劇場公開日 2021年11月12日

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皮膚を売った男のレビュー・感想・評価

全55件中、1~20件目を表示

4.0実在の「美術品」エピソードと難民問題で人間とアートの自由を問う

2021年11月12日
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鑑賞方法:映画館

 御伽噺のような設定だが、人体に彫ったタトゥーを美術品として売買するエピソードはほぼ実話で、ヴィム・デルボアという現代アーティストの作品「TIM」に着想を得ている。
 デルボアはティム・ステイラーという男性の背中に作品としてタトゥーを施し、展示会場では観客側に背を向けて彼を座らせていた。「TIM」はドイツのコレクターに落札された。ちなみに、デルボアは保険会社の社員役で本作にカメオ出演している。
 シリア難民の人権問題にこの奇想天外なアートを絡めて、独特の切り口で人間の自由について問いかけてくる映画。

 ちょっとした発言のため官憲に追われ難民となったものの、恋人に会うため高名なアーティストの作品のカンヴァスとなり、「美術品」となることで移動の自由を手にしたサム。ところが恋人と連絡はついたものの諸事情によりすれ違い続け、サムは目的を果たせないまま、作品として扱われながら流浪してゆく。
 割と淡々と話が進んでゆくが、サム本人の意向を全く顧みない人権団体とのやり取りなど、皮肉めいたおかしさを感じるシーンもある。直接関係のない第三者が、当事者の個々の事情を汲まずにプロパガンダのネタ扱いするのはよくあることだ。
 他にも作品である背中に吹き出物が出来てしまったり、薄口のユーモアがちょいちょい挟まれる。人権の問題をしっかり織り込みながらも、語り口はライトだ。
 ところがラストはペースが一転して、短時間での急展開。うまくまとまり過ぎでは?いややっぱ現実はエグいな、からのええええ?!感情の高低差とスピード感に、一本取られた気分になる。

 アートを題材にしているだけあって、色合いや構図の美しい場面が多い。様々な美術品が額縁のように作品を彩っていて眼福だ。
 サムを演じたヤヤ・マヘイニは、演技経験は学生時代だけで本職は弁護士だそうだ。でも全く違和感のない演技だし、何といっても作品のカンヴァスとなる肉体が自然で美しい。ベネチア国際映画祭で受賞したのも納得の、役にはまった存在感だ。
 恋人のアビール役のディア・リアンは薄い色の瞳が印象的な美人。そしてモニカ・ベルッチはカッコよさに迫力がある。重ねた年齢に相応しい、こなれた美しさ。

 美術品としてモノ扱いされた方がむしろ自由という、シリアの国内情勢に自然と思いを馳せる。アート作品のあり方と人権問題、ふたつのことを考えさせてくれる作品。上手いです。

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ニコ

4.5人体にアートを刻まれた男がたどる運命

2022年2月3日
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鑑賞方法:VOD

監督が実際に美術展で見たタトゥーの作品がモチーフになったそうですが、「人体にアートを刻まれた男がたどる運命」というワンアイディアで、こんなに波瀾万丈なストーリーを作れるのかと感動しました。もの凄いハイコンセプトな作品です。チュニジアの女性監督、カウテール・ベン・ハニアの作品で、日本では彼女の映画が公開されるのは初めてです。モニカ・ベルッチが重要な役どころで出演しているのも驚き。2021年のアカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされましたが、それも当然のクオリティーです。オスカー受賞して欲しかった。

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駒井尚文|映画.com編集長

4.0現代の寓話を超えたところにあるもの

2021年11月25日
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牛津厚信

4.0難民問題に現代アートを絡めてみたら

2021年11月10日
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楽しい

難しい

シリア内戦の影響で祖国を追われ、恋人との関係も絶たれた男は、ヨーロッパ在住ビザを手にして、各地を渡り歩く。こう書けば実にハッピーな話なのだが、彼が手に入れたのは何と、背中に刻印されたタトゥのビザ。男の美しい広背筋に惚れ込んだアーティストが挑んだ究極の現代アートが、一旦は男にかりそめの自由をもたらすのだが。。。。。

しかし、買い手やキュレーターの意図によって動かされ、そもそも見せ物でしかないことにうんざりした男は、やがて、引き離された恋人と本当の自由を手に入れるために、とんでもない行動に打って出る。

シリア難民の現実をそのまま映すのではなく、軽々と国境を越えられるアートと越えられない生身の人間とをうまく対比させた挙句、想定外の結末まで用意した、これは難民問題を扱ったこのジャンルの画期的作品。何しろ、先が読めないストーリーはエンタメ的な楽しみすらある。

主演のヤヤ・マヘイニはシリア人の俳優で脚本家でもある。怒りと共にカメラを見据える眼差しは強烈で、姿勢によって変わる背中の表情と共に、しばらく忘れられない存在になりそうだ。

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清藤秀人

3.5Satire on the Art World a la The Square

2021年10月13日
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鑑賞方法:試写会

From a salesman's point of view, The Man Who Sold His Skin is nearly a carbon copy of The Square, acting as a parody of the art world with bizarre situations unfolding on screen. But the film has a little more heart with a love story at its center, and it often teeters the other way from silliness to lighthearted drama. With a Tunisian female filmmaker, it's some fresh directorial perspective.

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Dan Knighton

4.0難民、アート、越境、戦争、テーマがてんこもり

2023年12月3日
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鑑賞方法:VOD
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soleilヾ(´ε`○)

3.0なんだかアッサリ

2023年8月22日
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もっと面白くなりそうというか、アイディアはすごい面白いのに、あらすじだけ教えられたみたいなアッサリ感。あと主人公とその彼女なんだか老けてない?もうちょっと若者の話のほうがしっくり来たと思うんだけど。

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三毛猫泣太郎

3.0難し目だった

2023年8月15日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

作り手は国際問題を風刺する意味を込めてるんだろうけど、疎い自分には分かりづらく、色々な世界があるものだと理解するしかなかった。シリアは今どうなってるのだろう。
評価:3.1

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bigsuke

5.0人として越境できない私が商品として越境する

2023年7月17日
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redir

3.0違法契約

2023年5月14日
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刺青のアート性は良いとして所有権は当人だろうし、不法行為にあたらない範囲で、芸術家に残る権利をどのように契約で設定できるのだろうか。話が人身売買といった話にまで飛んでいくのは、リアリティを欠いた感もあるが、テーマとしては面白い。もう少し掘り下げて欲しかったところ。
メインはシリア情勢そのものだろう。母に起きたことを示す画像がショッキングである。そういう意味ではラストの着地は蛇足感を感じた。

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Kj

3.5不当逮捕から国外に逃亡した男性が背中を「売って」タトゥーを入れ、生...

2022年10月26日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

不当逮捕から国外に逃亡した男性が背中を「売って」タトゥーを入れ、生きた芸術品となる。
やむを得ない事情があったわけだが、上半身裸で「展示」されたり「競売」にかけられるのは屈辱でもあっただろう。
それでも元カノと復縁してシリアに戻り、ハッピーエンドかと思いきや、終盤の展開はひとひねりあっておもしろかった。

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省二

4.0シリアの不自由

2022年10月14日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

シリア。バスに乗っていて恋人に告白され、調子に乗って「革命だ!自由をわが手に!」と叫んでしまったために危険分子として逮捕されて、からがら身一つでレバノンに逃げる主人公。シリアの不自由。のっけから悲惨でとぼけた幕開けです。知己もないレバノンで路頭に迷って美術展のパーティに紛れ込んだ彼に提案された仕事は「背中を美術品として売ること」だった。ビザがタトゥーされた背中は芸術品として美術館に展示されることに。面白い映画でした。シリア難民の救援団体が乗り出したり、ISが彼を拉致したりと、中東ならではのくすぐりが入っていてなかなかコクのあるコメディになってました。それから、芸術の業界に対する皮肉も笑える(否定はしていないと思う)。
モニカ・ベルッチ演じる変な女がいいスパイスになってました笑。
ヒロイン(ディア・リアンというらしい)の目の色、凄いですね。トルコ石みたいな緑がかった灰色。

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arlecchino

4.0「最終回に大逆転」という感じでした

2022年9月23日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

舞台地域の社会情勢に馴染みがあればきっと、もっと刺さったと思います。
非常にステキなエピローグでした。
面白さがラストに集約されていました。とても良かったです。

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tuna

4.0芸術ではなく、人身売買では?

2022年9月10日
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 内戦から逃れるために難民となったサム。お金とビザを手に入れるために芸術家の誘いに乗り、背中にタツゥーを入れて展示物に。お金と自由を手に入れ、有名になれると勘違いしていたサム。でも実際には美術館に行って、背中を向けて座り続けるだけで顔もみせられず、故郷の家族に有名になったと自慢することすらできない。その辺りはサムの考えが甘かったんだろう。
 多額の保険をかけられて、オークションにもかけられていく様は、まさに人身売買。
まあ,理解のある芸術家だったから最後はサムのために一芝居協力してくれたから自由を手に入れる事が出来たが、また誰からも相手にされない生活が始まる。命の危険に晒され続けるよりいいだろうが。
 なかなか興味深い作品だったが、結婚した元カノとの未練がましい関係はなくても良かった気もする。

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アンディぴっと

3.0自分が作品

2022年9月7日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

主人公はシリア難民で、隣国レバノンである芸術家と知り合う。
彼の提案で背中に入れ墨を入れ、芸術作品として世に出す。
これ以降、彼の人生は大きく変わっていくのだが・・・。
今の先進国の価値観を強烈に皮肉っている。

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いやよセブン

3.5こんな自由はイヤダ。

2022年3月17日
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皮膚が皮肉になる時ー。はっ!?駄洒落!!

自由とは、なんだろう、、、。

アートは稀有であればある程な訳で、あ、そうかそうね欲望と芸術の間にアーティストは悩まされる訳ね。

本当人間て愚かで嫌だなぁ。爆破擬は少しスッキリ。

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大粒 まろん

3.0どの立場で見るかによって評価が分かれる

2022年2月4日
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キッスィ

3.5もしタトゥーが売買されたら・・・

2021年12月26日
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鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

知的

内戦の続くシリアから脱出し、難民となったサムは、現代アートの巨匠からサム自身がアート作品にならないか、いう提案を受けた。大金を手にした代わりに背中にタトゥーを施し、アート作品となったサムは、高額で取引される身となった。売買され国境を越えたサムは、やがて元恋人に会いに行くが、彼女は結婚していて・・・という話。
タトゥー作家の作品は人の皮膚に彫った刺青だから、これをアート作品と言えばそうなんだけど・・・、面白い設定だなぁと思った。
作品の売買と人身売買が表裏一体で、体調管理が契約事項で、などコメディ部分もあり、見応え有った。
アピール役のディアリィアンが美しかった。

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りあの

4.0money money money

2021年12月14日
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鑑賞方法:映画館

知的

この世の全てをお金に換算するのが当たり前の世の中となってますが、皮膚はその象徴というか。このお金で全てを測る方法そのものが狂っていて、人間の究極の狂気の象徴として富裕層が描かれてました。人類がお金に取り憑かれて倫理観を失くしていることに改めて向き合わされる作品です。

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ミカ

3.0自由という名の拘束

2021年12月9日
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21158.感情の赴くままに行動するキャンバスに描かれたアートの価値

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movie