「キャラの調合もお見事」パリの調香師 しあわせの香りを探して odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
キャラの調合もお見事
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香水作りの一線から退いて畑違いの匂い対策で糧を得ている調香師のアンヌと、家庭問題を抱えるハイヤー運転手のギヨームとの出会いと心の融和、再起への道程を描いた人間ドラマ。
香水作りも芸術的分野、嗅覚障害なんてベートーベンの苦悩を彷彿とさせますね。
それにしても、しっくりくる納得の邦題は久々の脱帽です。
香水なんておじさんには縁遠いが、遺跡の匂いの再現、ハンドバッグのなめし皮の匂い消しや、工場の排煙対策など事例のユニークさもあって興味をそそられる。ディオールやエルメスの実際の調香師さんが監修したとあって説得力も流石です。
調合の妙と言えばキャラ設定もしかり、ただの善良なオヤジでなく必然性のない自販機やスーパーでのちょろまかしシーン、高圧的で冷淡な主人公が次第に懐柔する様は北風と太陽のお伽噺にも似た流れ、特に華々しい内容も無く淡々とした日常を描いた映画ですが魅了されました。
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