「もう独りにはなりたくない」この世界に残されて MARさんの映画レビュー(感想・評価)
もう独りにはなりたくない
第二次世界大戦後のハンガリーにて、ホロコーストを生き残った16歳の少女と、40歳過ぎの婦人科医の二人が、それぞれに傷を抱え寄り添う物語。
上映時間は80分強。状況説明等あまり多くは語られず、心に影がある二人の交流が初っ端から描かれていく。
あなたは噓つきか嘘つきでないかといった公務員試験問題みたいなやり取りの後、抱える孤独感を素直に表すクララ。言葉数は少なく、感情が読み取りにくいアルドだが、クララを終始優しく包み込んでいる。
亡くなった父親の姿をアルドに重ねるクララ。
パーティーからの帰りが遅くなるクララを心配するアルドはだんだんと本当の父親のように。
しかし、二人を襲うピンチに、ソファーに戻したのはやはり何かを察したからなのか。
後半、クララの流した涙は、また独りになると思ったからか。或いは…!?
最後のアルドとクララの会話…最初と同じやり取りにこちらも心が揺さぶられる。
その他、「そこらじゅうにいるから」のワードが印象に残った。
この2人の関係は勿論、孤児院に通い里親を見つける手伝いをするアルドにとっては、確かにそうなのかもしれませんね。
それと、どうでも良いけど「校長先生はデブじゃない」には少し笑ってしまった。デブって・・・
アルドのセリフなんだからもうちょい訳しようがあったでしょう。
比較的短い上映時間の中で、孤独や人を想う大切さや難しさ、社会主義に対する苦悩が良く描かれていた作品だった。
MARさん
コメントへの返信有難うございます。
アビゲール・セーケ、上品さと艶やかさを兼ね備えた魅力的な女優さんですよね。( 私は女性ですが 😅 )
両親への手紙を引き出しに仕舞うシーンに、心を締め付けられました。
情感豊かな海外の作品、いいですよね。
MARさん
家族を皆失い独りになってしまう、想像しただけでも辛く怖ろしいですよね。
個人的には、背景よりも、思春期の少女の揺れ動く心情、その瑞々しい可憐な姿が印象に残る作品でした。