記憶の技法のレビュー・感想・評価
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気持ちのいい作品
テレビドラマの《まどろみバーメイド》が面白くて池田千尋さんを知ったのね。そのあと監督やった《スタートアップ・ガールズ》が渋く面白くて、最近の《空に住む》の脚本がすごかったの。それで、この作品も絶対観ようと思って観たの。
爆発的な面白さはないんだけど、じっくり観ていられる。池田千尋さんは、どの作品もテイストが似てるね。観てて落ち着くの。
この作品はカタルシスがほぼないんだよね。落ち着いたテイストがそれに合ってた。
唯一のカタルシスは戸田菜穂が幼い華漣を救うところ。戸田菜穂は、自分の娘の交通事故を防げなかったことを、ずっと気に病んでたと思うんだよね。そこに、追い掛けられている華漣が現れて、ひかれそうになって、戸田菜穂が二重の危機から華漣を救うの。
それで華漣も助かって、戸田菜穂も救われてるんだよね。だから、実の娘と同じか、それ以上に華漣を愛してるんだって解って、このシーンは良かった。
カットはどれも面白かった。最初の方で栗原吾郎が話すとき、福岡ドームをバックにしたカットがあるんだけど、これが好きだったな。『福岡』を表すときに福岡ドーム入れてくるんだよね。そんなのも面白かったよ。
話の進め方は少女漫画ならではで面白くて、佳凛(石井杏奈)がひょんなことから穂刈(栗原吾郎)と関わり持つんだよね。「学校の有名人となんだか知り合いの私」っていう導入部があるあるで面白かったの。
佳凛(石井杏奈)の事情を謎にして引っ張るけど、ここまで悲惨な事情がいるのかな。その中での救いを描いてはいるけど、悲惨にすればそれでいいのかという気はしたな。
途中、過去の事件を探るんだけど「図書館で新聞みなよ」とずーっと思ったな。いろんなことを知ってる穂刈が気付かないはずないよね。ここでヒアリングをかけていって徐々に謎が明らかになってきて観ていくんだけど、ちょっと御都合主義だった。
あと穂刈の事情があんまり描かれてないのね。なので、穂苅がどうしてここまでするのか、これに関わってどう変わったのかが分かりづらかったかな。
落ち着いた気分で、気持ち良く観ていられるから、いい作品だと思うよ。
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