「音と音とがひとつにまとまる奇跡の瞬間」ザ・ビートルズ Get Back 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
音と音とがひとつにまとまる奇跡の瞬間
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60分程度にまとめられたというIMAXシアターで上映されたバージョンは観ていない。配信でたいへんな長丁場を地道に見進めただけなのだが、この尺が必要だったことがよくわかった気がした。正直この『Get Back』を観た後にマイケル・リンゼイ=ホッグが監督した『レット・イット・ビー』を見直しても、一体なにを伝えたかったのかがさっぱりわからない。もちろんいろんな大人の事情があったのだろうと推察はするのだが、なぜこれほどの宝の山を編集室の床に捨てていたのかとただただ驚く。天才たちが一同に会して、曲ができあがっていく様、一緒に演奏する喜びと、相反して溜まっていくフラストレーション。乱発しまくるちょっとしたカバー曲も含めて、パフォーマー側から音楽の魅力を紐解いてくれるような刺激と興奮に満ちている。とりあえずボビー・プレストンが参加した時のアレンジに魔法がかかって全員にスイッチが入った感じ、あれはフィクション、ドキュメンタリーを問わずバンド映画の傑作には欠かせない、音が何よりも饒舌に語ってくれる最高の名シーンだと思っています。あと悪意すら感じるくらい、リンゼイ=ホッグが薄っぺらい人物に見えてしまうことに笑った。
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