NO CALL NO LIFEのレビュー・感想・評価
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自分の人生の扉は、自分で開くもの
儚げな光、ざらつくような音、、
か弱くも爆発力の強い 根拠の無い若き強さ。が
映像にとても表現されていた。
不思議な過去からの通話を通して、
子供の頃の自分や大切な人の声を聞き、話すことで
自分に向き合いそして紐解かれる過去。のその先∙∙∙
それぞれ、幼い頃の劣悪な状況下で育った苦しさや哀しさの境遇により
何かが足りないままの佐倉有海(優希美青さん)と春川真洋(井上祐貴さん)の2人。
「−(マイナス)」+「−」は「+(プラス)」には決してならず
「−(マイナス)」+「−」は「=(イコール)」にしかならない。
足りないモノ同士、似たモノ同士は補うことは難しく、悲しみしか産まない。
だが、ただ惹かれ合い、求め合う2人。
それは彼らにしか解らない共鳴や必要性でもあり、
観ているとキリキリと胸を締め付ける。
救いようが無いと言えば それまでかもしれないが、
2人が出会い、互いを引き寄せ合い、
手探りでも、自分達の人生の何かを変えていこうと、
もがき苦しむ姿は、無計画で夢見がちだが、
実はそれこそが意外とリアルなのかもしれない。
暗く重い内容だが、後味が悪いわけではない。
どんな人生でも、親の支配から離れれば、
人生の分岐点の選択をするのは結局自分であるから、
未来は自分で変えれるモノだ。
愛はあるが決して交わることのない従兄役に犬飼貴丈さん、
同級生のしたたかな女子役の小西桜子さん、等∙∙∙
何より、演者の皆さんが本当に魅力的で素晴らしかったです。
うーん、テイストは監督らしかったけど、え??ということが結構あって...
うーん、テイストは監督らしかったけど、え??ということが結構あって、ちょっと興醒め感があった。監督のこれからに期待したいとは思った。
【”置いて行かないで・・。” 親からの愛を注がれずに育った哀しき過去を持つ、若き男女が徐々に惹かれ合い、逃避行に至る経緯を描いた作品。切ないです・・。】
ー ネグレクト、児童虐待を描く映画が多くなってしまった昨今。
しかし、今作はそれを背景にしながらも、必死に愛を求めて生きる高校生男女の恋愛を、切なすぎるトーンで描いている。ー
<Caution! 以下、内容に触れています。>
◆感想
・有海(優希美青)と、不良とみられているハルカワの哀しき相似性が作品構成上、上手く機能している。
・有海の携帯電話の着信履歴に電話すると、”現在使われておりません・・”と言う無機質なアナウンスの後、グリッジ音が混じり・・、幼き男の子が出る。
ー ”誕生日のプレゼントは何でも良いの? じゃあ、ママを殺して・・。
時を超えた、ヘルプメッセージ。
そして、終盤明かされる、有海の哀しき過去。
メッセージのすり替えが、絶妙である。ー
・似た者同士の二人は、徐々に惹かれ合い、共に”ある空アパート部屋で生活をするようになる。
ー ここで、鍵の場所をサラリと見つけ、”大体、こういう場所に隠すんだよ・・。鍵の置いてあった場所は、子供の手が届かない所である。
そして、ハルカワの少年期のフラッシュバックが被せられる。
柱に刻まれた、傷。ー
<井樫彩監督のカンヌ映画祭出品作「溶ける」
そして、フライヤーのみ手元にある初長編作「真っ赤な星」を観たいと思わせられた映画である。>
<2021年7月18日 刈谷日劇にて鑑賞>
原作が好きで見に行きました
中学生で出会ってから10年で10回以上読んでいます。セリフ・設定・シーン描写を原作と比較しながら観ました。
原作小説は、グロさや汚さを含めての妙なリアリティと、ふらりとリアルからファンタジーへと何気なく踏み込む境界のなさが魅力です。不快な映像や細かい説明は避けた映像化を行うには不向きな作品なのかなと思いました。
こだわりの筐体のガラケー、不良っぽい留年生の春川、集団で地べたに座り込む主人公など、原作の刹那的な感じを生み出していた要素が今はもう時代遅れです。説明や心理描写なしではわかりづらい設定や展開も多いです。そんな制約条件の下で最大限原作を尊重した映画と感じました。でも航兄はメガネが良かった。
原作のクライマックス〜ラストの、手に入りそうだったものが今にも触れられそうなところに見えるのにもう届かないという苦しさが好きなのですが、映画ではあまり感じられませんでした…。
とけた電球の主題歌がとてもいいです。2人の着メロのイントロがこれとかでもよかったな。
偶然と必然の暗闇
2017年開催の第9回ちば映画祭で上映された「溶ける」が印象的だった監督。
テイストはそのままに、着実に前進している感じで嬉しかったのが、一番の感想ではありましたが、内容はそんなほんわかにこにことは無縁なソリッド青春ムービー。
あり得ないっちゃあり得ないが、あり得ると言えばあり得る、不思議な感覚。心の奥底で既視感が蠢いているのだけれども、そんな事はお構いなしに、ぐいぐい引っ張られました。
鑑賞後、時間が経つ毎に「あっ…」って感覚がすり寄ってきて、暗闇の中を反芻する羽目になるので、ご用心ご用心です。
✖️△たの?◆○だの?◆◯でないの?
イヤイヤ、ネタバレ回避で伏字にしたら、何が何だか訳分からんw
井樫彩さんは結構好き。主役の2人は正直なところ良く分かりません。見覚えはあるよ、って言う程度。ホリプロの60周年記念作品だって言うから「実は拾い物なんかも」と、過大な期待を抱いてですよ。しかも「時間を超えたファンタジー」なんて言うから。更に期待値上げ上げで鑑賞開始。
ガッカリですもん。真っ逆さまに落ちたったですもん。奈落の底に辿り着く勢いで、昭和腐女子の妄想的展開に後悔の念、湧き上がる60分。
これがですよ。
「お前達は同じトコロが欠けている」
と、仮面ライダービルドが発言したあたりから、回転数が上がって暴走気分。最初から、この調子でダーク感を潜ませてくれてても良かったのに。
最後は、やや失速感あり。ラストカットは狙い過ぎじゃないでしょうか?で不安だったりするけど、総じてはポジティブな印象。
良かった。
U-18の暴走ものとしては、結構好き。
切ない恋
女子高生のウミが携帯電話に残された過去からの留守電メッセージで同級生の春川と出会い、似たような過去の境遇からお互い惹かれ合っていくという話。
危ない恋の行方は・・・切ない。
優希美青と井上祐貴が主演だが、どちらもパッとしなかった。
ウサギとネコとネズミ花火
使われていない電話番号からの留守電を追う中で知り合ったやさぐれ同級生と親交し恋する様になっていく女子高生の話。
クリスマス前から時々留守電に残される『まひろ』と名乗る子供の、物悲し気な日常を伝えるメッセージ。
ラブストーリーということだし、電話の際のノイズもあり、「さみしさの周波数」的な設定かと思いきや、全然異なるやり切れない過去と、それが故に抱える秘めたるものと…。
これは恋愛なのか、そしてラブストーリーなのか、欲をいえば留守電や通話の相手とのその先がもう少しあったらなとは思うけれど、哀しく寂しくやり切れず、斬り付けられる様な感覚がとても良かった。
『あんた』という二人称や『~のさ』という言い回しは、ちょっと多用し過ぎだったかな。
【行き場を失った声】
今、現在、最も暗い社会問題を題材に、若者の孤独や、寄り添ったり、本当は前向きであろうとする気持ちをフィーチャーした佳作だと思う。
予想より迫るものがあって、僕は良かったと思う。
もし、行き場を失ってしまった過去の自分や友人から電話があったら、一番良い道筋を示してあげられるだろうか。
大人になっても、それを隠して自分の奥の深いところに閉じ込めたままだったら、良い道筋なんて示せっこない。
その苦悩はずっと続くのだ。
感情や怒りを封じ込めてしまったような有海と春川。
どこか遠くを見ている感じが、孤独を感じさせる。
DVやネグレクト、性的虐待は社会として解決すべき問題で、様々な理解が広がらないと道筋は見えてこないと思う。
昨今の、男親の娘に対する性的虐待の無罪判決などを見ると、もっと法制度を拡充させないとダメだと感じるし、それは、ネグレクトも同じだ。
親が子供を殺めてしまう事件は後をたたない。
行き場を失った声は、行き場を失ったままでいいわけがない。
本当は、助けて欲しいと伝えたいのだ。
そして、行き場を失った声は、同じように行き場を失った声と助け合ったり、励ましあったりすることは叶わないのだろうか。
有海と春川に投げかけられる、お前たちは、欠けているところが同じだと云う言葉は、傍観しているだけで、対処しようとしない僕たちの社会の不寛容さのようにも感じる。
それほど、僕達の生きる世界は、不寛容なものなのか。
この物語の結末は切ない。
だからこそ、僕達には想像力が求められているように感じる。
ハードボイルドな青春を生きるふたりの最果て、バックボーンをもっと掘ってほしかった…
想像を遥かに上回るハードボイルドな青春群像劇。井樫彩監督の演出光る繊細さと途方もなく堕ちてゆく二人の熱演に心を打たれた。ただ、足りない部分もいくつか見られ、少し惜しい映画になってしまった。
ネグレクトの母を持つ春川真洋と、父からの歪んだ愛情を受けて育った佐倉有海。似た雰囲気を感じるふたりは惹かれあってゆく。しかし、周りから「春川はやめとけ」と言われる。それでも堕ちてゆくように求めあうふたりは、共に愛を求めてさらに深いところへ入ってゆく…。
主演の優希美青は若干21歳ながらも経験値の高いヒロインであり、その安定感は作品の太さを作ってゆく。一方の井上祐貴も難しい役どころを我が物にする演技で魅了していく。よって、単なる青春群像劇に終わらない深みを生み出している。その安定感に加え、ネグレクトの母を演じた桜井ユキ、キャピキャピした友達の小西桜子がいい味を出している。
一方で、内容は決して爽やかとは言えない程に重い。主人公のふたりは愛し方を知らない。故に、どこまでも堕ちてゆく姿は『本気のしるし』が高校生同士で起きているように思えるほど。ただ、その一方で、互いのバックボーンや留守番電話の謎まで掘りきれていないのが惜しい。秘密と過去より苦しい展開が待っているのだが、そこが描かれないのは消化不良。故に、"惜しい"と思う。しかし、監督もまだ20代で、光と独特な音楽が二人だけの国を作り上げ、誰も立ち入ることが許されない雰囲気の出し方に、センスを感じる。非常に堂々とした描き方で、迷いを感じない。なかなかの才能の持ち主だと思う。次作が楽しみだ。
油断していたので、ここまで重く優しくキラキラと魅せられるのかと感服してしまった。上映館が少ないことが悔しく思えるほど。愛を衝動だけでは片付けられない二人の行方に胸が痛くなる。そして、互いが呼応するような日々がなくては生きていけないのだと、タイトルの意味を噛みしめ続ける。
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