「小さい子の小さい夢をかなえるのがどれだけ難しいことか…」リトル・ガール yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
小さい子の小さい夢をかなえるのがどれだけ難しいことか…
今年182本目(合計246本目)。
お話としては、いわゆる「トランスジェンダー」に関するお話になります。主人公が7~8歳(作品内で1つ進級するため)という微妙な年ごろで、よって、第二次性徴をどうするか、など、かなり切実な問題も出てきます。
日本でも最近は理解が進み法制度もできつつあるトランスジェンダー等ですが、日本よりもっと人権意識が高いであろうフランスが、個人の思想良心の自由はともかく、何の説明もなく参加を断るなど、やや配慮が足りないという描写になっているというのは(ラストあたりの、バレエ教室のロシア人のところ)、やや意外でした。
※ 他の方も触れている通り、「敵対する人物」がほとんど描かれないのは、やはりわずか7~8歳という子を主人公視点で見てほしい、という趣旨だと思います。
日本でも結局のところ、色々な人が声をあげて法制度も進み、都道府県・市町村によっては条例でさらに守られている地域もあります。要は結局のところ「他人に迷惑をかけなければ自由」なのであり(特に、犯罪の身分照会が困難になることは警戒すべき)、男性はこうでなきゃいけないだのというような時代はもう30年くらい前にとっくに終わっていると解するのが妥当であり、日本でも法制度こそ整備されつつあるものの、今でも奇特な目でしかみられないトランスジェンダーの方に視点を当てた、かなり良い映画だなという印象です(日本基準でみても、個人の性認識をどう取るかは「他人に迷惑をかけない限り」最大限尊重されなければならないというのが憲法が要請する立場。民法(婚姻など)で若干疑義も生じますが…)。
減点要素は特にないので満点にしています。
パンフレットはかなり好評なようで(当事者の声や、よくある質問に対する「正しい回答」が載っているそう)、売切れでした。こういう映画も良いですね。
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(減点なし/他事考慮) 最近、シネ・リーブル梅田さん・テアトル梅田さんに行くと、いわゆる「映画観賞時のマナー」に、「宇宙少女漂流記」の主人公(名前通り、全員女性)たちが「タバコを吸っちゃダメ」だの「飲食時以外はマスクをしましょう」だのという啓発動画が流れます(作成にテアトル系列が絡んでいるため)。
これ自体は、それこそ日本の憲法が要請する思想良心の自由や表現の自由、営業の自由なのでとやかく言うことではないですが、シネ・リーブル梅田さんは「学術系映画や、考えさせる系の映画」、テアトル梅田さんも「学術系映画やフランス映画」を多く扱う映画館です(あの5時間の「ボストン市庁舎」もテアトル梅田さん持ちです)。
今年(2021年)ごろから見かけるようになったのですが、確かに何を流しても自由とはいえば自由なものの、「アウシュビッツ・レポート」や「ボストン市庁舎」のような「話題として極めて重い」映画でさえ流れてくる状態で、もう少し考えていただければ…というところです(全般的にどちらも50代以上のご高齢の方が多い映画館なのですが、そこでなぜにいわゆる萌えキャラをが出てきて映画館のマナーを説明するのか、趣旨を理解しがたい)。
※ シネ・リーブル梅田/テアトル梅田とも、いわゆる「アニメ作品」はほとんどありません(アンパンマンのみ、テアトル系列持ちのようで流れていた。また、コロナ事情で映画館の上映時間が制限されていたころも、なぜか「おかあさんといっしょ」が流れていたのも事実ですが、その程度で、他のアニメというのは特別企画枠でもない限り出てこない)。
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