由宇子の天秤のレビュー・感想・評価
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瀧内やるじゃん
嘘と真実は、けっしてきれいに分けられない。
ましてや両者を天秤にかけることなどできやしない。
嘘と真実の間を適当に泳いでいる方が楽だもの。
得るものもないけれど失うものもない。
由宇子もそういうふうに考えていた。
他のみんなと同じように、失うものが大きいと。
「嘘も方便」とはよくできた言葉だ。
物事を円滑に進めるには多少の嘘も許される。
多少の嘘の基準がないから、人それぞれ物差しが違う。
いかようにも嘘と真実の距離は調整できちゃう。
嘘と真実の間を問うことは苦行でしかないのか。
由宇子の仕事と私生活の間に、おとしまえをつけられない両者が浮遊している。
両者の均衡を望んでいたはずの由宇子がおとしまえをつける瞬間。
その瞬間を演じることができるのは瀧内公美しかいない。
そう思えたとき、瀧内やるじゃん、という言葉しか見つからなかった。
テレビのディレクターを務めながら父親が経営している学習塾の講師もや...
2本立て2本目。こちらも良作。 正義を振りかざすドキュメンタリー監...
非常に良く練られた映画
この映画のテーマは天秤であって表向きのテーマとは齟齬が生じる。映画は表面的に真実がテーマであるかのように装う。しかし世の中に真実などなく常に真実の髪を掴もうとするものはその掌からすり抜ける、それが真実の本性であるかに描かれる。その真実に迫ろうとする主人公に起こった現実を主人公の由宇子は真実を見極めようとするのではなく、常に自分にとって都合の良い事象の選択として事態をハンドリングする。しかしその選択肢は常に真実の側面を兼ね備えた事実に彩られてはおらず多くの虚偽や見誤った表面的な事象が混在している。その中での利害優先の選択の積み重ねは、その主体を多くの誤謬へと導くこととなる。iそのものがしんじつをついきゅうしていた者であればなお一層、その誤謬への到達は絶望を産み落とすこととなる。教訓めいた哲学的な内容を包含したテーマの作品であった。
いや傑作じゃない?
内容は至って単純で分かり易いのかと思いきや…⁈
もう一度見たかった
これは名作
正義とは?
正義とは何か?
自分ならどうするのか?
突きつけられたこの問いへの答えを観客は映画が終わってからもしばらく考え続ける、そんな作品。
ドキュメンタリー監督である由宇子は真実を追求する姿勢から上と衝突するものの、マスコミ社会で散々揉まれてきたであろうことが窺える強かさ、図太さも持ちあわせているけど、父親の経営する塾で生徒たちと触れ合う姿はとても優しい先生。
あえて音楽をつけない演出なのでまるで彼女のドキュメンタリーを見ているようでした、特に前半は。ある事件が発覚すると一気にこちらまで動揺してしまいましたが。
脚本も抑えた演出もこの題材にすごくマッチしていてストーリーにグイグイ引き込まれました。
息をひそめて生活するあの母親の姿も印象的でした。
正義を振りかざして悪と思われるモノを執拗に攻撃する無関係な人たちがこのネット社会には大量にいて怖いなぁと思いますが…由宇子もそれを怖れるあまりに。。
あえて多くを語らない作品だから、不完全燃焼に感じる部分もあるかもしれませんが、それも「あえて」でしょう。いろいろな取り方ができますね。
俳優さんは皆さん素晴らしく、特に瀧内久美さん、良かったなぁ。強さと弱さをナチュラルに演じてらっしゃった。光石研さんもとても難しい役でしたが流石!
宇宙子
真実の偽りと偽りの真実
作品情報が公開された時点で気になっていた作品。
世界各国で賞賛され、日本でも都内では満席が続き単館上映にも関わらず興行収入が1億を超えた本作。レビュー欄は賛否両論あるが、全体評価は★4.0と高評価をキープ。2週間前から上映館拡大で公開された劇場が早くも上映終了らしいので慌てて鑑賞。
評判通り、すごい映画でした。
ドキュメンタリー映画を作るドキュメンタリー風人間ドラマ映画。普通の映画ではない。かつて無い映画。これだけ賞を総ナメするのも理解出来る。
ドキュメンタリー監督として日々インタビューを行いながら、父の経営する塾で講師を務める由宇子(瀧内公美)。順風満帆な日々を送っていた由宇子だが、とある事件で全てが狂い始める。
本当に息がつけない152分間。
音楽が一切ない本作だが、それが空気をより一層重くし映画に深みを持たせている。濃厚で緻密な設計により、こんなに重いテーマなのにずっと面白いしあっという間。152分間を丁寧に無駄なく使っている。
瀧内公美の演技力が驚異的。
今年1番面白くなかった映画は瀧内が主演の「裏アカ」。一方で、今年1番面白かったドラマは瀧内も出演している「大豆田とわ子と三人の元夫」。どちらも、彼女の美しさと器用な演技に魅了されたが、本作は両作よりも遥かに魅力が詰まっている。衝撃の事実を知った時の表情がすごい。これが映画だと!?本当に起こった話じゃないの!?演技だとは思えない繊細さに驚き。由宇子を演じれるのは瀧内公美しかいません。
冒頭はかなり平凡な感じ。
映画としてどうなのか?と思う部分もあるし、描き不足な所もある。しかし、一気に引き込まれ離すことなく最後まで突き進む。面白くて仕方がない、続きが気になる、最後はどうなるんだろう。と次のシーンが見たくてしょうがないという感情に襲われる。ラスト2.30分は衝撃的で破壊的で驚異的。本当によく出来た映画だこと。
由宇子に迫り来る真実。彼女はその真実を偽るのか、それとも真実だと確証がないが口にするのか。次から次へと彼女の天秤に伸し掛る事実。嘘をつき続けることは辛いが、嘘を明らかにすることはもっと辛い道を歩むことになる。天秤はどちらに重みを感じるのだろうか。その重さは本当に正しいのか。タイトルと観客になげかける度合いが絶妙。1日経っても忘れられない、あの光景。
これがダメ!と指摘は出来ないが、なんだか勿体ない。もっともっともっと面白く撮れたと思う。しかしこれでも最高に面白い。何度も見たくなるという気持ちが理解出来ました。
公開から2ヶ月半以上だった本作。
かなりの映画館で上映が終了していますが、この機会に是非。あと半年経ち、レンタルができるようになったら私は周囲にこの映画とサマーフィルムにのってを強く強くオススメすることにします。え!?どっちも出てんの!?ビート板に見えないよ!
わたしだったらどうする?と延々と迫ってくる作品。
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