(バードウォッチング)に巡り合い、「老い先短い」(?)評論子の人生に、楽しみ(生きていくことの張り合い?)をもうひとつ増やすことができました。
周囲の人々との関係性を築くに従って考え方が「丸み」を帯び、またそのまま地方で現役を降りた評論子とは違って、まだまだ若い香芝は運良く東京に帰任することができたようですが、これまでの仕事一辺倒の人生に、「金魚すくい」という新たな巡り合わせ(人生を生きる楽しみ?)があったはずです。今回の異動を通じて(彼自身がもともと「歌って踊れるエリート銀行員」という特技を身につけていたことは別論)。
その点で、ストーリーに「胸アツ」のしくみも、ちゃんと仕込まれていたのではないかと思います。評論子は。
登場人物はみな一癖も二癖もある芸達者ばかりであるだけでなく、全編に歌と踊りと、そしてユーモアがふんだんに盛り込まれ、しかも絵画的な美しい色調の画面が醸し出す一種独特の空気感とも相俟って、アイドルの知名度・吸引力だけを頼みの綱とするような有象無象の作品とは明確に一線を画する、素敵な一本だったと思います。評論子は。
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