「人間を守るという大義が、あくまでも自然体なのがいい。」エターナルズ 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
人間を守るという大義が、あくまでも自然体なのがいい。
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10人もいる不老不死のキャラのひとりひとりが、とても丹念に描かれている。マーベルは、常に作品単体のクオリティより、キャラクターを立たせることで成功してきたと思っているのだが、『エターナルズ』がやっていることはこれまでとは勝手が違う。ヒーローとして面白いキャラなのではなく、ひとりひとりが人格として(厳密には人ではないかも知れないが)きちんと成立していて、フィクションを超えて「人柄」を感じさせるのだ。
これは演者の個性をフィクションに取り入れるクロエ・ジャオ監督のアプローチの賜物であることは容易に想像できるのだが、3回観て、登場人物たちがどんどん好ましく思えてくる。
彼らが人類を守ろうとする動機づけが足りないという批判もあるようだが、7000年地球にいて、スマホアプリにどハマリしているセルシ、お手製の窯でパイを焼いているギルガメッシュ、イカリス以外の全員がそれぞれに似合うファッションを楽しんでいることなどなど、どう見ても彼らは人間の暮らしや文化を満喫している。正直、彼らが人間を守りたいと思うのに、それ以外の深刻そうなドラマ性なんて必要ないんじゃないだろうか。
明らかにイカリス以外のエターナルたちは、日常を楽しみながら7000年を過ごしてきた。る。そもそも人類を発展させることが使命だったわけだが、何千年経っても達観したりせず、彼らなりに愉快に人生を積み重ねてきた。ああ、それだけで感動モノではないかと思うのです。心から。
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