「故障したロボはどうして人と友情を結ぶのか」ロン 僕のポンコツ・ボット 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
故障したロボはどうして人と友情を結ぶのか
ロボットと人の友情の物語は、わりと高確率でロボットが故障している。完璧な存在には、どうも人間は惹かれないらしい。この映画に登場するロボット「ビー・ボット」はネットワークに接続され、所有者の嗜好を解析して、最適な解を導く。全てはAIの計算によってパーソナライズされて、友達作りもこれをベースになされる。ビー・ボットの解析は完璧なので、期待はずれな解を導かない。常に所有者によって最適な友達を見つけるし、楽しく行動できる。いつも期待どおりの結果をもたらしてくれる。
裏を返すと、それは絶対に期待を超えることもないということでもある。
主人公のビー・ボットはこわれていて、予測不能なことばかりする。しかし、それが主人公にとって面白かった。主人公の期待を超えた面白さを提供したわけだ。そして、開発者にとってもそれが理想だった。完璧なビー・ボットは便利なツールでしかなかったが、壊れたビー・ボットは人の良き友達となる。完璧に予想通りに動くロボットは便利だけど、面白くない。壊れているぐらいのほうが、期待を超えて、子供にとって驚きをもたらしてくれるのだ。
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