劇場公開日 2021年10月29日

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「児童の権利に関するジュネーブ宣言について」スウィート・シング グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5児童の権利に関するジュネーブ宣言について

2021年12月2日
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鑑賞方法:映画館

第一次世界大戦で多くの子どもが命を失ったことの反省として、子どもの適切な保護を謳う「児童の権利に関するジュネーブ宣言」が国際連盟で採択されたのは1924年のことで、以下はその全文。

1 児童は、身体的ならびに精神的の両面における正常な発達に必要な諸手段を与えられなければならない。
2 飢えた児童は食物を与えられなければならない。病気の児童は看病されなければならない。
3 発達の遅れている児童は援助されなければならない。
非行を犯した児童は更生させられなければならない。孤児および浮浪児は住居を与えられ、かつ、援助されなければならない。
4 児童は、危難の際には、最初に救済を受ける者でなければならない。
5 児童は、生計を立て得る地位におかれ、かつ、あらゆる形態の搾取から保護されなければならない。
児童は、その才能が人類同胞への奉仕のために捧げられるべきである、という自覚のもとで育成されなければならない。

1989年には、国際連合で『児童の権利に関する条約』が採択され、日本も1994年に批准している。
私が読んだ解説本には『これにより「保護される存在としての児童」から「固有の人格や権利の主体としての児童」という児童観への転換を示すことになった』との記載があるのですが、今思うとそう書いた人は楽観的過ぎたようです。現実的には、〝保護される存在〟としてもまったく不十分です。

アメリカの場合、経済格差に加え、差別や酒やドラッグの問題も複層的に絡んでくるので絶望的にすら見えてしまいます。ただ、親の更生施設に関しては、財源的にも備えがあるのですね。
被虐待児童の数的な比較で日本とどちらがましなのか、私には分かりませんが、親や家族が立ち直るチャンスを行政が用意していることで、それなりに具体的な救いや希望が見えることもあるように思えます。

グレシャムの法則