由宇子の天秤のレビュー・感想・評価
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いろんなテーマが詰まっていて、観ながらも観終わってからも深く考えさ...
いろんなテーマが詰まっていて、観ながらも観終わってからも深く考えされられる映画でした。瀧内さんが全編に渡って複雑な心境を素晴らしい演技で表現していました。
正義とは?
正義とは何か?
自分ならどうするのか?
突きつけられたこの問いへの答えを観客は映画が終わってからもしばらく考え続ける、そんな作品。
ドキュメンタリー監督である由宇子は真実を追求する姿勢から上と衝突するものの、マスコミ社会で散々揉まれてきたであろうことが窺える強かさ、図太さも持ちあわせているけど、父親の経営する塾で生徒たちと触れ合う姿はとても優しい先生。
あえて音楽をつけない演出なのでまるで彼女のドキュメンタリーを見ているようでした、特に前半は。ある事件が発覚すると一気にこちらまで動揺してしまいましたが。
脚本も抑えた演出もこの題材にすごくマッチしていてストーリーにグイグイ引き込まれました。
息をひそめて生活するあの母親の姿も印象的でした。
正義を振りかざして悪と思われるモノを執拗に攻撃する無関係な人たちがこのネット社会には大量にいて怖いなぁと思いますが…由宇子もそれを怖れるあまりに。。
あえて多くを語らない作品だから、不完全燃焼に感じる部分もあるかもしれませんが、それも「あえて」でしょう。いろいろな取り方ができますね。
俳優さんは皆さん素晴らしく、特に瀧内久美さん、良かったなぁ。強さと弱さをナチュラルに演じてらっしゃった。光石研さんもとても難しい役でしたが流石!
ラストシーンは納得できない
思わせぶりのタイトルと描き方なので何か深いテーマが有りそうにも感じるが、実のところは女子高生と教師の不適切な関係を取材していたドキュメンタリー監督が似たような境遇に陥ってしまうという設定の面白さを愉しむエンターテインメントなんだと思う。
ただ、それにしても理解できないのがラストで萌の父親が由宇子の首を絞めるシーンだ。いくらなんでも由宇子に殺意を抱く状況にはない。父親は短気なところはあるが根は良い人間として描かれている。それに由宇子はどうして萌のお腹の子の父親が自分の父だと言ったのだろうか。あの時点では確証はなかったはずだ。
さらに驚いたのが、由宇子がゾンビのように甦ったことだ。何を意図しているのだろうか。中途半端なドキュメンタリー監督は永遠に不滅だということだろうか。
恐らくそういうことではなく単に面白い設定と面白い展開ということなんだと思う。
最後に、由宇子役の瀧内公美の演技が堂々としすぎてカッコ良すぎる。もっと薄っぺらないい加減なところを持つ役どころではないだろうか。
宇宙子
低予算の秀作。
マスコミ関係の由宇子が主人公。
大事件サスペンスものではないのだが、それに類する緊張感を漂わせている。
静的(性的×)な作品としては優秀で、やや長いもののドライブ・マイ・カーほどではなく、臨場感もあるぶんこちらに軍配が上がる。
良い点
・由宇子のキャラ
・由宇子をはじめ、皆非常にナチュラル
・選挙演説
・エンドロール
悪い点
・間の取り方は悪くはないが、全体としてみると長い。もう少しめりはりがあると良い。
その他
・「天秤」は分かりやすいがどこか陳腐。
・由宇子と宇宙子を交互に見るとゲシュタルト崩壊を起こす。
モヤモヤのクサビは抜けない
これは映画館から出て、日常に戻っても忘れられない映画。
日々の新聞やネットの悲しい事件を読むたびに、由宇子やみんなが現れてくる。
真実の偽りと偽りの真実
作品情報が公開された時点で気になっていた作品。
世界各国で賞賛され、日本でも都内では満席が続き単館上映にも関わらず興行収入が1億を超えた本作。レビュー欄は賛否両論あるが、全体評価は★4.0と高評価をキープ。2週間前から上映館拡大で公開された劇場が早くも上映終了らしいので慌てて鑑賞。
評判通り、すごい映画でした。
ドキュメンタリー映画を作るドキュメンタリー風人間ドラマ映画。普通の映画ではない。かつて無い映画。これだけ賞を総ナメするのも理解出来る。
ドキュメンタリー監督として日々インタビューを行いながら、父の経営する塾で講師を務める由宇子(瀧内公美)。順風満帆な日々を送っていた由宇子だが、とある事件で全てが狂い始める。
本当に息がつけない152分間。
音楽が一切ない本作だが、それが空気をより一層重くし映画に深みを持たせている。濃厚で緻密な設計により、こんなに重いテーマなのにずっと面白いしあっという間。152分間を丁寧に無駄なく使っている。
瀧内公美の演技力が驚異的。
今年1番面白くなかった映画は瀧内が主演の「裏アカ」。一方で、今年1番面白かったドラマは瀧内も出演している「大豆田とわ子と三人の元夫」。どちらも、彼女の美しさと器用な演技に魅了されたが、本作は両作よりも遥かに魅力が詰まっている。衝撃の事実を知った時の表情がすごい。これが映画だと!?本当に起こった話じゃないの!?演技だとは思えない繊細さに驚き。由宇子を演じれるのは瀧内公美しかいません。
冒頭はかなり平凡な感じ。
映画としてどうなのか?と思う部分もあるし、描き不足な所もある。しかし、一気に引き込まれ離すことなく最後まで突き進む。面白くて仕方がない、続きが気になる、最後はどうなるんだろう。と次のシーンが見たくてしょうがないという感情に襲われる。ラスト2.30分は衝撃的で破壊的で驚異的。本当によく出来た映画だこと。
由宇子に迫り来る真実。彼女はその真実を偽るのか、それとも真実だと確証がないが口にするのか。次から次へと彼女の天秤に伸し掛る事実。嘘をつき続けることは辛いが、嘘を明らかにすることはもっと辛い道を歩むことになる。天秤はどちらに重みを感じるのだろうか。その重さは本当に正しいのか。タイトルと観客になげかける度合いが絶妙。1日経っても忘れられない、あの光景。
これがダメ!と指摘は出来ないが、なんだか勿体ない。もっともっともっと面白く撮れたと思う。しかしこれでも最高に面白い。何度も見たくなるという気持ちが理解出来ました。
公開から2ヶ月半以上だった本作。
かなりの映画館で上映が終了していますが、この機会に是非。あと半年経ち、レンタルができるようになったら私は周囲にこの映画とサマーフィルムにのってを強く強くオススメすることにします。え!?どっちも出てんの!?ビート板に見えないよ!
わたしだったらどうする?と延々と迫ってくる作品。
最初から最後まで前のめりで観ました。
感情移入が半端ない。
自分ごとのように観てしまいました。
誰にでもきっと「正義感」ってあるけど、
この状況でもあなたは正義でいられるか?
観終わってからもしばらく、
「わたしだったらどうする?」と
迫られます。
きっと監督の意図するところでしょうが、
しばらく引きずりますよ。
2回目も観にいってきます^^
見逃し厳禁です。
結局、真実は?
瀧内さん演じる主人公は本当は妊娠した女子高生に寄り添ってはいない。いざとなったら自分の身がかわいい。彼女が身体を売ったり複数の男性経験があるというのも噂だけ、真実とは限らない。映画を観に一緒に行ったとき彼女を信じてあげていれば悲惨な結局にはならなかった筈。最後だって自撮りしてドキュメンタリーの題材にしたんだろう。
いじめ問題女子高生自殺今やそちらこちらで起きてる問題我が町でも今議...
いじめ問題女子高生自殺今やそちらこちらで起きてる問題我が町でも今議論なってる、いろんな事が、先生、生徒、学校側もみ消す問題やらいろいろ、こうゆあ映像場面やり取り映像として凄さがよかつたですね。
あ〜あ、もったいない!!
とにかく役者たちがの演技が、皆んな真に迫っていて、本当に素晴らしかったのだが…
徹底した長回しの映像と手持ちカメラによる微妙なブレ感も、この作品を観る側が主人公のドキュメンタリーを観ているような感覚にもなり、まるで入れ子構造の如く、ドキュメンタリー番組を作っている主人公のドキュメンタリーをこちらは観ているような仕掛けになっていて、
それによって緊迫感も持続して、アレよアレよという間に時間も駆けて抜けていく。そのストーリーは主人公の視点だけで進んで行き、いわゆる神の視点が無いため、より一層と主人公の現実世界の中へ嵌っていく。その主人公を演じる瀧内公美が、あまりにも素晴らしいのだが…
あれだけ芝居が良くて、題材も良くて、映像も良くて、劇伴がないのもこれまた良くて、しかし、なのに、なのに…
あのプロットでは…
あまりにも本当にもったいない!!
予想外のベタな展開には、えええ???となってしまった。
インディーズ映画にしては、ストーリーに捻りというものが無さすぎる。
あえてリアルにしたくて、あんな凡庸で有りがちな展開にしたのだろうか?
あの教師のお姉さん(?)が、何か重大な秘密を隠しているのは明らかだったが(これも演技が上手すぎるゆえ)まさかアレほどベタな展開にしてしまうとは…
(火サスじゃあるまいし、教師のスマホなんぞ真っ先に警察が調べるに決まってる。というか、あんな赤裸々音声データをデリートせずに自殺なんて無理筋だ。どうせ無理筋なら疑っていた姉が盗聴器を仕掛けたくらいの設定にしないと!)
そして、ベタとはいえ、あのプロットにした以上、あのシークエンスこそ、報道とは何か?というテーマを抉り出して、まさに「由宇子の天秤」が試される絶好の機会と、本当はなったはずだ。
あの時点で相当なインパクトの事実誤認があったとなると、それはイコール重大スクープであり、視聴率の低いハードなドキュメンタリー番組ではなく、高視聴率のワイドショーのネタとなり、それはスクープゆえ一刻も早いオンエアをTV局の編成側は要求するはずで、そのネタのコンプリート版となる由宇子たちの撮ったドキュメンタリー(本当の事実を追加)もオンエアを早くさせるよう調整することも出来たはずだ。
それは、あの時点において由宇子が最も望んでいた事とも合致することになる。
しかし一方で、そのオンエアによって、本当に取り返しのつかないくらい壊滅的なダメージを遺族たちに与えてしまう事にもなったはずだ。
それくらいギリギリのヒリヒリするような葛藤が、あのシークエンスにおいて、全く出てこないというのは、本当にダメだ。というか本当に有り得ない。本作で一番スリリングでクライマックスな場面となったはずなのに。
どちらか片方へ均衡が崩れてしまうかもしれないハラハラとしたサスペンス感や破滅スレスレで綱渡りするような緊張感が「天秤」というほどは無かったのが、本作の一番ダメなところだったと思う。
由宇子は「側って何だよ?」などと言い返し、このままだったら自分たちも先生を追いつめたマスコミと一緒だ!などと言い放ち、報道番組におけるコンテンツ作りより大切な事があると言いたかったようだが…(メディア批判も表面的だ)
そんな簡単に天秤が一方に偏っちゃダメに決まってる。もう片方には女の子の命がかかっているのだから。
その後の交通事故もホントにベタだが、まさかラストまで、あんなベタというか、あの娘の父親が何処かで暴走しそうな予感はしてたが…(これも役者が上手すぎるゆえ)
あんな訳わからん展開にしてしまうとは…(せめてDNA鑑定くらい考えるだろフツー)
真実より自分の家族の責任にして医療費を肩代わり?自分が追い詰めた末の事故だから?だとしても、それも無理筋だ。
事故の賠償金を払いたいなら、真実とは別に負担すればいいだけのこと。
結局のところ、どうしても、あのラストを撮りたかったから?
だとしたら、ホントにベタすぎ。まさに御都合主義。
直前の由宇子の真横からのショットが、あまりにも素晴らしかったので、何とも本当に残念でもったいなかった。
とにかく瀧内公美は本当に素晴らしい。大好きになってしまった。
まさにフィルムに愛されている女優(この映画もデジタルかもしれんけど)。
この作品によって彼女は間違いなく時の人だろう。「情熱大陸」にも直ぐに出てきそうだ。
兎にも角にも、この監督の次回作ではなく、彼女の次回作が無性に観たくなってしまった。
あ、あと、あの医師の役だった池田良、彼もかなり気になった。20代後半まで外資系コンサルで働いていたらしいが、元同僚のような親近感を個人的に勝手に覚えてしまった。こういう俳優がもっと活躍してくれることを期待したい。
そして最後に一言だけ。
やはり伏線の放棄はいかんよ。
その手の映画もチラホラと見かけるが、サスペンスで伏線を回収しないなんて、絶対NGに決まってる!
現実に対する真実という言葉の軽さ
本作も評価が高かったので観ました。
予備知識は全くなしで監督も知りませんでしたが、切り口が興味深く色々と考えさせてくれました。
人間社会には絶対的な力を持っている言葉って幾つかあると思うのだけど、例えば“愛”とか“自由”とか“正義”とか“真実”とか、こういう言葉を水戸黄門の印籠の様にかざされると平伏せざるを得ない様な、キリスト教だと十字架の様なシンボル的な力を持っている様に感じられる。
特に“真実”という言葉が元に成立する仕事や機関も多くあり、本作に登場する教育・報道関連の仕事はこれを無くして成立しないし、国家権力の立法・行政・司法の三権分立も“真実”というバランス関係を保つ為の制度である筈なのですが、現実社会に於いて国家自体が複雑すぎる嘘に固められているのは周知である。
ましてや現実の教育や報道の現場で、何か事が起きた時に“真実”の優先順位などお飾り程度の代物に過ぎないという認識の中での、事が起きた時の人間の右往左往する姿が描かれていて、それが、由宇子の天秤(バランス感覚)であり、真実以上の現実に即応した人間的対応を、観客に考えさせる構造の作品になっていました。
まあ、作中でもテレビ局内の決定権を持つ偉いさんが「誰得?」って台詞を吐くのが現実社会であり、教育現場で誰か1人が死ねば、誰か1人を悪者に仕立て上げて終わらせるというのが国民の共通認識になっていて、“真実”などは本来誰も重要視などしていないにも関わらず、言葉の重みと使い勝手の良さでこの言葉を乱用している気がする。
アメリカの裁判モノ映画でよく見る、証人喚問に呼ばれた場合の宣誓で聖書に向かって「あなたは真実を、すべての真実を、そして真実のみを語ると心から誓いますか」「誓います」ってシーンをよく見かけるが、日本ではどうしているのだろう?(キリスト教でもないのでそんなことしないのかも知れないけど)でも「真実を述べるように」的な似たような事は言われるのでしょうね。
これ以上書くとネタバレになってしまうので物語上の具体的に詳しい出来事は書かないけど、基本的に人間とは間違いを犯す生き物であることを前提にすると、“真実”に本当の希望はあるのか?“真実”よりも大事な何かはありそうな気がした。
と、こんな事を考えさせてくれた作品でした。
静止しない天秤
家族の誰かが重大な事件・事故を起こした場合、その家族は、否応無しに非難中傷に巻き込まれ 日常生活が出来なくなり、同じように、被害者家族も普段の日常が静かにおくれなくなってしまう現実を現していた。
主人公の由宇子は、ドキュメンタリーのディレクターとして、真相をキチンと描きたいと 隠れて暮らす加害者家族に『ちゃんと目を見て話を聞きたいんです』と取材を申し込む。その加害者の母親役丘みつ子、息を潜めて目立たぬよう、音を立てないように生活している有様。苦しそうな息遣いの声の演技が素晴らしかった。
由宇子役の滝内さんは実年齢が32歳だという。
えー😵あまりにも落ち着いていて、光石さんとの二人のショットは、年の離れた夫婦かと思ってしまったので、親子だと分かってびっくり。
そして、その父親が絡む出来事が明かされ 父親役の光石氏が娘に審判を迫られた時の表情。目は焦点あわず口は鯉のように少しパクパクしそうなのに表情筋が固まった感じで見応えがあり、上手いなぁと思った。
その後の展開は、ディレクターとして真実を露わにする側だった由宇子が 自分の身内が起こした事件には、蓋しようとする側になる。自身や自身の家族が事件・事故に関わった場合、正義よりも保身に走る姿が描かれる。
その為の保身は、頭なでなででの てなづけで現してたのか?と思った。で、撫で撫でされる女子高生役、その手を払いのけ鬱陶しそうな上目遣いがリアルで上手かった。
この映画は、ちょっとテンポが遅い画面運び、聞き取れないセリフの二、三、お供えしないパン、塾長なのに生徒との関わりを逸脱する父親の描き方などは気になったが、 被害者家族、加害者家族に対して、社会的死、制裁はどうなのか?と考えさせられ 自分ならどうする?と答えが揺れて天秤が静止しない。
否応無く考えさせられる~~
いじめによって自殺した少女の事件を追っていた
ドキュメタリー作家の由宇子の身近に
思いもよらぬ出来事が起きる。
その思いもよらぬ出来事に対して
自分はどうするのか~?
何を書いてもネタバレになってしまうので
正直何も書けません。
正義とは何か?
みたいな薄っぺらい話では無くて
人間とは常に自分にとって都合の良い事と
人としての正義を天秤にかけて動く。
人の行いとして正しくとも
今の様なネット社会、情報化社会では
どこから火の手があがって
どんな風に捻じ曲げられて広まってしまうのか
全く予想がつかない。
そんな生き辛さや息苦しさが否応なく
押し寄せて来て
一か月以上前に観たのだけど
自分の中で消化できないまま~~
観た後に観た人同士で色々語り合いたくなる映画です。
いつまでも三毒との闘いなのか
私は、仏教徒でも、特に信心深い人間でもない。
しかし、この悲しい物語を観終わって、心なのか頭なのか自分の中に浮かんだ想いは「だめじゃん 人間 ダメダメじゃん」だった。
ある僧の説明によると、現代ではこの三毒は「欲 怒り 迷い」と解釈されるそうだ。もっとも、ここでの怒りは妬みを意味し、この映画での怒りは、由宇子の怒り=正義感なので、意味が違う。ただ、三題噺と解釈すれば、正しい怒りが、人の逃げられない欲や迷いに邪魔をされ翻弄され、自らも迷いや欲の中にはめられてしまう。
人間の業を、痛切に、リアルに、巧みなシナリオで描き出した、観たくないけど見なきゃダメじゃんな良作。
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