「こんな『天秤』はいやだ。」由宇子の天秤 エクさんの映画レビュー(感想・評価)
こんな『天秤』はいやだ。
ひどい社会になったものだ。
日本はぶっ壊れている。
もう、そう思わざるをえない。
そこから始めないといけないのではないか。
『天秤』が必要なぐらいに社会がもうぶっ壊れている。そこそこ健全で、そこそこ確かなものが作品の中にはひとつもない。
由宇子の『天秤』はそんな不確かな中を生きている何かが足りないみんながちょっとずつでも幸せになれるかどうか、生きている実感が持てるかどうか、そこだけが基準でまったくもって間違ってはいなかった。充分すぎるぐらいに人としても尊敬に値する。
でも、そんな由宇子をもってしても、どうにもならなかった。
もしかしたら由宇子に必要だったのは由宇子が相談できる人だったのだと思う。
これだけの人がここまで追い込まれるということは、この社会が今、『詰んで』しまっているということなのだと思う。
『この世界の片隅に』ある話ではないというところに立たないといけないのではないのか、そんなことをこの作品を観ながらいろんな場面で考えていた。
簡単に個人が追い込まれてしまう社会、安心とか安全から程遠い社会に自分たちはたどり着いてしまったようだ。
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