「SNS社会への警鐘」ロン 僕のポンコツ・ボット ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
SNS社会への警鐘
最初デザインを見た時はベイマックスをミニマムにした感じだなとしか思いませんでした。割と楽しみにしつつ、後回しにしてしまいました。ロンの声優が関智一さんという嬉しい情報片手に劇場へIN。
なかなか楽しめました。劇場公開にこだわったのも分かるくらい、SNSは便利だけど、それに固執したらヤバいよね〜、アナログな文化にもたまには触れてみてもいいんじゃない?とアニメーションで伝えるあたり、斬新でとても面白かったです。監督の娘さんがインフルエンサーに影響されたという実体験から作られたということで、SNS社会に生きる自分にも刺さる良作でした。
まず何と言ってもロンの挙動が愛らしい。バーニーの元へやってきた時から暴走をし続け、主人の名前をAのスペルしかなく、アブサロムと呼び始める始末。お婆ちゃんに影響されて♪ディキディキダンディキディキダンと踊り出したり、バーニーのパンツやおもちゃを燃やしたり溶かしたりと、子供でもここまではやらないぜ?と。でも、途中途中バグったり、分解したりと、憎めない挙動がシンプルなデザインと相まってかわいいです。
会社の造形の描き方も良かったです。1番偉い立場の裏から演じるから操る悪い人間の描き方も露骨ではありますが、しっかりと"悪"として描いているのもとても良いです。どんどんと彼の悪い部分が際立ってきて、反面教師のような感じでした。
ロンが良かれと思ってやったことが裏目に出ていき、強制ロック解除やネットタトゥー、果ては表面上だけでの関係性などが続々と露わになっていきます。ネットの世界には一生残っていくものという言葉はどの国でも共通なテーマなので、思わず共感してしまいました。
今作の惜しい点として、同級生たちの描き込みの薄さ。さっきまでずっといじめていたのに、ロンとの関わりが分かった瞬間に急に改心したように助けたりするシーンに違和感を覚えてしまいました。あと、終盤のロンとのお別れのシーンもあっさりしていたので、自分にしては珍しく泣きどころが欲しいなと思ってしまいました。
大人も子供も楽しめる、そんな理想的な映画でした。配信も良いですが、映画館という非日常的な場所もとても良いので劇場でこの作品を観て欲しいです。ねぇアブサロム?
鑑賞日 10/26
鑑賞時間 16:20〜18:20
座席 O-15