「裁かれる判事」シカゴ7裁判 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
裁かれる判事
冒頭、ベトナム戦争の徴兵候補をくじで誕生日別に決めていた映像で呆気にとられた。学校で教科書を朗読する生徒を選ぶんじゃないんだから。
裁判シーンを先行した上で、当日何があったか小出しに見せていく手法はうまいと思った。半世紀以上前の事件なので、他国の我々はもちろん、当のアメリカ人でさえ子細に把握している人はどのくらいいるのだろうか。彼らがどんな事実経過に基づいて起訴されているのか、それ自体が物語を牽引する(しかしこの映画の内容を苦々しく思っているアメリカ人は今も相当数いそうだ)。
昨今でもベトナム戦争当時のアメリカの汚点を告発する映画がぽつぽつ作られている。片やデモに対する苛烈な弾圧や検挙は、今まさに香港やミャンマーで起こっている現実である。彼の国で何年後、何十年後かに映画のテーマとして採り上げられる日が来るのだろうか。
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