「さわやかな風のような青春映画」ハニーレモンソーダ ちるさんの映画レビュー(感想・評価)
さわやかな風のような青春映画
非常に今どきらしい青春映画でした。
原作はとても人気のある少女漫画ですが、少女漫画にありがちな現実離れした展開はなく、(あれだけのルックスとカリスマ性を備えたスーパーイケメンが実在するかというのがそもそも現実感はないけど、それはそれ)本当にどこかにこんな町があり、彼らが学生生活を楽しんでいるんじゃないかと思わせる世界観が魅力です。映画ではその世界観を十分に表現されており実写になったことでより身近に彼らを感じることが出来ました。主人公の三浦界を演じるラウールさんの演技もキャラクターによく合っていたと思います。あの抜群のスタイルだけで、すぐ人目を引いてしまうし、存在だけでかっこいい人物だからこそ飾りすぎない、作りすぎない演技が好ましく思いました。
ヒロインの羽花はいじめられていた過去があり、そのために卑屈さはありますが心の奥では前向きで、界との出会いをきっかけに世界が広がり、周囲の力を借りてどんどん魅力的な女の子になっていきます。吉川愛さんの演技も前半と後半では別人のように表現されており、羽花の成長もこの作品の大きな見どころで、とても好感が持てる女の子でした。
今どきらしいと思うのが、この作品には嫌な気持ちにさせられる人物がいないこと。堀田真由さん演じる界の元カノの芹奈も、立場的に悪役になってもおかしくないのに、羽花を応援してくれる存在。彼女の他にも、あゆみや悟、友哉といった友人達もただ脇役という訳でなくひとりひとりキャラが立っていて、みんながいい子ばかり。みんながやさしい世界だからこそ、何も気負わずに世界観にのめり込めて、キラキラとした青春を楽しむことができると思いました。
学生ならばこんな青春に憧れ、大人は過ぎ去った過去を懐かしみ、楽しかった日々に浸れる、どんな世代でも楽しめる爽やかな風のような作品でした。