「幕末から明治を駆け抜け日本の経済の礎を築いた五代友厚を、三浦春馬が体現し、彼の素晴らしい演技が見える。」天外者(てんがらもん) Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
幕末から明治を駆け抜け日本の経済の礎を築いた五代友厚を、三浦春馬が体現し、彼の素晴らしい演技が見える。
田中光敏 監督による2020年製作(109分/G)の日本映画。
配給:ギグリーボックス、劇場公開日:2020年12月11日。
五代友厚という存在は、NHKの大河ドラマで初めて知った。ただ、彼の生涯は殆ど知らず、興味深く見させてもらった。そして、五代を演じた三浦春馬が、自信家であることや剣捌きも含めて何ともサマになっており、彼の出演映画の中でもベストに思え、亡くなってしまったことが本当に惜しいと思わされた。
若き五代が愛した友情はるを演じた森川葵の演技もとても良かった。撮影の良さなのか、何より美しかった。脚本小松江里子による「遊女が字を覚えて何が悪い? 本が読みたいんだよ。世の中のこと知りたいんだよ。夢くらい…夢くらい、見たっていいだろ!」も、青臭くも心に響いた。
五代は長崎で坂本竜馬(三浦翔平)と一緒に刺客から逃げてた仲なので、海援隊絡み等で、もう少し絡むエピソードが欲しかったとは思った。一方、酒に溺れ落ち込んでいた岩崎弥太郎(西川貴教)に海運事業のヒントを与えるエピソードは良かった。
ラスト五代友厚(三浦春馬)の葬儀で、誰も来ないねから始まり物凄く大勢の大阪人たちが参列したことを夜景で示す描写は、上手くて、感動もさせられた。何より事実であったらしいし、その後の三浦春馬自身の出来事も重なって見えてしまった。合掌。
監督田中光敏、脚本小松江里子、製作総指揮廣田稔、撮影山本浩太郎、照明香川一郎、録音松本昇和、美術原田哲男、編集川島章正、音楽大谷幸、題字紫舟。
出演
五代友厚三浦春馬、坂本龍馬三浦翔平、岩崎弥太郎西川貴教、伊藤博文森永悠希、はる森川葵、大久保利通迫田孝也、宅間孝行、島津久光徳重聡、島津斉彬榎木孝明、五代やす筒井真理子、五代徳夫内田朝陽、きく八木優希、トーマス・グラバーロバート・アンダーソン、料亭女将かたせ梨乃、五代豊子蓮佛美沙子、五代徳夫生瀬勝久、徳川六角慎司、勝海舟丸山智己、舟木田上晃吉。