「ちょっと駆け足すぎた」ハニーレモンソーダ みみっこ69さんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっと駆け足すぎた
※原作は未読ですが、予習程度になんとなくのあらすじ等は把握しています。
製作陣的には付き合うまでの過程だけでなくその後の二人のすれ違いまでを描きたくて二部構成のようにしたようだけれど、短い映画にそこまでを詰め込むとなるとやはりかなりの駆け足感が否めなかった。映画全体がダイジェストのように感じられて、それなら王道に付き合うまでをゴールにしてその過程をもう少し丁寧に描く方が良かったのでは?と。原作を読んでいないと置いてけぼり感を覚える。
そのせいで後半の界の葛藤も蛇足のように感じてしまって勿体なく思えた。家庭に問題があってバーテンのバイトをしているというだけであんなに守ってあげていた羽花を突然拒否し始め、かと思ったら今度は急にやっぱり愛してるとなる界の心の内がイマイチよく分からず感情移入が出来なかった。
演者に関しては主演のラウールくんの演技をかなり心配していましたが、俳優さんではなく過去に拝見した他のジャニーズの方の新人時代の演技力と比べるとまずまずかなぁと。撮影日によって顔のコンディションに差があるように見えましたが、彼は平野紫耀くんのように顔がイケメンというよりもオーラや佇まいがカッコいいタイプだと思うので、掴みどころが無く浮世離れした三浦界という役には合っていたんじゃないですかね。
そして何より序盤の吉川愛ちゃんの演技がとても良かったです。大粒の涙を流して界に助けを求めるシーンではあまりの可愛さにときめいてしまいました(笑)付き合い始めてからの少し浮かれた感じも等身大な女子高生らしくて可愛らしかったですね。
いい意味で見た目に普通の女の子っぽさがある吉川愛ちゃんのお陰で、派手なラウールくん(しかもぶっ飛んだ台詞を連発している)と組んでもリアリティがなさ過ぎる感じにはならなかったのかなぁと思いました。
全体的に映像がとても綺麗で、キスシーンも素敵でしたね。特に二度目のキスシーンが表情やアングルも込みで個人的には一番好きでした。製作陣がとにかく演者を可愛くかっこよく綺麗に撮ろうとしているのが伝わります。
構成にもストーリーにも演技にも突っ込みどころはありますが、見終わってみるとまさに「しゅわきゅん」という言葉がぴったりの可愛らしい爽やかな青春恋愛映画でした。