「このような映画が見られること自体が貴重。」COME & GO カム・アンド・ゴー yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
このような映画が見られること自体が貴重。
今年196本目(合計260本目)。
大阪市では2週間遅れでしたが、大阪市を舞台にしているという事情もあり見ることができました。
私自身は行政書士合格者で、将来は外国人問題に関係したいなと思うくらいの知識量です。
ストーリー自体は他の方が多く書かれているし、全体的にネタバレ要素も強いので余り多くは書かないことにします。2020年のコロナ勃発前に、日本に普通に入ることができた外国人の搾取問題や性風俗の問題など、かなり生々しい内容が(実話ではないとはいえ、それに近いことが報じられていることは周知のとおり)描かれています。
今は大阪市もどこもコロナ事情で外国人の受け入れどころか観光すらまともにできないという「特異な事情」ですが、とはいえ、実話ベースではないとしても、実際に毎日(コロナ勃発前に)のように報道されていたニュース等をうまく組み合わせて、難民問題や日本語教室のこと、ビザの問題等描かれているのは、こういう映画こそ高く評価されるべきだと思います。
採点にあたっては下記のようにしました(5.0を超えることができないので、便宜上の5.0扱い)。
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(加点1.5)一般的な映画という観点ではおよそ収入が見込めないと思われる映画を、ミニシアター(テアトル梅田さん/実際にはテアトル梅田さんがある周囲3kmほどで舞台の大半が進む。この点でテアトル梅田さんで流すこと「そのもの」に意味があるといえる)で放映すること、「それ自体」に採算などを度外視しても「日本人にも考えて欲しい」という趣旨は感じられ、ここは高く評価しました。
(減点0.3)この映画、2時間40分ほどと長いのですが、不思議と長く感じませんでした。私自身がこういうことに興味を持っている(上記参照)ことも影響しているのかもしれません。
ただ、作内では弁護士はおろか行政書士も誰も出てこない映画です。もちろん法律職を考えれば弁護士は「何でもできる」職ですが、専門化も進んだこともあり、特にビザの手続き相談や代行など(結果的に、外国人の人権擁護になる)をしたりするのは、(特に、英語以外の言語の場合、その外国語の壁もあるという事情もあって)事実上、行政書士(の中でも、外国人問題を主に扱う人)の「事実上の」独占業務といっても差し支えない状況です。
一方でこれらの人々(さらに、行政やボランティアの人)「すら」一切出てこず、私人間でだけで問題を解決させようとしているため、誤った処理や「本来やるべき作業をやっていない」ために外国人が不当な扱いを受けているという描写もあります。もっとも、ちょっと前の「空白」と同じで、そうした人(弁護士でも司法書士でも)を出せば1時間で終わってしまうので「あえて出さなかった」というように解するのが妥当ですが、こと、外国人問題に関しては一歩手続きを間違えると強制送還を食らったりと面倒な仕組みであるのが現状で(もっとも、2021年時点ではコロナなので新規入国者はほぼいない状況)、いくら「架空のお話」だとしても、外国人の人権等を扱う映画であれば、この点の配慮(法律職の人をちゃんと出して介入させるべき)は強く思いました(これらに関する説明は一切存在しない)。
※ なお、これらのことは、「違法行為や脱法行為を行う外国人まで擁護せよ」というのではなく「国内に適正に入国して法を順守して働いている外国人が不当な扱いを受けることがないように、私人が適当にかむのではなく専門職にやらせるべき」という点にとどまることは、強く書いておきます。
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