アイの歌声を聴かせてのレビュー・感想・評価
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ネットワークに神は宿る
人間はかくも仮想敵を生み出しては怖れる。
社会を豊かに、より世界の人々を繋げる為に生み出されたネットワーク。
AIもその一つだ。
私達の為に生まれてきたシステムを人々は脅威の存在と捉える。
ノンフィクションだけではない。
フィクションの世界においてもシステムは、人類を脅かす敵として描かれるパターンが多い。
古くは「鉄腕アトム」、人型ロボットアニメと共に育った世代でさえ、システムは人間を超えてはならない、同列であってはならないと考える者が多い。
日々、私達をサポートしてくれる機械に散々助けられておいて人類至上主義の元、機械を見下す私達は何なのか...
人の形を模した詩音の方が人間らしいと言える。
私達人類は劣等感を埋めるために敵を作り、相手を貶める。
悪性が本質の人類にAIを支配する資格は無い。
SF作家・神林長平先生の「戦闘妖精・雪風」
押井守監督の「攻殻機動隊」、「イノセンス」
そして人類の戒めたる「ゴジラ」シリーズを観てきた者として今作は、本当に見事な構成とテーマを持った作品だと感心した。
制作陣なりの「人とAIの共生」の想いを僅か100分間で良く描いたと思います。
詩音の奇行に振り回される日常パートを主軸に高校生の他愛もない会話やささやかな悩みを描きつつ、
更に日本人に馴染みの薄いミュージカルを上手く絡める。
観客を飽きさせないテンポも良く、間延びに感じるシーンが見当たらない。
人間の心のメカニズムは未だに明かされてない。
しかしAIのプログラムと私達の心に大きな違いは無いと思う。
他人を労るのもプログラムの一部と言うならば、
他人を貶める人間性より美しいと思う。
鑑賞後のカタルシスは絶大。
登場人物達全員に感情移入していた事に改めて気付かさせてくれる。
詩音の深い親愛に感謝を。
ミュージカル?
ピッタリが溢れる卑怯極まりない素晴らしさ
予告ティーザーだけの認知で、ミュージカルそんなに好きじゃないし鬱陶しそうだなとの印象、主役、声優じゃないしなあと観る気は無かったんですけど、音響が岩浪さんだし、丁度時間も空いたしということで鑑賞しました。 素晴らしさで溢れていました。
・配役がハマりすぎ。土屋太鳳の「抜け感」がAIキャラにピッタリだったし、福原遥はもともと上手いし、工藤阿須加しかトウマは出来なかっただろうと思わせる出来でした。
・ミュージカルの入り方、尺が絶妙。物語を適度に引き締めてくれるし、キチンと説明もしてくれていて想像が広がるしでミュージカルを避けていた自分でものめりました。土屋太鳳の素晴らしい歌、というか、シオンそのもの?、何だろう、ピッタリなんですよ。
・小ネタ満載で物語の進行に合わせて加速度的に気持ち良くフラグ回収で爽快。
・色んな名作のオマージュがたくさんで物語にピッタリピッタリと笑っちゃうくらいハマってる。
・柔道の乱取りのシーンのように動きと表情が美しい
・丁寧な音響処理 他にもいっぱい素晴らしいポイントがあるのですが書ききれません。一度しか観てませんが、これを書き込んでいる今、もうまた観に行きたくなってます。
結末というかAIシオンの種明かしには気持ちよく感動し泣いてました。 今季のアニメでは最良の一本だと断言します。
(追記) 二回目観ました。 最初から、「お!!!」「そうか!」「ああああ、これか!」と逆の答え合わせ(検算みたいなもん)で気持ち良かったです。実に奥が深い。 そして、ストーリーが頭にあるので時間が早いw 改めて感じたこと ・工藤阿須加の演技が、日野聡、興津和幸、小松未可子を向こうに回しても全く引けをとらないこと。すごい声優出てきたよ(笑)。 ・シオンの瞳がかわいい。 ・ミツコにはおしぼりを投げてほしかったなあw なお、そばかすとも似たような印象をもちましたが、あっちは、色んな大人の事情を匠の技で丸め込んでスマートにした作品、こっちは、監督の思ったままにやりたいことをやったらこうなった、という作品でしょうね。一回目を観た後にイヴの時間を観たことでそういう思いは強くなりました。
なお、七回映画館で観てます。ハマりました。
切り口も見事
ミュージカル仕立ては苦手ですが・・・
近未来。AI実験の為に内密に高校に送られた少女アンドロイドと、主人公高校生達の交流を描く物語。
アニメ好きですが、余り期待せずに鑑賞。ディズニーの影響もあるのでしょうが、アニメでミュージカル調の作品が増えて来ていて、少々戸惑っています。
しかし、この映画は思いの他秀作だったように思います。
告げ口をした・・・として仲間外れにされている主人公と、疎遠になっている幼馴染。
ギクシャクするリア充カップル。
そして、柔道部員。
彼等の心の壁や戸惑いが、アイの無私な歌声に溶かされている様子が、上手に描かれています。
そして、しっかりと伏線を張ったラストも中々の出来栄えで驚きました。
ただ、やはりAIに感情移入することに戸惑いを感じていて、自らの「感動」を抑制してしまったことが残念でした。
AIは人を幸せにできるのか?
これもまた良い映画でした。
歌が好きなAIロボット「詩音」が、ぼっちの主人公の悟美を筆頭に色々な人を振り回していく。
“幸せ”が何かも解らないまま動き回る詩音。
しかしいつしか悟美の周りには仲間が集まるようになっていた、のだが…
まるでディズニー作品のような半ミュージカルで、楽しくて、美しくて、その歌声には聴き入ってしまいます。
多少「いや無理だろ(笑)」的な強引なシーンも、上手く面白さに変えたり他の流れにもっていったり…
総じて凄く楽しめました♪
近未来という時代設定がカバーしている面もあると思います☝️
でも個人的にはもう一歩続きが欲しかったかな。
それにしてもロボットの進化と共に昔から続く“AI”の技術論争。
この作品ではAIは良い方向に描かれていますが、もし悪い方向に覚醒してしまえばまさしく「ターミネーター」になりかねない。
ひとつ間違えばそんな恐さもあるんだという事も考えてしまう作品でもありました。
大林宣彦なら。
AI設定が不自然かつご都合主義すぎ。キャラの感情の動きも不自然に感じました。
SF設定と因果関係についてのアラが目立った作品でした。その部分を切り捨てられて、エモい部分が拾えればまあまあなのかもしれません。
ただ、題名にAIと愛のダブルミーニングでしょうか。アイを冠した以上はAIものとしての設定はちょっとなあ、と思います。結局母は優秀じゃないし。ヒロインの性格付けもあまいし、AIシオンの行動原理の初期設定もかなりご都合主義だし。各キャラクターがわらわら集まってくる展開も、ちょっと感情的に不自然な感じでのれませんでした。
停止するとすぐにAIバレする仕様だし(まあ、その時点で実験終了なのかもしれません)。あとはシオンがあそこまでの能力を身に着けた理由は?ネット上の自己進化?攻殻機動隊やレインなどの焼き直しにしてもちょっと説明も思想も哲学も無さすぎでしょう。進化=ヒロインの幸せの条件付けというだけでしょうか。
むしろ、企業側(陰謀側)の言動の方が、正論でしたね。AIの危険性ばかり言って可能性に目をつぶる必要はありませんが、あのAIアンドロイドが暴走すると恐ろしい事になります(実際暴走だし。未知のプログラムがインストールされていても、解析せずに野に放ってしまいますし)。
シオンの動きでヒロインは幸せになってゆくのか?ですけど、幸せについてなにも語られないで、歌をうたって仲間ができればOK?みたいな感じですね。
全体的な流れは、一般的な期待する方向に、期待する通りに話が進みますので、そこをどうこう言ってもしょうがありません。ここに深さを見る人がいても、不思議はないです。ただ、私は上記の理由で、まったく乗れませんでした。
7.0です。満点超え。
私などがレビューできる作品ではありません。あーだこーだとアラ探ししたり分析する気がまったく起こらない。本当にいい作品を作っていただいて、感謝でいっぱいです。
私は滅多なことで感動しないけど、これは参りました。2回目は結局観にいかなかった。必ず泣いてしまうから。一度目は不意をつかれて目頭が熱くなり、背筋に電気が走ったが、ギリギリ落涙をこらえた。でも次は無理だろう。DVDを予約したので、家でひっそりと号泣しよう。
予告編を見る限り、究極超人あ〜るのようなドタバタ学園コメディーを想像、期待して観に行きましたが、すっかり騙されました。いや、全編を通してその期待は満たされました。その上にさらにすごいものが乗っかっていた。出てくる登場人物全員に感情移入ができる。自分が彼らとともにそこにいるかのような錯覚に陥ってしまい、スクリーンのこちら側にいる感覚が失われる。
そしてすべての伏線が一気に回収される問題のシーン。感動に打ち震えながら、自分の想像力の薄っぺらさに愕然とする一瞬でもありました。私がストーリー展開をこれっぽっちもよめなかった数少ない映画でした。
超シリアスでドキドキするクライマックスから思わず声をあげて笑ってしまいそうになったラスト。感動したまま投げ出されなくてよかった。アニメはこうでなくっちゃ!ああ、いいもの観た、と笑顔で席を立つことができました。
アニメ、実写ひっくるめて、私が半世紀に渡り観てきた映画の中でダントツのナンバーワンです。DVDをずっとかけっぱなしで生活したい!そういう映画です。
人により捉え方は異なりますが、少なくとも楽しくないと感じる人は非常に稀だと思われます。
現代版美少女女子高生アラレちゃん
キャラデザが可愛かったので見た作品。
最近はキズナアイと言い萌え界隈ではAIが1つのトレンドになっているわけだが、ノリとしては鳥山明のアラレちゃんである。
人間とはややズレたロボットらしい仕草が笑いどころであり、突拍子もない動作をすることで周りをドタバタに巻き込んでいくお約束の展開。
ちょうど30年くらい前なのでその世代が作り手になったということだろう。
特殊能力としてはネットワークに侵入して他の電子機器を操ってしまうというもの。
黒幕はそのAIロボットを作った大企業、というシンプルな構図。
2時間に収まるアニメ作品としては分かりやすくてよいと思う。
展開も後半の盛り上がりがとてもワクワクするし、主人公のシオンがどんどん存在感を増し失いたくないという切なさがこみ上げてくるのはとてもよかった。
特に不満はないが、1つ気になったこととしては
自動運転のバスが横断歩道を塞ぐ形で止まるのはおかしいのではないか、という点
またDVDが出たら追記の予定
アンドロイドは「幸せ」を夢見るか
大傑作。個人的オールタイムベストのひとつになった。
転校してきた美少女ロボットのシオンが、クラスで孤立するサトミを「幸せ」にするため、いきなり歌ったりドタバタを起こす――というのがあらすじ。
ジャンルは「青春SFミュージカル」とでもいうべきか。特にSF的設定とミュージカルのお約束を上手く利用していて、「その手があったか!」という意外性がある。青春ものとしても、キャラクターの高校生らしい素直さと不器用さ、青春の恥ずかしさを逃げずに描いていて素晴らしい。
特筆すべきは、全体を貫くポジティブなAI観。テクノロジーの危険性を自覚しつつ、あえて肯定的に描くところに、監督の「願い」のようなものを感じる。現実がどうなるかはわからない、でもそうなったらいいなあ、と思いたくなる未来を描いている。ここをご都合主義的に感じて白ける人もいるだろう。自分は素敵だなと思う。
無駄のない脚本もお見事。過不足のない情報提示の仕方はほとんど芸術的ですらある。終盤で伏線を回収するシーンの感動は衝撃的で、理解してから観る二回目以降がまた楽しい。「二回目からが本番」はガチ。
キーワードは「幸せ」。劇中歌の歌詞にもある「あなたはいま幸せかな?」という問いは、幸福感が薄いとされる現代日本人に、とりわけ刺さるかもしれない。自分にとっては、オンリーワンの特別な作品になった。
日本アカデミー賞アニメ部門ノミネート?
「映画大好きポンポさん」がノミネートされなかった日本アカデミー賞アニメ部門にノミネートされていたのと、映画コムではまぁまぁ評判が良さそうだったので遅れて鑑賞
ですが、個人的にはそこまででしたね
松竹製作だったので、持ち回り忖度案件でノミネートされたと思いました
悪くはないですけど、「映画大好きポンポさん」には全然劣ります
おそらく原因はとにかく要素が多いんですね
AI特区にAIロボットに学園ものにミュージカルに田舎に青春に恋愛にクラスメイトに母の仕事も……
それを強引にでも一つのストーリーにまとめた力は監督にあるのかなと思いましたが、結局何が言いたい話なのか、テーマは何なのか、それが致命的に散漫で弱い話になっています
ラストに言いたいことは分かるんですけど、冒頭から中盤にかけてまでは過多な情報やキャラクターのせいでテーマが何か分からないので、こっちもどう楽しめばいいか分かりません
それで物語の魅力が失われてしまっていますね
クイズで言えば、そもそも問題を出してないのに解答の制限時間はどんどん減ってる状態ですね
答えを言われてから、こっちがそもそもの問題を推測してる感じ
できるだけ冒頭でテーマ(問題)を発表出来ていれば、こっちもその答えは何だろう?とずっと楽しみながら観ていけるんですよね
脚本は別の、もっと実力ある人に任せれば良かったような気もします
ただ、そうするとカット割りとかアングルもそんなに良くなかった気もするし、キャラクタービジュアルもそんなに魅力的でも無かったから、そもそもこの人が監督でなくても良かったような気もしてきます……
まぁ、アニメで言えば細田守も新海誠もそこまですごいわけではないから、この監督さんの名前は覚えておこうと思いました
時間が空いたので
昭和のメカか?
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