劇場公開日 2021年9月17日

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「笑えないFargo」由宇子の天秤 kwmdさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0笑えないFargo

2021年9月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

Fargoはかなり極端な性格や境遇な人がたまたま運悪く集まってしまい、どんどん悲惨な事が起こります。事件はかなり残酷ではありますが、登場人物はそれぞれ自分の家族や行動原理を結構真剣に守るので、それが滑稽に写り、笑っちゃいけないのに笑えます。

本作は極端な人が集まっていないので、リアリティが保たれており、その分極端な事件は基本起こりません。ちょうど中学生日記みたいです。しかし、それでも全く世の中うまくいかず悪い方向に進んで気、休まる暇がありません。

『ようこそ映画音響の世界へ』で映画における音の重要性を学びましたが、本作は劇伴が全くなく環境音のみです。悲しむべき時に音楽でそれを示してくれないので、どう感じるかは見る側に完全に任されています。このため、始終居心地が悪い状態に置かれ、登場人物それそれの生活について心配してしまいます。それが作り手の狙いであれば大成功ですが、作品の重要性を理解しても2時間半この状態に置かれるので見る人を選びます。この作品が配信されても自宅のテレビで集中して見ることは困難でしょう。劇場で鑑賞する意義は十分ありますが高い評価をつけるのもどうかしらとも考えました。

気になったこと、自動車が練馬ナンバーで駅の商店街は私鉄の規模ですが、団地や病院は関東平野の郊外の雰囲気で、事件現場とのバランスが悪い気がしました。『スペシャルアクターズ』の優しい弟君が、高校生に化けています。

Lhowon