サマーフィルムにのってのレビュー・感想・評価
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映画の映画にハズレなし
私は、「はずれ」のない映画ジャンルというものがあるように思う。
絶対とは言わないものの、「映画の映画」「ボクシングもの」「ロードムービー」の三つは堅い。 この映画は、映画部の高校生の青春活劇だ。
正直、河合優実さんが出ているというだけで見始めた映画だが、最初の方は、青臭い青春ムービーかと思いきや。。。
主人公は、時代劇が大好きな女子高生監督。軟弱な恋愛映画にヘドが出る。高校生にして文化祭で本格的時代劇の上映を目指す。
部と学校の方針に逆らって、ゲリラ的映画作成と上映をたくらむ監督の言葉が秀逸であった。曰く「映画って、スクリーンを通して今と過去をつないでくれるんだと思う」まったく首肯する素晴らしいセリフだ。
そこに時代劇のイメージにピッタリの男子高校生が現れる。拝み倒して出演を迫る!しかし、実は彼は未来から来た高校生で、この女子高生映画監督が、未来で大巨匠になっている映画監督の最初の作品である、この文化祭で上映される映画をどうしても見たくて、未来からやって来たのであった!
最初は青春コメディーの映画かと思って見ていたのだが、次々に展開が移り変わっていき、見ている我々は、この映画の最後はどこへ行くのか?などと、全く想像を超えていく展開が次々と起こる。 果たして文化祭での上映は成功するのか!?
最後の最後の展開は、まったく想像もしなかった展開でたたみかける。
う~んっ、青臭い映画には違いないものの、すがすがしい若さあふれる映画でした。 やはり映画の映画にハズレなし。
誰にも共感や感情移入できない作品でした〜
始めの30分ぐらいは、「何でこの映画を観ようと思ったんだっけ?」と、後悔。
ひたすら自分勝手なカナ、優しいすれば良いとしか考えないホンダ、色々と胡散臭いハヤシ。これが「現代日本の若者たちの恋愛や人生を鋭い視点で描き」と言われても、劇中のカナのセリフでもあるように「ニホンオワタ」ってこと?
終盤にカナは「あなたは躁うつ病です」と診断されてからは、病気なんだから仕方ない、皆んな優しくね、ってホワイト節で納得させられた、って感じです。
主演の河合美優は「サマーフィルム〜」以後、直帰は「ルックバック」の声優やら、かなり私のお気に入りの女優なので、それだけが救いでした。
巨匠ハダシ先生曰く。日本映画は終わるんだね♥
初見は封切りで池袋で見た。
ケン・ソゴル(深町くん)の『芳山くん♥』を思い出す。島田淳子さんだったかなぁ?『タイムトラベル』って名前だったと思う。どストライクの中2病真っ只中だぜ。
元々、日本の時代劇は浪花節が主体だった。でも、木枯し紋次郎や必殺シリーズから『ニヒル』が加わる。原型はイタリア製のウェスタンだと思う。
このお話は『ゆるキャン△』ならぬ『ゆるムービー△』だネッ。
夏映画の新たなマスターピース
オタクが陽キャに向けて一発かます型の青春群像劇のフォーマットを見事に裏切り、全てを愛で包むような包容力と刹那的な儚さを夏と青春で爆発させ、より大きなカタルシスに着地するというとんでもない傑作映画
夏映画の新たなマスターピース
バイプレーヤー達も一人一人キャラの描き方の抽象度が高く、ディテールがやや不足気味にも関わらずしっかりと役割が立っていたので見やすかった。
ファンとして欲を言えば、もう少し一人一人の背景や細部を丁寧に見たい気もするが、この映画のクライマックスに向けての高揚するドライブ感を重視するならこれくらいが絶妙なのかもしれない
工夫に満ちたフレッシュなアイデアで繰り広げられる愛と青春に清々しく討たれる映画
気持ちの良い涙が流れます
だって「大好きってしか言えねー」もん
思い出してほしい。映画が始まって一番最初に出るタイトルを。それは「大好きってしか言えねーじゃん(仮)」だ。
つまり「サマーフィルムにのって」のメインテーマは「大好き!」なのである。「大好き!」が木の幹とするなら、時代劇とか、タイムトラベルとか、夏休みの映画作りとかってのは全て枝葉や花。
もっとちゃんと説明するなら、ハダシの大好きが時代劇で、ビート板の大好きがSF、ブルーハワイの大好きがキラキラ青春ラブコメ。この3人の「大好き!」が絶妙に絡まりあった映画が「サマーフィルムにのって」なのである。
この3人以外のキャラも素晴らしい。特に映画部で「大好きってしか言えねーじゃん」を撮っている花鈴は、嫌なヤツかと思いきや、しっかり自分の美学を持っている立派な映画監督だ。
映画の中で、花鈴はハダシを監督として導いているフシがある。もちろん花鈴に「ハダシを立派な監督にするわ!」みたいな野望はないのだが、映画を愛し映画を創る姿勢を通じて、好きを形にする楽しさと覚悟を示しているような気がするのだ。
コミュニーケーションの肝は受け手にあると言う。
「サマーフィルムにのって」が巧妙なのは、相手のセリフがどんな意味に聞こえるか?を大切にしているところだ。
例えばロケ合宿のお風呂場で、ビート板が花鈴に「負けないから」と言った後。花鈴は「ごめん、全然眼中になかった」と返すのだが、ここのセリフがすごくサラッとしているのだ。
このセリフをどう言うか、コメンタリーによると花鈴役の甲田まひるは相当悩んだらしい。
この時、花鈴にとってハダシが映画で自分と勝負しているとは初耳だが「勝負しているとは知らなかった」以上に、「自分の映画製作に夢中で何も気づいていなかった」という意味の「眼中になかった」なのだ。
あまり余計な感情を入れないよう、あくまでも天真爛漫なのがこのセリフの肝である。
それでもビート板には挑発に聞こえているし、ブルーハワイは無視されているように聞こえたらしく寂しげな表情をしていた。
もう1つ例を挙げるなら、「サマーフィルムにのって」の最重要シーン、ハダシと花鈴の編集作業である。このシーンの前に、文化祭の前日ギリギリまで編集している間、数々の青春ドラマがガヤ的に繰り広げられていて、そこだけ切り取っても面白いのだが、花鈴が息抜きにDVDを観始めてからが真骨頂である。
アンチラブロマンスなのかと思いきや、いつの間にか一緒に泣きながら恋愛映画を観ているハダシも面白いが、同じく泣いていた花鈴は「やっぱ、伝えない愛も良いよね」と言う。
「伝えない方が良いのかな」というハダシは、明らかに凛太郎への自分の思いを考えているが、そんなことは露ぞ知らぬ花鈴は、「私の作品では絶対に伝えるけどね」と映画の信念を語る。
「え、駄作になっても?」というハダシの問いへの答えが清々しい。「勝負しない主人公は好きじゃない」。花鈴自身、自分が好きだと思うジャンルの映画を撮り、これが好きだと勝負してきているから、自分が反映された自分の映画では主人公に勝負させたい。それが自分だから。
その後、ハダシの映画上映どうするの?という話の流れで、花鈴はハダシに発破をかける。「勝負、しようよ」と。
これも花鈴にとって他意はない。花鈴が口にしているのはあくまで映画の勝負。だが、ハダシにとっては花鈴の「勝負しようよ」は「ちゃんと気持ちを伝えなよ」に聞こえるのだ。勝負しない主人公になっちゃっても良いの?と聞こえるのだ。
「武士の青春」のラスト、仇討ちという真剣勝負の場で、ハダシは悩んだ末に主人公と仇敵が斬りあわないエンディングに決めていた。別れを運命づけられたからって「さよなら」なんて言わなくて良い、という思いを込めて。そこに自分と凛太郎を重ね合わせていたからだ。
しかし、花鈴の「勝負しようよ」で気づくのだ。斬りあいは相手を特別に思ってこそだと。特別なのに斬らない、自分の思いを伝えない、そうやってみっともなく足掻いて、それでも別れが来るなら。
別れの前に、せめて「勝負」しなきゃならない、そもそも「決闘しない時代劇なんて絶対認めない」んじゃなかったのか、私はそういう奴じゃなかったのかと。
この映画のラストの殺陣は、映画史に残る名エンディングだと思う。あんなにバカバカしくて、カッコいいエンディングはいまだかつて観たことがない。
時代劇撮ってるのかと思ったら、キラキラ青春ラブロマンス映画で、なんかズルい。ブルーハワイの言う通りだ。
だから実は、この「サマーフィルムにのって」は多分月島花鈴監督の映画だ。キラキラ青春に世界観をグッと深める為の時代劇要素とSF要素。そして最後は主人公にちゃんと勝負させる、「大好き!」が詰まった映画。
泣きながら「傑作!傑作!」と拍手しちゃう、そんな映画だと思う。
ハダシの青春
Paraviで鑑賞(レンタル)。
これぞ青春映画と言える傑作。オリジナル脚本と云うのがいい。時代劇やSFなどいろんなジャンルが詰め込まれているのに、それらが巧みに作用し合って最良の化学反応を起こしていました。小道具のセンスも抜群だし、伏線回収も鮮やか!
何よりも、映画愛に溢れた作風が映画ファンの心にびしばし刺さって来る。17歳の口から勝新だの「十三人の刺客」だのが飛び出すのが愉快。ハダシとは絶対話合うわと思いながら観ていました。映画が無くなっている未来は心にチクリ…
意表を突くラストの爽やかな展開も素晴らしい。「斬り合いとは『愛の告白』である」。名言キタコレ。「好きと言わずとも好きを伝えるのが映画だ」と豪語していたハダシが、凛太郎にはっきり「好き」を伝えるシーンにグッと来ました。
この爽快感、「桐島、部活やめるってよ」に似てる…
[余談]
伊藤万理華の演技に魅せられました。肩を潜めて目立たぬように歩き、好きなことを話す際には早口でまくし立て、推しを尊ぶ姿はオタクそのもの。乃木坂時代から演技力に定評のあった彼女ですが、その才能が一気に開花した感がありました。
最高の青春SF恋愛映画に出会った
映画好きがハマってしまう要素がてんこ盛りで、普段から映画を観ている人ほど刺さる描写が多い。終盤はずっと泣いてた。良すぎて。キラキラ青春恋愛映画をどこか馬鹿にしている私のような映画オタクが「キラキラ青春恋愛映画もいいじゃん」と、価値観を塗り替えられるほどに素晴らしかった。
恋愛も友情も青春もSFも映画も時代劇も。様々な要素を詰め込み、尚且つ映画としてきちんと成立させているのが本当に素晴らしい。
細かいところまで観れば正直違和感や不満点があることは認めつつも、それ以外の部分の面白さが素晴らしすぎるので、これは高評価をせざるを得ないでしょう。減点箇所が15点あるけどそれ以外部分で5億点です。
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時代劇をこよなく愛する女子高生のハダシ(伊藤万理華)は高校の映画部に所属して時代劇を作ろうとしていたが、文化祭で上映する映画のコンペでキラキラ恋愛映画が好きなカリスマギャルの花鈴(甲田まひる)に敗れ、時代劇を作れなくなってしまう。更には主人公役に適任の生徒が見つからないこともあって映画製作のモチベーションはすっかり消えかけていたハダシの前に、主人公にピッタリの顔立ちの青年・倫太郎(金子大地)が現れる。半ば強引に倫太郎を映画製作に勧誘したハダシはメンバーをかき集め、自費で時代劇の製作に取り掛かる。
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この映画を観た時に思ったのが「『あの夏で待ってる』みたいな映画だ」ということでした。
『あの夏で待ってる』という作品は2012年に公開されたテレビアニメで、「高校生の仲良しグループの男女が夏休みに映画製作をする」という話なんです。たまたま見掛けた転校生の先輩に一目ぼれして映画の主演に勧誘するとか、その先輩は実は宇宙人であまり長く彼らと一緒にいられないとか、本作と類似するシーンが非常に多い作品です。私は『あの夏で待ってる』を毎年夏になると鑑賞するくらい大好きなので、本作を鑑賞した時には類似点の多さに驚きました。
もちろん「パクリだ」などと言うつもりは毛頭なく、むしろ似たような設定でありながら作品の展開は全く逆方向に進みますので、どちらの作品も私に刺さる青春作品だと思います。本作を観て気に入った方は、ぜひ『あの夏で待ってる』も鑑賞してみてください。
本作の素晴らしさは語りつくせません。役者も良い。脚本も良い。演出も良い。ラストシーンが良い。
何より良かったと思うのが、ハダシと花鈴の対比ですね。
当初は花鈴の作るキラキラ青春映画を目の敵にしていたハダシですが、実際にハダシが撮影を始めると色々とトラブルが続出します。ハダシはたった7人のクルーだけでも苦労していますが、花鈴は20人近い映画クルーを見事にまとめ上げている。そして終盤では、彼女は彼女なりの映画に対する信念を持って映画製作に取り組んでいることが分かります。だんだんと、「花鈴って凄い人だったんだ」と分かる展開。こういう価値観の転換が映画の醍醐味でもありますので、私は非常に良かったと感じました。
本当に素晴らしい作品でした。今年も半分残した状態ではありますが、今年ベストの映画を見つけてしまったかもしれません。オススメです!!
ラストは「映画」ではなく、チャンバラ演劇。
クライマックスで、もう一度映画をやり直す、と上映会場で生でシーンを演じるくだりがあるが、撮影をするわけではなく、やり直されたのは「映画」ではない。全編、映画だの撮影だの散々言いながら、クライマックスではチャンバラを生で演じてオッケー、ヒロインの恋心が昇華されるというかなりなご都合主義。ヒロインに映画愛があるのだろうに、なぜそこがチャンバラ演劇でよし、になるのか。山場で「映画」が吹っ飛んでしまってかなり残念。
大好きってしかいえねーじゃん
昨夏、口コミで人気が拡がり、評判となった本作。
ずっと気になっており、見た感想は評判に違わず。だって、
学園青春×映画愛×『時かけ』風SF。
まるで、私を含め映画好きの為に作ってくれたとしか思えない。新鋭・松本壮史監督に感謝。
上記のジャンル好き、映画好きは皆、この“部”に集まれ~!
主人公のキャラがユニーク。
とある高校の映画部所属のハダシ。一見平凡な女の子だが…、趣味嗜好が変わってる。
今映画部では、部員たちで自主製作の映画を撮っている。胸キュンキュン青春キラキラのラブコメ『大好きってしかいえねーじゃん』。
両想いの男子女子が互いに好き好き言い合う王道青春ラブに、部員たちはキャーキャー言いながら。
年頃のハダシもそんな話に…うんざり! こういう胸キュン青春ラブコメに全く興味ナシ。彼女が好きなのは…、
時代劇。語り出したら止まらないほどの時代劇ヲタク。憧れは勝新太郎。マイベストムービーは『座頭市物語』。
周囲からすれば“変わった女の子”。
“変わってる”なんて言い方したけど、あくまで文法上。それの何処がヘン…?
人は十人十色。だから好きな事も人それぞれ。時代劇好きの女子高生が居たって何がおかしい?
TVバラエティー『博士ちゃん』を見よ。自分の好きな事に熱中し大人顔負けの知識の子供たちがいっぱいで、何だか嬉しくなるくらい。
そんな子供たちやハダシのように好きな事に熱中出来るって、素敵な事ではないか。
かく言う私も映画バカの端くれである。
密かに時代劇の脚本を書いているハダシ。タイトルは『武士の青春』。時代劇=チャンバラの固定概念に囚われず、二人の若侍の青春を描いた“青春時代劇”。
これを撮るのが夢だが、未だ実現に至らず。と言うのも…、
主役にぴったりの“役者”が居ない。
ハダシが主役に求めるのは、美しくて、儚くて、それでいて日本男児。
キャスティングも映画の要。監督に惚れられ、主役に抜擢され、スターとなった役者も少なくない。黒澤と三船もそう。
そんな時、遂に見つけた!
往年の時代劇映画を上映していた映画館で、同じく鑑賞していた彼。凛太郎。
どうやら彼も時代劇が好きっぽい。でも何より、イメージにぴったり!
猛アタック! …あ、キラキラ青春ラブコメみたいな愛の告白じゃなくて、あくまで映画出演オファーです。
断り続ける凛太郎。が、説得し続けるハダシ。
「あなただから撮りたい」
そこまで言われちゃね…。根負け。半ば強引にだが、出演を了承する。
でも、この凛太郎の言動がちょっとヘン。
初めて会った時ハダシの事を“ハダシ監督”と呼び、何故か敬語。
ハダシほどではないが多少時代劇を知っているようだが、Netflixなどのカルチャーはおろかマシュマロやクレープを食べた事ない。超ド田舎に住んでいた…?
出演の断りの理由も、「マズイんです」「ヤバイんです」。どういう意味…?
何はともあれ、夢にまで見た撮影!
…とは言え、とんとん拍子には進まない。
製作費は…? 部費は映画部がキラキラ青春ラブコメに使っている。
バイトで稼ぐ。この時も力になってくれた凛太郎。
製作費は何とか。後はクルー。
主役のライバル役に、老け顔の同級生男子。陽気な筋トレバカの熱血男子。
“デコチャリ”で登校する不良男子を照明係に。野球のホームラン音の聞き分けが趣味のヘッポコ男子二人を録音係に。
カメラはスマホで。幼馴染みのビート板が担当。天文部所属でSF好きの女の子。
殺陣指導も幼馴染みのブルーハワイ。剣道部所属で、同じく時代劇好き。
映画的な個性的な面々が集まってきた。
いよいよ撮影開始。スタート!
ド素人演技の凛太郎。
台詞が覚えられないライバル役。
照明担当はヤル気ゼロ、録音担当はカメラに映っちゃうし…。
トラブル続出で素人丸出し。
ハダシもハダシでこだわりがあって、カット!…の連続。
この映画、完成はおろか無事撮影出来るのか…?
が、次第に“形”になっていく。
凛太郎も段々と主役らしく、“役者の目”に。
時には時代劇のお勉強会。殺陣の練習。
学園青春モノの定番、合宿。
ヘッポコでバラバラだったが、映画製作チームや仲間として絆が芽生えていく。
この撮影が楽しい。
合宿で夜、お菓子を食べながらお喋り。
ハダシが時代劇好きになったきっかけなどを打ち明けたり…。
ベタだけど、もう堪んないくらいのTHE青春!
一緒にいて楽しい友達や仲間がいて、皆で力を合わせて何かに夢中になる。
ああ、素敵だなぁ…。あの合宿の夜のシーン、本当に心がほっこりした。
それもこれもこの仲間に尽きる。
特に仲良しのビート板とブルーハワイ。(にしてもハダシも含め、何ちゅーあだ名…)
ビート板は幼馴染みだけあって、ハダシの良き親友、良き理解者。色々支え応援してくれたり、時にはビシッ!と。合宿には映画部も来ており、面と向かって「負けないから」と対抗心メラメラ。
ブルーハワイは長身の優しい女の子。時代劇好き、剣道部所属で古風な性格と思いきや…、実は! ハダシやビート板が苦手なキラキラ青春ラブコメが大好き。こっそりスマホで漫画を読んだり、映画部の撮影が気になったり。
ハダシ=伊藤万理華、ビート板=河合優実、ブルーハワイ=祷キララ。
この3人のナチュラルな演技、やり取り掛け合い、魅力やフレッシュさが最高!
主演の伊藤万理華は元乃木坂46のメンバーだという。正直、エースの白石麻衣みたいな美人ではないが、本当に時代劇ヲタクなんじゃないの?と思うくらいのハマり快演、飾らぬ等身大の佇まいに好感。
一見、ズッコケ連中で自主映画を製作する青春モノ。
だけど見る前から、+αの要素を知っちゃっていた。って言うか、レビュー序文にも書いちゃったし。
時々おかしな言動の凛太郎。あるシーンで一人になった時、小さな球体から映し出されたホログラムの男子と会話。
そしてある時、自分で口を滑らせて衝撃的な事を言ってしまい、彼の正体がバレる。
凛太郎は、未来から来たタイム・トラベラー。“時をかける少女”ならぬ“時をかける少年”。
この時代に来た目的は…?
ハダシを“監督”と呼び、敬語で話す事から察しは付いた。
ハダシは未来では名監督となっており、凛太郎は彼女のファン。会う為に遥々やって来た。
大体当たった。スゲーじゃん、ハダシ!
違うのは、会う為ではなく、見る為。ハダシの幻のデビュー作『武士の青春』を見る為に。
近々開催される文化祭でしか上映されないらしい。見る為だったのに、まさかの主演に…! にしても、筋金入りのファンの凛太郎。
ちと気になる事が。文化祭でしか上映されない。フィルムとか残されていないの…?
また、凛太郎が正体をバラす時に発してしまった言葉。
未来に映画は無い。
凛太郎が居る未来世界では、映画そのものが廃止されている。あったとしても僅か5秒ほどの短編、1分でさえ長編。他人が作った嘘物語に、誰も関心持たない時代になってしまっているのだ…。
あまりにも衝撃的でショックな事実…。
これが映画製作に支障をきたし、ハダシの心情に暗い影を落とす…。
撮影が遅々として進まない。
元々ラストシーンに悩んでいたハダシ。ここに来てピークに…もあるだろうが、おそらくそれ以外の理由も。
未来に映画は無い。残りもしないのに、何故映画を作るの…?
撮影に来なくなるハダシ。
仲間内でも意気消沈…。
その前から凛太郎の演技に厳しくなったハダシ。幾度もカットを。
実は…。
いつの間にか凛太郎に恋してたハダシ。
そんな彼から打ち明けられた秘密に、好きと複雑な想いが入り交じり。
もう自分でも分からない。
ある夜、久々に凛太郎と面と向かって話し合う。
“好き”とは言えなかったが、映画を完成させたい思いの凛太郎。くすぶり続けていたハダシ。
踏ん切り付けた。映画の撮影を続ける。
ハダシの気持ちに気付いていたビート板。実は彼女、SF好きあって凛太郎の正体にいち早く気付き、密かに凛太郎の事を…。あるシーンの彼女の台詞が切ない。「あ、これ、失恋だったんだ…」。
ハダシと凛太郎が対した場に出くわしたビート板とブルーハワイ。その時のブルーハワイのリアクションが最高! 「私もキラキラ青春やりたい!」。ちょっと切なくしんみりした空気を解してくれたナイスフォロー!
撮影再開。でも、このままではスケジュールが間に合わない。
そこで協力してくれたのが、映画部。あちらの撮影中キャストに穴が空いた時、ブルーハワイが助っ人で出演。(念願のキラキラ青春ラブコメに出演出来て大喜びのブルーハワイ、皆が驚くほどの女優演技を魅せる)
あちらの監督、同級生の花鈴。ブリッ子でソリが合わなかったが、借りた借りは返す、意外とイヤミな性格じゃない女の子。
あちらとこちらで協力し合って撮影。
ラストシーンに悩んでいたハダシ。
そのラストシーンとは、友情を深めた二人の若侍。最後、斬り合うか、斬り合わないか。
斬り合わない時代劇なんて時代劇じゃない。
でも、斬り合わない事で伝えられる“思い”もあるのでは…?
撮影はオールアップ。編集も完了。遂に完成。
ハダシが選んだラストシーンは…?
文化祭。
映画部の自主製作映画、花鈴監督作とハダシ監督作の急遽の2本立て。
花鈴のキラキラ胸キュンラブストーリーに、皆悶絶。
一方のハダシ時代劇には…。渋すぎる作風に困惑。が、本格的なチャンバラ・シーンには興奮。
いよいよ悩みに悩んだラストシーン。その直前、ハダシは映画の上映をストップさせる…。
どうしたの、ハダシ…!?
斬り合わないラストシーンにしたハダシ。
でも、気付いた。違う。これじゃダメ。斬り合わないと。
文化祭の場で、ラストシーンを撮影…いや、即興で“生上映”。
凛太郎演じる主人公と対するのは、ハダシ。(役を譲った老け顔同級生、ナイス!)
凛太郎対ハダシ。
物語上は決闘だが、実際は想いをぶつけ合う。
真剣に向き合う事で。
時代劇はラブストーリー。
時代劇の格好をまとい、実はしっかりと胸キュンラブストーリーしてた。
文化祭での上映前、ビート板とブルーハワイは凛太郎の未来の友人からある事を聞かされる。
上映したら、この映画は無くならないといけない。それが歴史。
つまり、これがお披露目であると共に、最後。
それを伝えられないビート板とブルーハワイ。
が…
“決闘中”、ハダシはそれを知っていた。
映画は無くなるかもしれない。
でもそれでも、映画を作る。作り続けていく。
思いを伝える。伝え続けていく。
この想いを受け止めて。
この想いを受け止める。
ラスト、激しく剣を交えるハダシと凛太郎。(伊藤万理華の見事な殺陣に圧巻!)
熱い殺陣シーンであると同時に、最高にロマンチックなシーンでもあった。
賛否は分かれてるようだが、個人的には“撮り直し”が功を奏したようで。出色のラストシーン!
ユニークな話でありながら、実は王道の青春モノ。コミカルで、ハートフルで、切なくて、熱くて。松本監督にはこれから注目。
伊藤万理華らフレッシュな面々の姿もずっと見てたいほど。
『座頭市物語』に勝新、市川雷蔵、長谷川一夫…出るわ出るわの時代劇映画ネタにニヤリ。
奮闘部活モノ、青春、ひと夏、淡い恋、SF要素に映画愛…。
全てが完璧な完成度の高い作品ではないかもしれない。
演技もベタで拙い所もあるかもしれない。
それらも引っ括めて、
好きがいっぱい詰まってる。
この映画、大好きってしかいえねーじゃん!
よくある話だけど、最高!
なんだろう?ストーリーの各要素はよくあるものだと思うんだ。高校最後の夏、映画制作、はみ出し者を寄せ集めたチーム、ライバル、文化祭での上演、そしてSF要素。だけど出来上がったものは傑作と言わざるを得ない。
それは、伊藤万理華の熱量や、皆が言及しているラストシーン(いや、観ててテンション上がりまくりましたけどね)だけでは説明がつかない。
サブキャラの扱いが絶妙だ。野球部補欠の音響二人はさほど取り上げられたわけではないのだがキャラが立っている。キャッチャーミットに収まる球音だけでピッチャーが判るなんて設定が効いているのだ。デコチャリの照明はヤンキーキャラにありがちな悪目立ちする演技は控え、黙々と自転車を漕いでいる。ビート板やブルーハワイは名前だけでキャラ立ちしている。もちろんこの二人の役回りは重要だし僕もビート板の佇まいは大好きなのだが、必要以上にスポットを当て過ぎない事によって青春群像劇ではなく、はだし(伊藤万理華)の物語に収斂し、求心力を増しているのではないだろうか。
未来の映画を頼んだよ
学生の頃、本棚には山本周五郎全集が並んでて壁には「十三人の刺客」のポスターを貼ってたな〜。懐かしいなぁ。「十三人の刺客」のポスターもらった(当時は余ってたの200円で分けてくれたな)のここだったな、三十年振りの進冨座・レック・伊勢東映。
ワクワクのはじまりから、あれ。
時をかける少女を出して、タイムワープ入れてくるんだったら、もっと切なくして欲しかったな。
未来には映画がないってどういうこと?
作ってないっていうことか。過去作は見れるんだよね。
ビート板の子が良かったな。
キラキラ映画の方の主役の男の子は、「殺さない彼と・・」の子だったな。
未来の映画を担う人たちだ。
未来じゃなくて今を憂えよ
全然面白くない!とは思わなかったのですが、壊滅的な点があったのでそれだけ書きます。
①主人公に魅力がない
主人公=ハダシ です。
これは観た方全員が思ったでしょうが、
「時代劇=映画」じゃねえ!!!!!!!
彼女が好きなのは時代劇映画であって映画全般ではない。
(加えて言うと地上波とかの時代劇も好きじゃなさそう)
なのに、「未来に映画がないこと」にあれだけのダメージを受けるわけですよ。
おいおいちょっと待てと。そもそも現在時点において時代劇は絶滅しかけているだろなぜその点に言及しないのか、と。
地上波では放送せず、劇場でもほぼ無く、専門チャンネルくらいでしか残っていない現在のことを先ず憂うべきだよ。。。
このあたりが時代劇→映画とごまかした制作陣のツケを払わされていて、主人公像の浅さにつながっています。
根底に映画愛がない(時代劇愛はある)キャラクターになってしまっている。
そんな彼女を象徴するかのように人望がない。
映画部でコンペしたときに彼女の作品には彼女しか投票していないんです。
映画部なんてあんなキラキラしたカースト上位の人間ばかりで構成されるわけないのだから、
花鈴のこと嫌いな人間もいるわけですよ。
でもハダシには票が入らない。別のベクトルで浮いていて人望がないから。
なんであんなにスタッフ・キャストを集められるかが謎ですね。
(好意的に補完するなら、ブルーハワイにめちゃくちゃ人望があるためですが。。。)
ハダシ監督についてくる理由がよく分かりません。
②やりたいことが多すぎる
結局なにを伝えたかったのでしょうか。
青春、恋愛、SF、メッセージ...
個人的には
業界の方の、各種動画サイト隆盛に対する(くだらねえ)メッセージが根底にあると思っています。
だから時代劇愛を映画愛にすり替えたりして薄っぺらくなる。
あとは青春だからと言って色々盛り込みすぎ。焦点を絞ってくれ。
例えば、恋愛でもいいのですが、
憧憬・尊敬(凛太郎→ハダシ)に対する恋愛感情の勘違い(ハダシ→凛太郎)とか、興味と恋愛感情の誤認(ビート板→凛太郎)とかの、
恋に恋するお年頃ならではの感じをやるならきっちり描写しなければいけないのに、あの程度で済ますからぼやける。。。
さいごに、
役者の演技に違和感があったり、台詞で説明しすぎるところは「高校生が撮った映画」についてのメタ構造でしょうか。それならば演出としては良いなと思いました。
脇役の絡みや、音楽がよかっただけに残念です。(なんで脇役にはうまくキャラ付けできているのに主役はああなるの?)
爽やかな佳作
オープニングが「なんだこれ」と思うんだけど、劇中作のなんだこれ映画のオープニングだったの。面白いと思ったけど、やっぱりなんだこれ感は出るから、どうなんだろう。
キャラ説明してくところは分かりやすくていいの。「ハダシ」「ビート板」ってやや強引な呼びかけが続いたり、そこから時代劇好きのシーンにもっていって、ブルーハワイ含めた三人の関係説明があって。
「これ、学園の面白エピソード紹介?」っていう浮いたシーンがあるんだけど、「面白いからいいか」と観てたら録音部、照明部の説明だったのも、いいなと思ったよ。
そして凛太郎と出会って「ハダシ監督!」って言っちゃうところもいい。追い掛けっ子は青春っぽくていい。
それで、なんやかんやで映画を撮り始めて……ってところが面白かったな。
それで、あっさり凛太郎がタイムトラベラーだって分かるんだけど、ここから先は、あるある展開で進んでいくから、そんなに興奮して観る感じではなくなったかな。
主演の女子高生三人が良かったな。特に伊藤万理華。表情の変化がすごい。なんでアイドルグループにいたんだろうという。
ビート板の河合優実は「門脇麦?」という感じもあるんだけど、オタク感が良かった。
ブルーハワイ役の祷キララはいいね。演技はできない感じがしたけど、存在感あって良かった。
脚本がロロ主宰の人だからか、自然な感じの台詞が良かったな。その中にベタなキメ台詞も入れてきて。今は戯曲の人が書く脚本がいいかもね。
シーン展開は強引というか、心情変化のところをきれいなシーンで押し切ってるんだよね。そこもまたこの作品としては良かった。
けっこうボーッと観る感じの映画で「MOOSIC LABっぽいな」と思ったら企画協力に直井さん入ってた。これ系の映画は面白いから、これからも観ると思うけど、ちょっと食傷気味のところもあるな。
時代劇×SF×青春なのに、まとまってる
タイトルとキャスト見ても、全然知らないなと思いつつ、映画のレビューは高めだったので鑑賞
時代劇×青春×SF(未来人)っていう、まとまらなそうな雰囲気もあるのに、上手いこといってるなぁと。
若手のキャストは、ほぼ初めて見るけど、それがいいのかなと。
主人公達は、ボーイシュでオタク系
隣に、更にオタクっぽいメガネ女子とスポーツウーマン
男の方は、野球部の補欠の二人組にヤンキーと、無駄にテンションの高いマッチョ
無理やり仲間にされても、嫌と言わず協力するのが青春っぽい(笑)
女の子3人組の恋愛模様もあるし、
相手がモデル系だから、分かりやすい青春ものの対立なんだけど、
悪い人は出てこないのがいいね
未来から来るタイムパラドックスにそれほど驚きもないのが今時だし(笑)
演劇は苦手なんだけど、映画部の作品だから見れるのか、素人っぽさがそうさせるのか。
こういうのが青春なんだなぁって。
タイトルからして、確かにもっと真夏の昼間に見たかった(笑)
撮影がスマホで、パソコンで編集が当たり前なんだなぁと😁
勝新太郎とか三船敏郎は知ってるけど、映画までは詳しく知らないから、その知識あれば序盤からもっと面白く見れるのかなと
前評判に惹かれて見ました!
主演が元48グループの何とかさんらしいのですが、全くの初見でした。
時代劇オタクの役柄通りのルックス(失礼!)で、違和感は無かったです♪
最初見た時はコメディアンの吉住さんかと思いましたが…
ラストの撮り直しシーン含めて映画として完成させて、監督のデビュー作として…いや、でもなぜデビュー作は削除されたんでしょうか?
タイムトラベラーの青年と出逢ってなかったから?
そうすると、青年のその後も気になりますし、そもそもヒロインがどのように有名監督になったのかも気になりますね!
エンドロール後もエピローグがまだあるもんだとちょっと待ってしまいました
整合性を放棄することで生じる美しさ。こんなもの、大好きってしかいえねーじゃん。
時代劇を愛する女子高生ハダシの、映画制作に燃える一夏の経験を描いたSF青春映画。
主人公のハダシを演じるのは、『あさひなぐ』『映画 賭ケグルイ』の伊藤万理華。
ハダシと同じく、時代劇を愛する青年・凛太郎を演じるのは『ナラタージュ』や『おっさんずラブ』シリーズの金子大地。
ハダシの親友・ビート板を演じるのは『喜劇 愛妻物語』『佐々木、イン、マイマイン』の河合優実。
みんな大好きサマーフィルム。
自分の世代の青春映画といえば『ジュブナイル』『ウォーターボーイズ』『ピンポン』などなど。
親に連れて行ってもらった映画館で、なんとなく観たテレビのロードショーで、少年時代に出会ったサマーフィルムの体験は、まるでプールの水光のような特別な輝きを放っており、今でも宝物となって胸の奥に眠っている。
今考えれば「コレはどうなの?」と首を傾げたくなる作品もあることにはあるのだが、夏の青春映画にはそういう細かいことを無視して楽しめる魔力のようなものが備わっていると思う。
前述した『ウォーターボーイズ』を含め、『うる星やつら2』『リンダリンダリンダ』、近年のコミック&アニメでは『映像研には手を出すな!』など、青春×文化祭というジャンルはより一層エモい。エモエモのエモ。
ロングショットでみれば取るに足らないイベントだが、クローズアップしてみれば最高級の煌めきを放っているのが文化祭。
文化祭準備という起点と、出し物の遂行という終点がはっきりしているという点において、映画などの物語との相性が良いのかな、という気もする。
『座頭市』をはじめとする時代劇への言及や殺陣のモノマネ、「時をかける少女」「夏への扉」と言ったタイムスリップ系SFへの目配せなど、この映画は過去の物語群をサンプリングすることによって成り立っているものだということが、冒頭15分程度で暗示される。
主人公ハダシのルックは、髪型顔立ち服装を含めて『時かけ』の原田知世を意識しているし、タイムマシンを開発した凛太郎の同級生の名前は『BTTF』と同じドク。
細かいところでは、ハダシのライバルである花鈴のセリフ「眼中になかったよ。」
女子高生が「眼中にない」なんて言葉使うか〜?と思われるだろうが、これは『ピンポン』に出てきた主人公ペコのライバル、アクマの発言からの引用なんだろう。
膨大な過去の名作をモチーフにして新しい作品を作り上げ、それを未来へと繋いでゆく。
このサンプリングにより作品を構成させるという手法が、本作のキモである「映画=タイムマシン」であるということを体現している。
過去/現在/未来をつなぐものが映画であるという主張を、作品の構造で語るというのはなんとも粋で巧みじゃないですか。
これだけでこの作品、合格〜!💮
「映画=タイムマシン」/「時代劇=ラブ・ストーリー」。
本作はこのような仮説を組み立て、それを証明するような内容の映画となっている。
本作を見事だと思ったのは、この仮説が斬新だったからではない。
この仮説自体は他の作品でも散見されるものである。例えば「時代劇=ラヴ・ストーリー」という考察は、井上雄彦の漫画「バガボンド」で描かれた佐々木小次郎vs猪谷巨雲でのモノローグ「俺たちは 抱き締めるかわりに斬るんだな」を思い起こさせる。
時代劇だけでなく、男vs男の決闘は押し並べて恋愛の匂いが漂う。
ちょうど今『グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ』というドラマもやってるしね。
ロッキーとアポロなんて、あれはもうほとんどSEXだしね。2人の間にはアドニスという息子も生まれているしね。
話を本筋に戻します💦
本作が優れているのは、これをみた観客が「なるほど!たしかに!」と膝を打ってしまうほど、この証明が見事に成し遂げられているため。
「時代劇=ラヴ・ストーリー」ということを説得力を持って伝えるだけでも難しいのに、そこに「映画=タイムマシン」という仮説の証明を同時に行なってしまう。しかも作品のランタイムはたった97分。
これはもう見事というしかない。単純に巧い!
賛否が分かれるであろうクライマックス。
自分はなんやかんやで2回も観てしまったのだが、1回目はこのラストに首をひねってしまった。
いやこれ最後演劇になっとるやないかい…😅
映画を途中で打ち切るなんて、わざわざ自分の時間を割いてまで観に来てくれている観客に対して失礼だろっ!
大体、映画部のヤツらアドリブ利きすぎだろうが!めちゃめちゃ訓練しているやつの動きじゃん!
とか思った。
しかし2回目で感想が変わった。
ハダシと花鈴の会話での「美しくなくても想いを伝えた方が良い」というやり取りが、作品のカタストロフ的クライマックスの布石になっていたことに気付いたから。
ここでいう美しさとは「整合性が取れている」ということ。
整合性の放棄こそが真に美しいものを生み出すかもね…、という「リンダリンダ」的ドブネズミ美学を最後に持ってくるという大胆さこそがこの作品の魅力であると気付きました!
このエンディングでは作品全体のバランスが崩れてしまう、ということは承知の上でのトライだったのでしょう。
ただただ奇策を打って出るのではなく、ちゃんと前フリをしているという周到さに非常に好感が持てるし、それが上手く作用している。このエンディングはアリ!
このエンディングで、映画部の面々が刀の代わりに持っているのがホウキやモップであるというのもポイント。
我が心の師、甲本ヒロトの言葉「ホウキでもいいんだ ギター持ってなくてさ ロックンロールに憧れて教室の隅っこでワァーってなる すっげぇ楽しいんだ そこがゴールです そっからどこにも行かないよ」をトレースするかのような、この初期衝動の爆発!💥
最後の最後にチャンバラごっこを持ってきて、「時代劇はホウキとモップでのチャンバラがスタートにしてゴール」という、歳をとるにつれて忘れていた感情を思い起こさせてくれる。
このクライマックスには、チャンバラに対する愛情が詰まってる、それが熱いのだ!❤️🔥
あと細かいところで良かったと思うのは海のシーン🏖
青春映画で、こんなに天気の悪くて寒そうな海辺のシーンは中々お目にかかれない!
日本海かっ!ってぐらい暗い暗いロケーションだったもん。
ハダシが打ちひしがれているシーンだから、ここは暗い海で正解🙆♂️
最終日での撮影シーンだけは明るい海でも良いんじゃ?とも思ったけど、結局ここでもまだハダシの逡巡は終わっていないんだから、やっぱり暗い海で正解なんだろう。…単純に海のシーンを一日で纏めて撮影したからという可能性もあるけど。
なんか小難しいことをグダグダ書いてしまったけど、単純に主要キャストが最高だった!
特にハダシを演じた伊藤万理華さん。元乃木坂の人なんですねー。全然元アイドルに見えない💦
伊藤万理華さんの演技がバツグンに良かった!このキャスティングをした時点で優勝決定🏆
今後もっと活躍の場が広がっていく女優さんな気がする。こんなにエアマックスとバックパックが似合う女性なかなかいないっす!
脇役ではダディボーイを演じた板橋駿谷が最高っ!
これはもう日本アカデミー賞の助演男優賞は決まりでしょう笑
実年齢37歳なのにちゃんと高校生に見える!凄い!
この役者さんも、もっともっと売れて欲しいなぁ。
青春映画の細かいアラに突っ込むのもヤボだとは思うんだけど、全体的に完成度が高い映画なだけに、ちょっとした残念ポイントが余計に目立ってしまう。
冒頭、ハダシと凛太郎が橋から川に飛びこむシーン。この水深がいくらなんでも浅すぎる。これじゃ死にますよ💀
引っ越し業者でバイトするシーン。段ボールから重量が感じられず、なんかこれ中身が詰まっていないんじゃないの?とか思ってしまった。ここはもう少しリアルな引っ越し荷物感が欲しい。
あと最後の上映会のシーン。いくらなんでも観客少なすぎるだろ(まぁこれはリアルといえばリアルだけど)。
低予算映画ゆえの、モブシーンの苦しさか。
タイムトラベルの説明が凄く雑で薄いことも気になったが、どんな映画でもタイムトラベルの説明って大なり小なり違和感があるものなので、ここはむしろ好感が持てた。
むしろ一切の説明を省き、俺はタイムトラベラーだ!ドンッ!くらいの開き直りでもよかったかも。
それよりもビート板があまりにも早く凛太郎の正体に気付いていたこと、そしてそれを受け入れていたことが気になる。
ちょっと言動がおかしいヤツに対して、あんた未来から来たでしょ、なんて思うかフツー?
ビート板の描写はもしかしたら結構脚本から削られたのかな、なんて思ったりもする。
本来はもっとビート板とドクの交流とかを描く予定だったんじゃないかな?ドクが最後現代にやってきたのはその名残だったりして。
物語上で一番飲み込み辛かったのは、未来には映画を作る奴も観る奴も居なくなっているということを知り、ハダシが打ちひしがれるところ。
凛太郎が何年先の未来から来たのかはわからないが、クレープもマシュマロも知らないという事から考えると、かなり未来から来たのだろう。
もしかしたら、そういう甘味類が容易に手に入りにくい、ディストピア的な荒廃した世界になっているのかも。
そんな先の時代なんだから、そりゃ現代とは娯楽の形は変わってるだろう。それが当たり前。
これをハダシが未来に対して絶望するという展開に繋げるのはちょっと無理があるでしょう。
ハダシと凛太郎の関係性が変わるという展開を描きたいが為に、無理矢理問題を提起したような感じがするのでここには結構違和感を覚えたなぁ。
キャストはかなり良いと思う。だからこそ音響担当の2人のキャラ薄すぎ問題が目に付く。
こんなに薄いキャラクターなら別に2人も要らんのでは?
ハダシチームのキャラの濃さには明らかに差がある。そりゃ全員ダディボーイ級のパンチ力があった方が良い、とまでは言わないが、この2人に関してはもうちょっと華のある役者と性格を用意してあげるべきだったと思う。
気になるところも勿論あるが、そもそもがかなり無理な設定に挑戦している作品なのだから、ある程度は仕方ない。
そこを差し引いても、日本映画史に新たな青春映画の名作が刻みこまれたのは間違いないと思う。
気怠げなイけてない高校生。一夏のボーイミーツガール。爆発する初期衝動。仲間との絆。成長する少年少女たち。好きなものは好きなのだと、声高に主張する傍若無人さ。
青春映画に求める全てがここにはある!
さぁサマーフィルムにのって、タイムトラベルに出掛けよう♪
陰キャな私にも優しい青春映画。
「お耳に合いましたら。」で知った伊藤さんが主演で、尚且つなかなか評判が良いとの事で夫に誘われて観てきました。
予備知識は主演が伊藤さんで、プレスクの甲田まひるも出てるらしい…高校生が映画を自主制作する青春モノ。
…だけ。
キラキラ✨青春モノは陰キャには荷が重いぜ…と思っていたけど、はだしちゃんもこっち側の人でしたか!やっほうww
あらすじすら読まずに観はじめた所為で途中、え?凛太郎…未来人…そっち方面なの?と思ったものの、
いつも細かい設定の辻褄が気になってしまって現代物は躓きがちな理屈っぽい私(NOT御都合主義!)でも
「いや、でも未来人出て来る話だから!ww」って事で色々丸く収まりました??ww
(ちゃんと制作費をバイトで稼いでたの偉い。)
紆余曲折しつつ、結局は恋愛モノなの?えー、ガッカリ〜😮💨となりそうな所を、高校生とは思えない見事な殺陣で熱い青春モノに昇華してくれたので(恋愛モノ苦手な私にとっては)ニッコリ😌な良いBoy Meets Girl映画でした✨有難う♪
ビート版ちゃんは、ちょっと石原さとみっぽくて将来が楽しみ…。
現役の高校生なら楽しめるの?
監督の女子高生が学園祭用映画の主役に抜擢した男の子が好きでした、ただそれだけの話。そんなのわかっとるわい!
別にその映画が時代劇である必要も、主役が未来から来た男である必要も、恋愛路線の映画を作る美人のライバルがいる必要もない。
また、未来が、タイムマシンを自由に使える高度な文明にありながら、食事の楽しみもなく映画もないというかなり暗く重い設定なのに、未来人はあっけらかんとして明るいのが、かなり不気味というか違和感があった。どのくらいのスパンで先の未来なのかわからないが、昭和の名画がほとんどないのに令和に作られた主人公の映画は残っているという設定も謎過ぎる。未来で巨匠だからか?
主人公は学園祭で上映中の自主映画をラスト前で止めてしまい、このラストを撮り直すとか言って、みんなの前で未来人に告白しながらチャンバラするが、私が観に来ていた学生なら呆れて帰るよ?
というか、自分がとっくにいない遥か遠い未来に映画という文化がないということにショックを受けるより、自分が将来映画監督の巨匠になるという事実のほうが余程重くないの?知ってしまったプレッシャーやジレンマが一生ついてまわり、未来への過信から傲慢になったり懐疑的になったりと常に悩み苦しむ将来となるのは、高校生なら容易に想像つくはずでしょう?
とはいえ、かなり強引な性格の主人公なので、巨匠になるのは既定路線だから気にもならないってところなのかもしれない。そんなことより未来に帰っちゃう彼に告白をするのが、今一番大切ってことなのかな。現役高校生なら共感できるんだろうか?
ということで、私は主人公に全く共感できなかったし、物語自体も浅いと思った。
結局、大好きってしかいえねーじゃん!
アマチュア映画も今ではスマホで撮影するのかと感心しつつも、概ね面白く観ることができた。
最も賛否が分かれるラストの展開については、いくら時代劇オタクであろうが、何だかんだ言ってもイマドキの女子高校生なので、何よりも好きになったこの気持ちを真正面から相手にぶつけたい、という大オチに対しどう表現するかということかと思うが、あそこまで強引にドラマティック仕立てにする必要があったのかは疑問が残るところだ。
個人的には悩んだ末にやっと書けた脚本なのでまずは最後まで上映した方が効果としてはあったのではないかと思っている。
金子大地は鬱屈し内に籠るような繊細な役を演じさせれば一級だが、本作の凛太郎のように簡単に自分の重大な秘密を明かし、未来では映画が無くなっているなどとあっけらかんと口走るような鈍感で明るい役柄も案外上手だということがわかった。
両脇を固めたビート板とブルーハワイ役の子達はそれぞれ凛太郎と恋愛ドラマが好きであるという事を表に出せず、葛藤しつつも自分たちなりに対処していく様を誠実に演じ、ザ・女子高生という雰囲気をしっかりと出していた。
さて主演の伊藤万理華だが、演技がそれほど上手ではなく、いくら時代劇オタクとは言え高校生らしい溌剌とした感じも受けられなかったことが大変残念に思った。
他の鑑賞者同様私自身も昔高校生だった訳だが、この映画を見て今の自分と照らし合わせ、若く元気で無知で無鉄砲だったあの頃を懐かしむと言った青春映画の醍醐味をこの主人公ではどうしても味わうことができなかった。
猫背で若いのか年寄りなのかわからないビジュアルがどうしてもこの大事な感情を持つ事に対し邪魔をしてしまった。
先に鑑賞した「子供はわかってあげない」で同じ高校生役を演じた上白石萌歌さんのみずみずしいく等身大の演技を観た後であったこともそんな評価に影響したのかもしれない。
主役以外もとても高校生には見えにくい役者さんを多く当てている事も面白みを半減させた要因だと思う。
特に板橋駿谷(良い役者さんなのはわかってます)に至っては調べたら37才であった。
どうせ無名の役者さんを多く起用するならもう少しやり方があったのではなかろうかと思った。
あらら
最後の殺陣は体がよく動いていたし、殺陣はラブシーンという理論も賛成でそこは良かったけど。
でも最後の最後で上映を止めるのはダメだよ。
ものを作る人間として絶対にやっちゃダメ。
上映中「え?」「あれ?」と不自然なところが続いていたけど、応援する気持ちが完全に離れちゃった。
プロットは良かったんだけど、ノイズが多過ぎる感じ。!)
映画部が出てくる映画なら、吉田大八監督の「桐島、部活やめるってよ」を熱く推します。
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