劇場公開日 2021年9月17日

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「真実の偽りと偽りの真実」由宇子の天秤 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0真実の偽りと偽りの真実

2021年12月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

怖い

難しい

作品情報が公開された時点で気になっていた作品。
世界各国で賞賛され、日本でも都内では満席が続き単館上映にも関わらず興行収入が1億を超えた本作。レビュー欄は賛否両論あるが、全体評価は★4.0と高評価をキープ。2週間前から上映館拡大で公開された劇場が早くも上映終了らしいので慌てて鑑賞。

評判通り、すごい映画でした。
ドキュメンタリー映画を作るドキュメンタリー風人間ドラマ映画。普通の映画ではない。かつて無い映画。これだけ賞を総ナメするのも理解出来る。

ドキュメンタリー監督として日々インタビューを行いながら、父の経営する塾で講師を務める由宇子(瀧内公美)。順風満帆な日々を送っていた由宇子だが、とある事件で全てが狂い始める。

本当に息がつけない152分間。
音楽が一切ない本作だが、それが空気をより一層重くし映画に深みを持たせている。濃厚で緻密な設計により、こんなに重いテーマなのにずっと面白いしあっという間。152分間を丁寧に無駄なく使っている。

瀧内公美の演技力が驚異的。
今年1番面白くなかった映画は瀧内が主演の「裏アカ」。一方で、今年1番面白かったドラマは瀧内も出演している「大豆田とわ子と三人の元夫」。どちらも、彼女の美しさと器用な演技に魅了されたが、本作は両作よりも遥かに魅力が詰まっている。衝撃の事実を知った時の表情がすごい。これが映画だと!?本当に起こった話じゃないの!?演技だとは思えない繊細さに驚き。由宇子を演じれるのは瀧内公美しかいません。

冒頭はかなり平凡な感じ。
映画としてどうなのか?と思う部分もあるし、描き不足な所もある。しかし、一気に引き込まれ離すことなく最後まで突き進む。面白くて仕方がない、続きが気になる、最後はどうなるんだろう。と次のシーンが見たくてしょうがないという感情に襲われる。ラスト2.30分は衝撃的で破壊的で驚異的。本当によく出来た映画だこと。

由宇子に迫り来る真実。彼女はその真実を偽るのか、それとも真実だと確証がないが口にするのか。次から次へと彼女の天秤に伸し掛る事実。嘘をつき続けることは辛いが、嘘を明らかにすることはもっと辛い道を歩むことになる。天秤はどちらに重みを感じるのだろうか。その重さは本当に正しいのか。タイトルと観客になげかける度合いが絶妙。1日経っても忘れられない、あの光景。

これがダメ!と指摘は出来ないが、なんだか勿体ない。もっともっともっと面白く撮れたと思う。しかしこれでも最高に面白い。何度も見たくなるという気持ちが理解出来ました。

公開から2ヶ月半以上だった本作。
かなりの映画館で上映が終了していますが、この機会に是非。あと半年経ち、レンタルができるようになったら私は周囲にこの映画とサマーフィルムにのってを強く強くオススメすることにします。え!?どっちも出てんの!?ビート板に見えないよ!

サプライズ