「正統派香港カンフー・コメディ」燃えよデブゴン TOKYO MISSION コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
正統派香港カンフー・コメディ
正月にぴったり初笑い!
「バカじゃねーの」と言いながら、笑ってポップコーン食うような、正統派カンフー・コメディ香港映画。
旧作サモ・ハン・キンポーへのリスペクトに溢れて、かつ(監督含めた日本人スタッフがたくさんいるのに)わざわざ古の香港映画臭を出すために、なんちゃって日本にしながら、筋の通らないめちゃくちゃな脚本にしているのが笑った。
たぶん、わざとやっている。
ヒロインの性格がビッチで、「こんなの助けなくていいよ」と最初思わせての、最後はまぁかわいいからいいかと落とし込むあたりも、古風なパターンでよい。
ドニーを太らせる、百武朋さんの特殊メイクが素晴らしい。
あと、なんちゃって歌舞伎町に、なんちゃって築地と、CGとセットで作った「こんな形や構造じゃねーよ」っていうなんちゃって東京タワーもすごくて面白かった。
わざわざ『肥龍過江:Enter The Fat Dragon』と初代デブゴンと全く同じタイトルを使っているあたり、(ドニーかプロデューサーかスタッフかわからないけど)よほどデブゴンが好きなのかなぁ?
(もしも、タイトル版権を使いたい、制作配給会社の都合だけだったら嫌だなぁ)
逆に、ここまで昔の香港テイストだと、今の若い人たちに受けるのか疑問に思ったのが不安なポイント。
また、サモ・ハンは最初の『燃えよデブゴン』から、「体型を活かしたカンフー」だった。
腹の丸みを使った回転とか、中華鍋でもなんでも身体に沿わせて使うとか。
特に『おじいちゃんはデブゴン』では、「腹の力の入れ方や、呼吸による腹の出っ張りだけで敵を倒す」まで進化したアクションを見せてくれたんですな。
それに対して、本作は徹底して「特殊メイクした、かっこいいドニーのアクション」なんすよ。
だったら、同じコメディでも、ドニーの素の体型でジャッキー路線にすりゃいいんじゃないかなぁとか思った。
そこが不満なポイント。
一番の見どころは、竹中直人とドニーのブルース・リーのモノマネ対決シーンかも。