アイの歌声を聴かせてのレビュー・感想・評価
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ネットワークに神は宿る
人間はかくも仮想敵を生み出しては怖れる。
社会を豊かに、より世界の人々を繋げる為に生み出されたネットワーク。
AIもその一つだ。
私達の為に生まれてきたシステムを人々は脅威の存在と捉える。
ノンフィクションだけではない。
フィクションの世界においてもシステムは、人類を脅かす敵として描かれるパターンが多い。
古くは「鉄腕アトム」、人型ロボットアニメと共に育った世代でさえ、システムは人間を超えてはならない、同列であってはならないと考える者が多い。
日々、私達をサポートしてくれる機械に散々助けられておいて人類至上主義の元、機械を見下す私達は何なのか...
人の形を模した詩音の方が人間らしいと言える。
私達人類は劣等感を埋めるために敵を作り、相手を貶める。
悪性が本質の人類にAIを支配する資格は無い。
SF作家・神林長平先生の「戦闘妖精・雪風」
押井守監督の「攻殻機動隊」、「イノセンス」
そして人類の戒めたる「ゴジラ」シリーズを観てきた者として今作は、本当に見事な構成とテーマを持った作品だと感心した。
制作陣なりの「人とAIの共生」の想いを僅か100分間で良く描いたと思います。
詩音の奇行に振り回される日常パートを主軸に高校生の他愛もない会話やささやかな悩みを描きつつ、
更に日本人に馴染みの薄いミュージカルを上手く絡める。
観客を飽きさせないテンポも良く、間延びに感じるシーンが見当たらない。
人間の心のメカニズムは未だに明かされてない。
しかしAIのプログラムと私達の心に大きな違いは無いと思う。
他人を労るのもプログラムの一部と言うならば、
他人を貶める人間性より美しいと思う。
鑑賞後のカタルシスは絶大。
登場人物達全員に感情移入していた事に改めて気付かさせてくれる。
詩音の深い親愛に感謝を。
ミュージカル?
声優さんじゃないの?と思ってみたけど、なかなかどうして。
いきなり歌い出したのにはびっくり。
しかも素直な歌声。
土屋太鳳、ダンスもアクションもできて、素晴らしい。
設定で自然にミュージカル風になっている。面白い。
実際こんなプログラムがあったら危険じゃないかと思うけど、
細かい事は考えずファンタジーとして楽しい。
ピッタリが溢れる卑怯極まりない素晴らしさ
予告ティーザーだけの認知で、ミュージカルそんなに好きじゃないし鬱陶しそうだなとの印象、主役、声優じゃないしなあと観る気は無かったんですけど、音響が岩浪さんだし、丁度時間も空いたしということで鑑賞しました。 素晴らしさで溢れていました。
・配役がハマりすぎ。土屋太鳳の「抜け感」がAIキャラにピッタリだったし、福原遥はもともと上手いし、工藤阿須加しかトウマは出来なかっただろうと思わせる出来でした。
・ミュージカルの入り方、尺が絶妙。物語を適度に引き締めてくれるし、キチンと説明もしてくれていて想像が広がるしでミュージカルを避けていた自分でものめりました。土屋太鳳の素晴らしい歌、というか、シオンそのもの?、何だろう、ピッタリなんですよ。
・小ネタ満載で物語の進行に合わせて加速度的に気持ち良くフラグ回収で爽快。
・色んな名作のオマージュがたくさんで物語にピッタリピッタリと笑っちゃうくらいハマってる。
・柔道の乱取りのシーンのように動きと表情が美しい
・丁寧な音響処理 他にもいっぱい素晴らしいポイントがあるのですが書ききれません。一度しか観てませんが、これを書き込んでいる今、もうまた観に行きたくなってます。
結末というかAIシオンの種明かしには気持ちよく感動し泣いてました。 今季のアニメでは最良の一本だと断言します。
(追記) 二回目観ました。 最初から、「お!!!」「そうか!」「ああああ、これか!」と逆の答え合わせ(検算みたいなもん)で気持ち良かったです。実に奥が深い。 そして、ストーリーが頭にあるので時間が早いw 改めて感じたこと ・工藤阿須加の演技が、日野聡、興津和幸、小松未可子を向こうに回しても全く引けをとらないこと。すごい声優出てきたよ(笑)。 ・シオンの瞳がかわいい。 ・ミツコにはおしぼりを投げてほしかったなあw なお、そばかすとも似たような印象をもちましたが、あっちは、色んな大人の事情を匠の技で丸め込んでスマートにした作品、こっちは、監督の思ったままにやりたいことをやったらこうなった、という作品でしょうね。一回目を観た後にイヴの時間を観たことでそういう思いは強くなりました。
なお、七回映画館で観てます。ハマりました。
天馬トビオだ!
天馬アトムだ♥
サンダ○杉山?
図書館に『ムーミ○谷の冬』があった。
脚本で、結末が少し甘かった。
歌を交えて、ミュージカル風にしているのは認める。旧国営放送の女優さんの様だが、歌もうまいと思う。でも、合唱とかに、もっと発展すると良いのになぁと思う。
言うまでもなく、ロボット三原則をやぶるAIであって良い訳がない。ロボットが人間の為に存在するからには、人間には絶対に危害を加えてはならないと言う原則がある。
では
どうして、あるのか?
それは『ロボットは人間に危害を加える事が出来る』からだ。人間に近づけは近づくほど、人間に危害を加える事が出来るのだ。
『大量破壊兵器』と言う言葉を忘れてはならない。『人間をいやす為にロボットはあるべきだ』と言うのがアイザック・アシモフ氏の考えたロボット三原則。今から100年以上前に考えられている。その間に何人の罪なき人達が『兵器』に殺戮されたであろう。だから、
星間の所長が言う事は間違いない。
お母さんに言いたいね。男みたいに泣き喚く事は無い。会社が嫌なら、そんな会社辞めれば良い。
この母さん『間違って無かったのね』って、言語AI(たまごっち)を改造した、この少年の『バグ』が『シオン』を改善した。この母さん少し自信過剰の自己中だと感じる。
AIに対する考えは色々あるが、所詮『人間ありき』だと知るべきだ。仮に人間が一人もいなくなれば、AIの存在の意味がない。つまり、機械は絶対に人間になれない。AIに越されるか越されないか?を憂えるのではなく、AIには絶対に無い人生を、有意義に『過ごせるか、過ごせないか』を憂えるべきだと思う。
途中の脚本は破綻していたが、再生可能エネルギーを全面に出しているので、良いと思う。但し、星のシーンをもう少し綺麗に描くべきだったと感じる。
鉄○アトムはロボットの話では無い。人種差別とか戦争に対する平和を願ってのイデオロギーが隠されている。
やはり、恋愛は大願成就しない方が切ないと思う。また、高校生が『フライング・ダッチマンの奥さん』を好きになるのは、タバコをサッカー部の部室で吸う事よりも問題に感じる。
ネタバレあり
『シオン、幸せ?』
私なら
『命令ですか?』にしたい。
切り口も見事
今作も「AIと人間」のテーマを軸に、そこへミュージカルと青春を加えた意欲作。
劇番が中々に聞き応えがあり、全体に漂うミュージカル感が新鮮でした。
後半にはシリアスな内容も含み、今までの監督作より見応えも増していましたね。
それとシオンの歌声。
思っていたよりずっと美しくって、ちょっと驚きました。
AIの愛という切り口も見事な本作、監督の次作が楽しみになりました。
自分向けではなかった
周囲の評価が高かったので期待値上げすぎた。
これは私向けではなかった。
福原遥さんは初めて聞いたけど声も演技もとても良かった。たまにこういう出会いがある。
セキュリティはザルすぎて唖然…。
シオンが(土屋太鳳さんの演技もあって)サイコ怖くて、全てのAI乗っ取ってクーデター起こして管理社会にして市民貴方は幸福ですかZAPZAPみたいな展開になるかと思ってた。人間に無理やり愛の歌を歌わせてこれが幸せですよ的な。(少なくてもAI乗っ取って侵略から地球を守るみたいなのはあるかなと思ってた)
シオンのサイコさに違和感を覚えたので、シオンは自分がAIだと信じている人間で、サトミの方が母親が開発したAIな展開なら好みだった。片親なのも、結婚もしてなければ子供も産んでないっていう伏線なのかなと。
ミュージカル仕立ては苦手ですが・・・
近未来。AI実験の為に内密に高校に送られた少女アンドロイドと、主人公高校生達の交流を描く物語。
アニメ好きですが、余り期待せずに鑑賞。ディズニーの影響もあるのでしょうが、アニメでミュージカル調の作品が増えて来ていて、少々戸惑っています。
しかし、この映画は思いの他秀作だったように思います。
告げ口をした・・・として仲間外れにされている主人公と、疎遠になっている幼馴染。
ギクシャクするリア充カップル。
そして、柔道部員。
彼等の心の壁や戸惑いが、アイの無私な歌声に溶かされている様子が、上手に描かれています。
そして、しっかりと伏線を張ったラストも中々の出来栄えで驚きました。
ただ、やはりAIに感情移入することに戸惑いを感じていて、自らの「感動」を抑制してしまったことが残念でした。
AIは人を幸せにできるのか?
これもまた良い映画でした。
歌が好きなAIロボット「詩音」が、ぼっちの主人公の悟美を筆頭に色々な人を振り回していく。
“幸せ”が何かも解らないまま動き回る詩音。
しかしいつしか悟美の周りには仲間が集まるようになっていた、のだが…
まるでディズニー作品のような半ミュージカルで、楽しくて、美しくて、その歌声には聴き入ってしまいます。
多少「いや無理だろ(笑)」的な強引なシーンも、上手く面白さに変えたり他の流れにもっていったり…
総じて凄く楽しめました♪
近未来という時代設定がカバーしている面もあると思います☝️
でも個人的にはもう一歩続きが欲しかったかな。
それにしてもロボットの進化と共に昔から続く“AI”の技術論争。
この作品ではAIは良い方向に描かれていますが、もし悪い方向に覚醒してしまえばまさしく「ターミネーター」になりかねない。
ひとつ間違えばそんな恐さもあるんだという事も考えてしまう作品でもありました。
大林宣彦なら。
美系JKがフラッシュモブ的にディズニーな曲を歌い踊りエレクトリカルな演出を添える。
妬み皆無の無垢な心情で他人の告りを盛るのが善良なAIの機能って。
なんじゃこりゃ。
母の仕事の不出来を娘が取り繕うのも何だか。
大林宣彦なら尾道AI美少女でどんな映画を撮ったろう。
うまくいっていない
1周年記念で、映画館で観た。
うーん。
登場人物たちを応援したい気持ちはあれど、脚本が気持ちが乗るようになっていないので乗り切らない感じ。原作・脚本・監督が同一らしいので、しがらみも弱く伝導率は高いはず。
となると、この結果は脚本をどうすればいいのかわからないまま混乱して書いている段階であり、まだ自筆できる段階にはないと感じる。
企画としての「ミュージックビデオ風の青春アニメを作りたい」意図が前に出すぎている。
ヒット作『君の名は。』をMVと解釈してしまったのか、アナ雪の歌先行のヒットを意識したのか、ぬるぬる動くダンスシーンと上手な歌があれば評判は付いてくると思ったのか、「青春映画」の支点と作用点に対して、力点がズレてしまっていた。そこに思いっきり力をいれて押しまくった感じ。正直、随所においてジュブナイルを構成する各要素への造詣が浅いと感じた。
以下、気になった点。
①誰を応援すればいい?
AIやアンドロイドがあふれている(?)近未来。
海沿いの田舎街は、ホシマというIT企業の企業城下となり、実地運用地域となっていた。この街に住む人の親の多くは、ホシマ所属らしい。
そして、ホシマの開発部長か室長クラスであるサトミの母が作った人型アンドロイド「シオン」が、違法スレスレの実地運用試験をするために高校に送り込まれる。5日間、人間とバレなければ合格で、大きな実績を積むこととなる。
しかしシオンは、登校初日から「自己紹介で、サトミに対して歌を歌う」など、人間らしからぬ奇行を連発。
サトミと少数のクラスメイトを前に、あっけなくAIであることがバレる。
が、サトミは「母親が頑張ってきたから、この試験を成功させてあげたい」と、シオンがAIであることの隠匿をクラスメイトたちに頼み込む……
というあらすじなのだが、この時点で視聴者はけっこう感情が迷子。
優秀であるはずのサトミの母は、なぜこんな強硬手段に出たのか?
すでに誰の目から見ても欠陥品だが、サトミの母はそれを報告してほしくないのか?
そうして欠陥を隠蔽してまで通した「成果」で、優秀な技術者であるサトミの母は喜ぶのだろうか?
「ちくり魔」と避けられるほどに生真面目なサトミも、それでいいのか……?
第一、肝心のシオンは「自身がAIであるとバレないこと」を重視する気持ちが見えない……
(それにはいろいろ理由があることが後で判明するのだが、それもつながりが微妙)
物語は「妥当性ある理由で、必死に頑張っている人を応援したくなる」ものだが、妥当性に対する疑義への灰汁取りが不十分で、そもそも必死に頑張っているとも見えないので、心情的な同化が難しい。それは感情的な振れ幅の縮小と、それが引き起こす感動の打点の低さに繋がってしまう。絵はそのままでもセリフを少し変えるだけで、かなり違うと思う。
②人物の解像度
2021年に発表された作品なのだが、サトミが「だわ」「わよ」口調なのはターゲットから反感を買うだろう。設定は近未来だから限りなくリアル寄りにしてほしいのに、昭和や平成一桁の生まれが考える高校生、なのだ。内部で誰も突っ込めなかったのなら、制作体制にも問題がある。
ごっちゃんの「何でも80点止まりの自分」を悩みとするのも、平成の頃ならばよく使われた悩みだが、現代で共感を呼ぶのは難しい。SNSで下層の声が標準化した今、「何でも80点止まりな俺」は少年少女にとって嫌味だからだ。アヤの恋愛脳も、「そもそも魅力的な、誰もが好きになるごっちゃんを、粘り強くちゃんと好きだった」という解釈にしかならず、主要キャラの一人の格とするには薄い。ごっちゃんとアヤは現実にはいないこともないが、それをリアルとして持ってこられても多くの観客にとって「自分とは違うな……」という、歓迎されないクソリアリティ次元にとどまっている。
サンダーはわりといいキャラしてるのだが、シオンの疑似カップリング相手がサンダーというのはけっこうやめてくれな展開。サトミとトーマが番いだから、シオンの相手役がいないというのはそうだし、まあサンダーならシオンに恋するだろうなとは思うのだが……キャラの格的に苦笑いな落としどころにとどまってしまっている。勢いで疑似カップリングするところでは無かった。
そして、サトミとトーマが物語開始~最後まで何の捻りもなく相思相愛なのは判断ミス。boy meets girlをやったつもりなのだろうけど、実際は2組のboy has met girlがあって、こじれていた文脈を、わけがわかってない珍奇者シオンが乱入して歌いまくったらなんとなくそれぞれ勇気が出て元通りになった……的な話では、ドラマが薄いのだ。
また、サトミ母の研究を失敗に終わらせたがる支社長と主任が意味不明。「(サトミ母は)男社会なのに出世したから、敵が多くて」の一言説明で片付けられてしまうが、競合他社が不当な妨害工作をしかけてくるならともかく、同社の上と下の人間両方が(自身の評価向上にさえすんなり繋がらない)悪意からひたすら脚を引っ張ろうとしてくるのは、大人の描き方として粗い。どうしてもこの二人を悪役に書きたいのなら、「ポンコツで欠陥だらけのシオンを、改竄してパーフェクトと喧伝する人達」にして、サトミチームやサトミ母のシオンと真摯に向き合う怒りが爆発する……系だと思うが。
③どれがやりたかったのか
様々な青春系ヒットアニメ映画を分析すれば「ボーイミーツガール」「田舎」「夏」「ちょっとしたSF」「歌」「わからず屋の大人たち」がアルペンレースの旗のように浮き出てくる。アニメとして、美少女がぬるぬる踊るのが勝ち筋というのもある。ただ、『打ち上げ花火、下から見るか、横から見るか』も『バブル』もそうだが、それらの要素を均等に並べてみただけでは焦点がぼやけて相乗効果を生むことはない。本作は結局サトミとトーマをやりたかったのか、サトミとシオンをやりたかったのか、シオン中心をやりたかったのか、田舎ムービーをしたかったのか、AIムービーをしたかったのか、ミュージカル風をしたいのか、そして後半突然「無力な子供と強い大人たち」が強調されたり、幹が不在なまま枝葉が伸びてしまっている。
④ミュージカルではないのにミュージカルする
突然歌って踊り出すミュージカルは、心象や情景の投影だ。だから、ミュージカル作品に比喩的時空間としてミュージカルシーンが登場するのは何も問題はない。しかし本作は「すべて、現実で起きている話」として進む中で、独自進化を遂げてしまっているシオンはともかく、トーマもサトミも「そこでは歌わんやろ」というシーンで突然歌い出す。これではミュージカルでも物語でもなく、ただの商業企画の人格乗っ取りだ。あまりの強引さに、ちょっと恥ずかしくて身もだえしてしまうところがあった。アニメーターさんや声優さんは頑張っていたと思うが。
キャラ設定と脚本さえもっとよければなあ、という印象。
動画の力や歌の力を信じてもいいが、だからといって、脚本(構成・キャラの言と動・迫真性)の力を軽んじない方がいい。
AI設定が不自然かつご都合主義すぎ。キャラの感情の動きも不自然に感じました。
SF設定と因果関係についてのアラが目立った作品でした。その部分を切り捨てられて、エモい部分が拾えればまあまあなのかもしれません。
ただ、題名にAIと愛のダブルミーニングでしょうか。アイを冠した以上はAIものとしての設定はちょっとなあ、と思います。結局母は優秀じゃないし。ヒロインの性格付けもあまいし、AIシオンの行動原理の初期設定もかなりご都合主義だし。各キャラクターがわらわら集まってくる展開も、ちょっと感情的に不自然な感じでのれませんでした。
停止するとすぐにAIバレする仕様だし(まあ、その時点で実験終了なのかもしれません)。あとはシオンがあそこまでの能力を身に着けた理由は?ネット上の自己進化?攻殻機動隊やレインなどの焼き直しにしてもちょっと説明も思想も哲学も無さすぎでしょう。進化=ヒロインの幸せの条件付けというだけでしょうか。
むしろ、企業側(陰謀側)の言動の方が、正論でしたね。AIの危険性ばかり言って可能性に目をつぶる必要はありませんが、あのAIアンドロイドが暴走すると恐ろしい事になります(実際暴走だし。未知のプログラムがインストールされていても、解析せずに野に放ってしまいますし)。
シオンの動きでヒロインは幸せになってゆくのか?ですけど、幸せについてなにも語られないで、歌をうたって仲間ができればOK?みたいな感じですね。
全体的な流れは、一般的な期待する方向に、期待する通りに話が進みますので、そこをどうこう言ってもしょうがありません。ここに深さを見る人がいても、不思議はないです。ただ、私は上記の理由で、まったく乗れませんでした。
AIは人間の幸せの為に、人間はAIの幸せの為に
ある事をきっかけに“告げ口姫”と呼ばれ、学校で孤立している女子高生のサトミ。
ある日、転校生が。容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群、天真爛漫な性格ですっかり人気者になったシオン。
そんな彼女の「?」な面。転校初日、自己紹介の場で、いきなりサトミに話しかける。
「サトミ、今、幸せ?」
それからもシオンは恥ずかし気も無く接してくる。…いや、正確に言うと、サトミの“幸せ”の事ばかり。
不思議ちゃんなのは間違いないが、彼女は何者…?
サトミが忘れている昔々の友達…ではない。サトミは彼女の“正体”に気付いた。母の“仕事”の中で。
サトミの母は大企業“星間エレクトロニクス”で、革命的なAI開発に取り組んでいる。
そう、シオンの正体は、サトミの母が開発した見た目は女の子の“AIロボット”だった…!
学園青春ものかと思いきや、転校して来たあの娘は、AIロボット。
何ともブッ飛びな設定だが、監督は吉浦康裕。以前にも『イヴの時間』などで“AIと人間”を題材にし、なるほどな設定。
『イヴの時間』はなかなかユニークで凝った設定だったが、こちらは設定を一旦置けば、王道的な青春ストーリー。
長編作はこれで3本目だが、最も見易く、万人受けもし易い。
劇場公開時、口コミで評判に。見る前はあまり期待していなかったが、見てみたら納得。
公開時期もレンタルリリースも近く、同じく福原遥が声の出演の『フラ・フラダンス』の方が気になっていたが、作り的にもクオリティー的にもこちらの方が一枚上手。
『イヴの時間』『サカサマのパテマ』と、吉浦監督はクリーンヒット続く。
極秘のプロジェクトで、試験中。
人間社会に紛れ込ませ、バレなかったら成功。
男社会で努力してきた母の命運を懸けたプロジェクト。
娘にはすぐバレてしまったが(って言うか、普通だったらその時点でアウト)、サトミは知らぬ素振り。
ところがどっこい、“オーバーヒート”してしまい、クラスメイト数人にバレてしまった…!
母親思いの娘。皆に頼み込み、見なかった事にして貰う。
母親や会社もこの事は知らない。という事で、AIロボットと事情を知る少女たちの、風変わりな学園生活は続行。
サトミが気が気でないのは当然。
シオンは人間で言う所のちょっとおバカな、ポンコツAI。
だっていつも、突然歌い出す。
転校初日のあの時を始め、あっちやこっちで。
歌って、踊って、もはや完全にミュージカル映画の世界。
でもそれは全て、サトミの幸せの為。
歌って踊れば、サトミは幸せになれる。
しかし、当の本人は…。
恥ずかしいし、そんなんで幸せになれる訳がない。別に幸せなんて望んでない。
もうヤメて~!
“AIと人間”の題材に、何かインパクト欲しかったという吉浦監督。
そこで取り入れたのが、兼ねてからやって見たかったというミュージカル。
別に本作、“ミュージカル・アニメ”ではない。
が、シオンが歌うシーンだけミュージカル調になる。
その作りがユニークで、本当にミュージカル作品を見てるような高揚感もあり。
シオンの声を担当したのは、土屋太鳳。
天真爛漫な台詞はぶりっ子ラブコメで演じてきた役柄が決して無駄ではなかったようで、本人の生歌による劇中歌ではいずれも美声を披露。
その歌声には聴き惚れてしまう。
当初はぶりっ子役ばかりであまり好きではなかったが、最近はレパートリーも増えて本来の実力を発揮し、すこぶる好調!
シオンの予測不可能な言動に振り回されっ放しだが、それが不思議とサトミやクラスメイトの心や関係に影響を及ぼしていく。
最近関係がぎくしゃくしていた学校一のイケメン人気者ゴッちゃんと彼女アヤの関係修復に一役買う。
一度も試合に勝った事のない熱血柔道部員サンダーの稽古相手になり、初勝利に一役買う。
それらがきっかけでサトミは彼らと親しくなる。アヤなんてサトミに当たりが厳しかったが、随分と丸くなる。
ずっと“ぼっち”だったサトミ。久し振りに出来た友達。
皆で“エスケープ”してサトミの家に集まったり、誰かと親しくなったり学校生活って、こんなに楽しいんだ。
それがサトミにとっての幸せかと問われたらまだ分からないが、シオンが育んでくれた輪である事は間違いない。
サトミには幼馴染みが。電子工作部のトウマ。ハイテクオタクで、シオンに(あくまでAIとして)興味津々、大興奮。
幼い頃は親しかった二人。が、ある事がきっかけで今はほとんど接点無く…。
サトミが“告げ口姫”と言われるようになったのは、このトウマが関わる事。彼の為にした事。
言わずもがな、二人は今でも心の中では…。
学習能力も高いシオン。サトミの幸せはただ彼女自身が幸せになるだけじゃ本当の幸せではなく、彼女の周りも幸せになる事で、サトミ自身も幸せになる事を学習する。
一人は皆の為に、皆は一人の為に…って言葉あるけど、まさにそう。
サトミの幸せは皆の幸せに。皆の幸せはサトミの幸せに。
不器用でいじらしい二人の為に用意した、“ファンタスティック・ロマンチック・ミュージカル”な場。
それはサトミが子供の頃から大好きな女の子向けミュージカル・アニメ『ムーンプリンセス』のようなシチュエーション。
そんな夢みたいな憧れの中、幼馴染みとヨリを…。
事件が起きる。
大人たちの傲慢。
会社内で、サトミの母の失脚を企てる男どもの妬み。
シオンは捕らえられ…。
母親は会社の男どもの策略でクビになる可能性が…。
せっかく仲良くなった皆にも迷惑を掛けてしまった。
激しく後悔するサトミ。
こんな事なら皆と仲良くならなければよかった。一人のままでいた方がよかった。
本当に、そう…?
皆と楽しく過ごした“幸せ”。
それを知ったら、もう一人でいる事には耐えられない。
皆だって分かっている。サトミのせいじゃない。
トウマの音痴な励ましもあって…。
サトミたちはシオンを救出すべく、星間エレクトロニクスに潜入する。
誰一人欠けて、幸せなんかじゃない。
シオンは私を幸せにしてくれた。今度は私がシオンを…。
それにしても、シオンは何故こんなにもサトミの幸せを願う…?
それは、まだサトミが幼い頃の“出会い”。
ある一つのAIおもちゃ。
ずっとサトミを見守り続け、サトミの幸せを願っていた。
人間の科学力やAIのプログラムを超えた、奇跡=思い。
母との関係(毎朝母と必ず行う“元気に頑張る”やり取り)、
友達と呼べる存在、
シオンの純真無垢な幸せの思い、
それらと知り合って、触れ合って、サトミは今再び問われたら、こう答えるだろう。
サトミ、今、幸せ?
幸せだよ、と。
映像美。
楽曲の素晴らしさ。
コミカルと感動と爽やかな見心地。
人の幸せ、AIと人間の在り方も問うた理想的な良作だが、うっすら裏テーマも見え隠れした。
ただひたすらサトミの幸せを願うシオン。AIの自我と言っていい。
これが善意ある思いだから良かった。
もし、AIが人間に対して不審を抱いたら…?
その時、どんな行動に出るか…?
ハッピーの中に、絶対あり得ないとは断言出来ないテクノロジーの危険性を、裏メッセージとして気付かせてもくれた。
スクリーンでみるべきだった、、、
TSUTAYAで見かけたので視聴。
少し前にやってたなと思いそこまで期待はしていなかった。
初めから「幸せ?」って聞いてきて意味わからんポンコツAIだと思っていたら、
後半の伏線回収で涙腺崩壊しそうになりましたー。
起承転結もしっかりしていて
すっと内容が入ってきやすかった。
作画もキレイ!
完璧な映画だった
あっという間の時間でした^_^
7.0です。満点超え。
私などがレビューできる作品ではありません。あーだこーだとアラ探ししたり分析する気がまったく起こらない。本当にいい作品を作っていただいて、感謝でいっぱいです。
私は滅多なことで感動しないけど、これは参りました。2回目は結局観にいかなかった。必ず泣いてしまうから。一度目は不意をつかれて目頭が熱くなり、背筋に電気が走ったが、ギリギリ落涙をこらえた。でも次は無理だろう。DVDを予約したので、家でひっそりと号泣しよう。
予告編を見る限り、究極超人あ〜るのようなドタバタ学園コメディーを想像、期待して観に行きましたが、すっかり騙されました。いや、全編を通してその期待は満たされました。その上にさらにすごいものが乗っかっていた。出てくる登場人物全員に感情移入ができる。自分が彼らとともにそこにいるかのような錯覚に陥ってしまい、スクリーンのこちら側にいる感覚が失われる。
そしてすべての伏線が一気に回収される問題のシーン。感動に打ち震えながら、自分の想像力の薄っぺらさに愕然とする一瞬でもありました。私がストーリー展開をこれっぽっちもよめなかった数少ない映画でした。
超シリアスでドキドキするクライマックスから思わず声をあげて笑ってしまいそうになったラスト。感動したまま投げ出されなくてよかった。アニメはこうでなくっちゃ!ああ、いいもの観た、と笑顔で席を立つことができました。
アニメ、実写ひっくるめて、私が半世紀に渡り観てきた映画の中でダントツのナンバーワンです。DVDをずっとかけっぱなしで生活したい!そういう映画です。
人により捉え方は異なりますが、少なくとも楽しくないと感じる人は非常に稀だと思われます。
現代版美少女女子高生アラレちゃん
キャラデザが可愛かったので見た作品。
最近はキズナアイと言い萌え界隈ではAIが1つのトレンドになっているわけだが、ノリとしては鳥山明のアラレちゃんである。
人間とはややズレたロボットらしい仕草が笑いどころであり、突拍子もない動作をすることで周りをドタバタに巻き込んでいくお約束の展開。
ちょうど30年くらい前なのでその世代が作り手になったということだろう。
特殊能力としてはネットワークに侵入して他の電子機器を操ってしまうというもの。
黒幕はそのAIロボットを作った大企業、というシンプルな構図。
2時間に収まるアニメ作品としては分かりやすくてよいと思う。
展開も後半の盛り上がりがとてもワクワクするし、主人公のシオンがどんどん存在感を増し失いたくないという切なさがこみ上げてくるのはとてもよかった。
特に不満はないが、1つ気になったこととしては
自動運転のバスが横断歩道を塞ぐ形で止まるのはおかしいのではないか、という点
またDVDが出たら追記の予定
アンドロイドは「幸せ」を夢見るか
大傑作。個人的オールタイムベストのひとつになった。
転校してきた美少女ロボットのシオンが、クラスで孤立するサトミを「幸せ」にするため、いきなり歌ったりドタバタを起こす――というのがあらすじ。
ジャンルは「青春SFミュージカル」とでもいうべきか。特にSF的設定とミュージカルのお約束を上手く利用していて、「その手があったか!」という意外性がある。青春ものとしても、キャラクターの高校生らしい素直さと不器用さ、青春の恥ずかしさを逃げずに描いていて素晴らしい。
特筆すべきは、全体を貫くポジティブなAI観。テクノロジーの危険性を自覚しつつ、あえて肯定的に描くところに、監督の「願い」のようなものを感じる。現実がどうなるかはわからない、でもそうなったらいいなあ、と思いたくなる未来を描いている。ここをご都合主義的に感じて白ける人もいるだろう。自分は素敵だなと思う。
無駄のない脚本もお見事。過不足のない情報提示の仕方はほとんど芸術的ですらある。終盤で伏線を回収するシーンの感動は衝撃的で、理解してから観る二回目以降がまた楽しい。「二回目からが本番」はガチ。
キーワードは「幸せ」。劇中歌の歌詞にもある「あなたはいま幸せかな?」という問いは、幸福感が薄いとされる現代日本人に、とりわけ刺さるかもしれない。自分にとっては、オンリーワンの特別な作品になった。
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