「現実を突きつけられ生々しく胸を抉られる映画」由宇子の天秤 映画野郎officialさんの映画レビュー(感想・評価)
現実を突きつけられ生々しく胸を抉られる映画
稚拙な言葉では語るのが憚られる映画だ。しばらく躊躇って筆が動かずレビューを公開できなかった。(鑑賞から間が空いた言い訳)
どこまでが嘘で、どこまでが真実か。なにを信じ、なにを疑えばいいのか。正義とはなんなのか。
胸を抉られ苦しくなる。
人間不信になるほど(作品への褒め言葉)リアルに展開する物語は、最後に大きな問いを投げかける。結末をどう受け止めるだろうか。
真実に向き合わなくてはならないが、真実ばかりが正解ではない。
二転三転し裏切られる展開で巧みな脚本。
俳優たちの佇まいがとても自然で、生々しくリアル。
ドキュメンタリー監督の苦悩というかたちで様々な社会問題が込められている。
いじめ、貧困、格差、監視社会、表現の自由、過激な報道…
こういう作品がアカデミー賞に選ばれる国であってほしい。
2時間半で間を多く使っているが、冗長にならずその時間が必要に感じられるほど。
瀧内公美はいい役者だ。座った目の奥にある温かさが印象的で、自然で柔軟な演技。
映画祭に足繁く通って好きな作品と監督に出会う機会を作り出していて、今作もその場で監督に出演を直談判したという。その勇気と行動力に感服。
話題作に次々と起用される河合優実もこれからが益々楽しみな女優。
監督が映画館で一人一人に名刺を渡し挨拶し、パンフレットにサインしながら丁寧に受け答えをしていた。
これだけ話題になっていても地道に作品を届け続けようとする姿勢に感銘を受けた。
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