「【無言の場所で長年行われていた事が惹き起こして行く哀しくも恐ろしき行為。隠蔽体質が負の連鎖を引き起こす事実を描いた陰鬱な作品。】」無聲 The Silent Forest NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【無言の場所で長年行われていた事が惹き起こして行く哀しくも恐ろしき行為。隠蔽体質が負の連鎖を引き起こす事実を描いた陰鬱な作品。】
ー 冒頭、テロップで”今作は事実を元にしているが、出演者の名前などは架空のモノである。”と言う趣旨のテロップが流れる。
そして、映画を観ながら、その言葉に納得する。>
◆感想 <Caution! 内容に触れています。>
・台湾の聾学校で長年行われていた、美術教師による小学生だった生徒への忌まわしき行為は、その生徒の心を傷つけつつも、彼も又成長する中で、周囲にとってはモンスターの様な存在になっていく。
正に負の連鎖である。
・普通学校からその聾学校に転入してきたチャンは、バスの車中でベイベイと言う女の子が、性暴力を受けているのに周囲が無関心な事に驚く。
そして、徐々に何故に周囲の少年少女たちが無関心である理由が明かされていく。
この過程が、実に恐ろしい。
被害者が、加害者になって行く負の連鎖。
・全ての行為のきっかけになっていたユングアンは前半は、完全なる悪として描かれているが、中盤彼の行為の理由が分かるシーンは悲しい。
- 彼が、自らの身体を傷つけ、入院していた時に唯一正義感により事実究明するワン先生に言った言葉。
”入院している時に、美術の先生が来たんです。僕は、憎まなければいけないのに、アイツに抱き着いてしまったんです。僕は、変態なんです・・。”-
・生徒より、学校運営を重視する手話のできない女性校長が、長年隠蔽してきた事。
チャンが唯一頼るワン先生は愚かしき校長を詰問するが・・。
<無言の世界で行われていた恐ろしき行為を、皆が通常だと思うようになってしまう恐ろしさ。その事実を隠蔽する校長始め、学校側の人間。
実に嫌な気分で、観賞した作品であった。
見て見ぬ振りは駄目だ。隠蔽も駄目だ。
誰かが勇気を持って声を上げなければ、ならないのである。
それにしても、ユングアン少年の言葉は、人間の性に対する複雑さを感じてしまった。>
<2022年3月5日 刈谷日劇にて鑑賞>
コメントありがとうございます!
さすが、よく観られてますね。どちらの映画も、聖職者による犯罪行為という点が大きな問題だと思います。
こちらこそ、またコメントを拝見させていただきます!