由宇子の天秤のレビュー・感想・評価
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笑えないFargo
Fargoはかなり極端な性格や境遇な人がたまたま運悪く集まってしまい、どんどん悲惨な事が起こります。事件はかなり残酷ではありますが、登場人物はそれぞれ自分の家族や行動原理を結構真剣に守るので、それが滑稽に写り、笑っちゃいけないのに笑えます。
本作は極端な人が集まっていないので、リアリティが保たれており、その分極端な事件は基本起こりません。ちょうど中学生日記みたいです。しかし、それでも全く世の中うまくいかず悪い方向に進んで気、休まる暇がありません。
『ようこそ映画音響の世界へ』で映画における音の重要性を学びましたが、本作は劇伴が全くなく環境音のみです。悲しむべき時に音楽でそれを示してくれないので、どう感じるかは見る側に完全に任されています。このため、始終居心地が悪い状態に置かれ、登場人物それそれの生活について心配してしまいます。それが作り手の狙いであれば大成功ですが、作品の重要性を理解しても2時間半この状態に置かれるので見る人を選びます。この作品が配信されても自宅のテレビで集中して見ることは困難でしょう。劇場で鑑賞する意義は十分ありますが高い評価をつけるのもどうかしらとも考えました。
気になったこと、自動車が練馬ナンバーで駅の商店街は私鉄の規模ですが、団地や病院は関東平野の郊外の雰囲気で、事件現場とのバランスが悪い気がしました。『スペシャルアクターズ』の優しい弟君が、高校生に化けています。
天秤の如く揺れ動く正義のあり方
社会派?では無くダークエンタメ
多面的な正義感
春本監督は云います。
「人間を描くことこそが、社会をあぶりだすんだ」と。
まさにこの映画は、現代日本の在り方を描いた映画でした。
事無かれ主義に同調圧力で問題をうやむやにし、誰も責任を取らず、何もなかったかのように本質をすり替え、やり過ごす。
警察官僚がレイプしたお友達ジャーナリストの逮捕状を取り下げたり、財務省の決算文書改ざんを苦に自殺した赤木さんしかり、当の本人は、真っ当な成敗を受けることなく、歪んだ正義の代償が陰惨な形でそこら中で溢れ出ているように思います。
まさにこれらは、氷山の一角であり、ただただ表に出ていないだけで、うまくやりすごされた例は五万とあるように思います。
だが、もし自分がその当事者になったらどうするのか。
右の正義か、はたまた左の正義か。
真実に蓋をすることは出来ません。
この映画は、最後カメラを視聴者に向け問いかけます。
あなたならどうしますか? と。
私ならどうする❗️
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