劇場公開日 2021年7月9日

「高評価がファンのサクラだと思うならそれなりの量見て判断して。」ハニーレモンソーダ 宇多さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0高評価がファンのサクラだと思うならそれなりの量見て判断して。

2021年7月14日
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幸せ

良い脚本家さん、監督と俳優陣の方々、音楽監督と照明さんが出会えた奇跡。という印象です。

糞クオリティだわ!最悪、時間と金の無駄だった!
となる人もいれば
私のようにこの映画に出会えてよかった...!と心から思う人もいます。
高評価がどれもキャストファンの贔屓目、ではない
ことはご理解頂きたい。

吉川愛 さんの演技が良すぎる
‘Oh he sees me….’
あのシーンの演技は鳥肌ものだった。
堀田真由 さんの演技も、
あのシーンが見たくて映画二度観た。
(上記の吉川愛さんのシーン見たさに
実際は三回目まで観た。地上波放送待てなかった。)

深澤恵梨香 さんの音楽が...最高...
“私は飛べる”

個人的にこの映画
神徳監督の実写作品の中で一番良い。
ラウール くん演技、良かった。
ほんとうに。
誠に失礼ながら正直演技力は悲惨だろうと無意識のうちに見くびってしまっていたが、
その先入観がなくともあの演技力には胸打たれたと思う。終盤の演技は周りを固める実力者俳優達に引けを取らない圧巻なもので、主演を名乗るのも...その資格あるなと思わされた。

駆け足でおいてけぼり感はあったけど、
全編通した演技力の高さ
映画の美しさ
は評価するべきでしょう。

おいてかれたとしても、
全てのセリフに説得力があって
登場人物達の本心だった。
歯の浮くような漫画らしいセリフに
あそこまで心のこもった説得力を与えられる
俳優陣の演技。
実写ものの恋愛映画で
ちゃんと心まで言葉が届いたのは初めて。
いかにも漫画な台詞と展開なのに
俳優陣によって込められた感情と心の動きが
どこまでも熱くリアルで重みがあり、

未だ見たことのないバランスの作品になっており
非常に不思議な感覚だった。

キャラをイケメンに演出してやろう、
切なくして泣かしてやろう、
うわついたキュン仕草で観客を喜ばせよう、
そういう恋愛青春映画にありがちな
陳腐な意図が一切無くて

とても価値ある映画だった。

原作ストーリーを上手くまとめてよく仕上げられていたと思う。
近年稀に見る良い再構築だったと思う。
界の心情の描写がもっと欲しかった、
とは思うが取捨選択が素晴らしかったと思う
映画として、人間ドラマとして
とてもよく仕上がっていた。
完全再現を望む人や
前半の展開に感情移入しきれなかった人
ベタっぽくきゅんきゅんしたかった人は
この映画を悪くいうかもしれない。
意見は色々だから。

でも少なくとも自分は好き。
いま会いにゆきますの次ぐらいに好き。
繰り返し観たいと思った。

最悪、時間と金の無駄だった!となる人もいますし
これがお気に入りの映画との最高の出会いになる人もいます。

どちらに転んでもいいやと思うなら、試しに観てみては。

宇多
宇多さんのコメント
2021年7月14日

ラウール くん、「ベニスに死す」のビョルンアンドレセン演じるタッツィオ以来では?というくらい圧巻の神秘的な美しさと人外な佇まいだった。台詞回しが特別自然な訳ではないが、表情の演技がなんとも胸を掴み、またこの作品を形作るうえで切り離せない存在感を放っていた。彼なしには「このハニーレモンソーダ」はあり得なかっただろうという感じがする。

宇多