劇場公開日 2020年10月9日

「ゆるぎなきものひとつ抱きしめたいよ」シカゴ7裁判 わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ゆるぎなきものひとつ抱きしめたいよ

2020年11月3日
PCから投稿

 アカデミー賞にも絡んでくるのではないかと名高い作品。「ソーシャルネットワーク」も大好きなので喜んでNetflixで観ました。最高でしたね。

 本作が特に優れていると思ったのは、体制側だけでなく反体制側についても良い面と悪い面の両方を見せたり、優勢劣勢を行ったり来たりすることで、史実をもとにしているとは思えないスリリングで予測以上の物語性を帯びているということです。判事がかなりデフォルメした権力行使を見せるので、感情移入は自然と反体制側に行きつつも、「このやり方は果たして良かったのか?」と随所に思わさせられます。いわゆる『能動的に作品を見ることができる』条件を満たしています。そりゃあ面白いに決まってます。

 洋画には特に疎いので、豪華キャストなのかどうかは正直わかりませんが、一人ひとりの役者がイキイキと演技をしている。特に、理論・戦争に対する考え方はありつつも、それにどうしても感情が追い越してしまって急いた行動をとってしまう様を、セリフではもちろん、演技で表現しているのがとてもいい。 でも、最終的にはゆるぎなき信念一つで突っ走るのも良い。その信念がちゃんと伝播していくさまもいい。最高でした。

 エンディングの着地のさせ方と、それに重ねるテロップも素晴らしい。本当に素敵な作品でした。

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わたろー